斜め方向の光のドップラー効果(1)

特殊相対性理論に基づけば、相対論的な速度における光のドップラー効果では、非相対論的なドップラー効果にはないような現象が現れる。観測者から見て光源が真横に動いてもドップラー効果が生じるし、そのため赤方偏移(波長が伸びて観測されること)しているからと言って必ずしも光源が遠ざかっているとは限らない。光源が斜めに運動していると、相対的に観測者に近づいてきていても赤方偏移する場合があるのだ。では光源が斜めに動いたとき、その方向と速さに応じてどれだけ波長(または振動数)が変わるか計算してみよう。

ここでは平坦な時空を想定し、観測者は慣性系であり、重力や宇宙膨張の影響は無視できるとする。だから現実的には宇宙膨張が問題になるような遠方の天体にはそのまま適用できないと思う。

目次

1. 光のドップラー効果の導出

導出は簡単である。やり方はいろいろあるが、ここでは最も直感的にわかりやすいと思われる方法を述べる。

まず場面を定義する。図1のように、観測者に固定した座標系(慣性系)を 𝐾 系とする。 𝐾 系で光速は 𝑐 である。 𝐾 系で測った光源の速度の大きさを 𝑉 とし、 𝐾 系で測った光源の速度の方向と光源から観測者に向かう方向のなす角を 𝜃 とする。また、 𝐾 系で測った光源の周期を 𝑇 とする。この 𝑇 は、 𝐾 系で時間 𝑇 が経過するごとに光源が光波の1つの山を発信するという意味だ。

𝐾 系における光源と観測者の図
図1. 光源と観測者

光源の速度は一定とは限らないし、仮に光源が等速直線運動をしていると仮定しても 𝑉 は一定だが 𝜃 の値は刻々と変わっていく。しかしここではそのような 𝑉 や 𝜃 の変化が無視できるような短い時間について考えることとする。 𝑉 と 𝜃 は、光が観測者に到着したときの値ではなく、光が光源を出発したときの値である。

このような場面で生じるドップラー効果を2つの要因に分けて説明する。この用語に関しては4.1節で補足する。

1.1 縦ドップラー効果

この効果は、非相対論的な音のドップラー効果において観測者が静止し音源が動いている場合の計算と同じである。

ここではすべて 𝐾 系で考える。光源が1個目の山を発信してから2個目の山を発信するまでの間に、時間 𝑇 が経過するので光源は観測者に (𝑉 cos 𝜃) 𝑇 だけ近づく。そのため、2個目の山が発信されてから観測者に届くまでにかかる時間は、1個目のそれと比較して、 (𝑉cos𝜃)𝑇𝑐 だけ短くなる。したがって観測者が1個目の山を受信してから2個目の山を受信するまでの時間を 𝑇𝑟 とすると 𝑇𝑟 = 𝑇(𝑉cos𝜃)𝑇𝑐 = (1𝑉cos𝜃𝑐)𝑇 (1) である。観測者が観測する光波の周期はこの 𝑇𝑟 である。光源が遠ざかる場合は cos 𝜃 < 0 になるだけで、式は同じである。

1.2 横ドップラー効果

ところで、運動する物体の時間は遅れるのであった。光源は 𝐾 系で測って速度 𝑉 で運動しているから、 𝐾 系で時間 𝑇 が経過したときに光源にとっての経過時間を 𝑇𝑠 とすると、 𝑇𝑠 = 1(𝑉𝑐)2𝑇 𝑇 = 11(𝑉𝑐)2 𝑇𝑠 (2) である。光源の立場で見たときに光源が発信する光波の周期はこの 𝑇𝑠 である。

光源が光波の山(電場または磁場が極大になるところ)を発信したとき、それは 𝐾 系で見ても山なのか、というところが気になるかもしれない。確かにそれは電磁場をローレンツ変換してみなければわからないが、電磁波は電場と磁場が同じ形で伝わるからやはり山になるような気がする。仮にそこが山でなくなったとしても1周期はどちらの系から見ても1周期で変わらないだろう。

2つの効果を合わせる

(2)式(1)式に代入すると、光源が発信する光波の周期 𝑇𝑠 と観測者が受信する光波の周期 𝑇𝑟 との関係は、 𝑇𝑟 = 1𝑉cos𝜃𝑐 1(𝑉𝑐)2 𝑇𝑠 = 𝑐𝑉cos𝜃𝑐2𝑉2 𝑇𝑠 のようになる。周期の変換式では見慣れないかもしれないので、波長と振動数の変換式に直しておく。周期 𝑇𝑠, 𝑇𝑟 に 𝑐 をかければ波長 𝜆𝑠, 𝜆𝑟 になるし周期の逆数が振動数 𝑓𝑠, 𝑓𝑟 になるから、 𝜆𝑟 = 1𝑉cos𝜃𝑐 1(𝑉𝑐)2 𝜆𝑠 = 𝑐𝑉cos𝜃𝑐2𝑉2 𝜆𝑠 (3) 𝑓𝑟 = 1(𝑉𝑐)2 1𝑉cos𝜃𝑐 𝑓𝑠 = 𝑐2𝑉2𝑐𝑉cos𝜃 𝑓𝑠 (4) のようになる。ここで添え字の 𝑠 は光源、 𝑟 は観測者を表す。これが光のドップラー効果だ。このように導出はとても簡単である。ここで注意してほしいのは、角度 𝜃 は 𝐾 系で測った値だということだ。光源に固定した座標系でそこの角度を測ると異なる値になる。その計算は面倒なのでここではやらない。

2. 速度ベクトルとドップラー効果との関係

(3)式より、 𝜆𝑟𝜆𝑠 = 1𝑉cos𝜃𝑐 1(𝑉𝑐)2 = 𝑎 (5) とおく。観測者が観測する波長は光源が発信した波長の 𝑎 倍になる、という意味である。 𝑎 が1より大きければ波長が伸び、 𝑎 が1より小さければ波長が縮む。振動数は 1𝑎 倍になる。

一般に赤方偏移の話をするときは 𝜆𝑟𝜆𝑠 ではなく 𝑧=𝜆𝑟𝜆𝑠𝜆𝑠 を使うことが多い。しかしここでは 𝑧 だと後の話で式がややこしくなるので(5)式の 𝑎 ( = 𝑧 + 1) を使って話を進める。

光源の速度(大きさと角度)に対応する 𝑎 の値を示したものが図2である。

光源の速度とドップラー効果の赤方偏移/青方偏移の対応の図
図2. 光源の速度とドップラー効果

動径座標は 𝑟=𝑉𝑐 、角度座標は 𝜃 である。赤・黄・青の曲線は 𝑎 が一定となる曲線であり、 𝑎 の値が 2倍になるごとに線を引いてある。 𝑟 軸が描いてある右向きが観測者に近づく方向である。図の右半分は光源が近づく場合、左半分は光源が遠ざかる場合である。

光源の速度ベクトルが黄色い太い曲線で囲まれた部分の内側にあれば青方偏移(波長が縮んで観測されること)し、外側にあれば赤方偏移する。ちょうど黄色い線上のどこかに重なるような速度の場合は波長が変わらない。このように、近づく場合でも速度が大きくなると赤方偏移することになる。逆に言うと、大きく赤方偏移するためには方向はあまり気にせず速くなるべく遠ざかればいいが、大きく青方偏移するためには速く近づく際にしっかり方向をそろえる必要がある。

𝜃 を固定したとき 𝑟 に応じて 𝑎 がどう変化するかを調べるため、 𝑎 を 𝑟 で微分してみると、 ∂𝑎∂𝑟 = ∂𝑟 1𝑉cos𝜃𝑐 1(𝑉𝑐)2 = ∂𝑟 1𝑟cos𝜃1𝑟2 = (1𝑟cos𝜃) ∂𝑟 11𝑟2 + 11𝑟2 ∂𝑟 (1𝑟cos𝜃) = (1𝑟cos𝜃) 𝑟(1𝑟2)32 + 1(1𝑟2)12 (cos𝜃) = (1𝑟cos𝜃)𝑟 + (cos𝜃)(1𝑟2) (1𝑟2)32 = 𝑟𝑟2cos𝜃cos𝜃+𝑟2cos𝜃 (1𝑟2)32 = 𝑟cos𝜃 (1𝑟2)32 のようになる。これにもとづいた増減表が表1だ。

表1. 𝜃 を固定したときの 𝑎 の増減表
𝜃 の範囲−1 ≦ cos 𝜃 ≦ 0 のとき0 < cos 𝜃 < 1 のときcos 𝜃 = 1 のとき
増減表
𝑎 の増減表
𝑟01
∂𝑎∂𝑟−cos 𝜃++∞
𝑎1+∞
𝑎 の増減表
𝑟0cos 𝜃1
∂𝑎∂𝑟−cos 𝜃0++∞
𝑎1|sin 𝜃|+∞
𝑎 の増減表
𝑟01
∂𝑎∂𝑟−1−∞
𝑎10

光源が観測者に近づいてくる cos 𝜃 > 0 の場合を考えると、 𝑟 = cos 𝜃 のときに 𝑎 が最小(青方偏移が最大)になり、そのときの 𝑎 の値は |sin 𝜃| である。

例えば 𝜃=𝜋4 の場合(光源が観測者に向かう方向から45°ずれた方向に運動する場合)は、 𝑟=12 すなわち 𝑉=12𝑐 のときに 𝑎 が最小値 12 となる。赤方偏移パラメータ 𝑧 で言えば 𝑧=1210.29 である。速度がこれより大きくなっても、波長がさらに短くなることはない。

図2の曲線は愚直に(5)式𝑉𝑐(=𝑟) について解いて 𝜃 の関数として表したものを 𝑎 の値を変えながらグラフ描画ソフトで極座標で表示したものである。数値的には図のとおりだが、この曲線は何なのか、その計算はこうだ。

1𝑉cos𝜃𝑐 1(𝑉𝑐)2 = 𝑎 1𝑟cos𝜃1𝑟2 = 𝑎 1𝑟cos𝜃 = 𝑎1𝑟2 (6) (1𝑟cos𝜃)2 = 𝑎2(1𝑟2) かつ1𝑟cos𝜃0 12𝑟cos𝜃+𝑟2cos2𝜃 = 𝑎2𝑎2𝑟2 かつ𝑟cos𝜃1、以下同じなので省略 (𝑎2+cos2𝜃)𝑟2 2𝑟cos𝜃 𝑎2+1 = 0 𝑟 = cos𝜃 ± cos2𝜃 (𝑎2+cos2𝜃) (𝑎2+1) 𝑎2+cos2𝜃 = cos𝜃 ± cos2𝜃 ( 𝑎4 +𝑎2 𝑎2cos2𝜃 +cos2𝜃 ) 𝑎2+cos2𝜃 = cos𝜃 ± 𝑎4𝑎2+𝑎2cos2𝜃 𝑎2+cos2𝜃 = cos𝜃±𝑎𝑎21+cos2𝜃 𝑎2+cos2𝜃 = cos𝜃±𝑎𝑎2sin2𝜃 𝑎2+cos2𝜃

𝑎 や 𝜃 の値に応じて、 𝑟 の妥当な解の個数が0個〜2個に変化する。 𝑎 を固定して 𝜃 を動かしたらどうなるかを手動でこの式から考えるのは面倒である。次に 𝜃 について解いてみると、(6)式より 1𝑟cos𝜃 = 𝑎1𝑟2 𝑟cos𝜃 = 1+𝑎1𝑟2 cos𝜃 = 1𝑎1𝑟2𝑟 𝜃 = arccos1𝑎1𝑟2𝑟 となって、これもややこしい。ところでこれらをデカルト座標 (𝑥,𝑦) で表すことを考えてみる。(𝑥,𝑦) と (𝑟,𝜃) との関係は { 𝑥=𝑟cos𝜃 𝑦=𝑟sin𝜃 (7) であり、また 𝑟2=𝑥2+𝑦2 (8) であるから、(6)式より、 1𝑟cos𝜃 = 𝑎1𝑟2 (6)式 1𝑥 = 𝑎1(𝑥2+𝑦2) (7)(8)式を代入した。 (1𝑥)2 = 𝑎2 (1𝑥2𝑦2) かつ1𝑥0 12𝑥+𝑥2 = 𝑎2 𝑎2𝑥2 𝑎2𝑦2 かつ𝑥1、以下同じなので省略 (𝑎2+1)𝑥2 2𝑥 +𝑎2𝑦2 = 𝑎21 𝑥2 2𝑎2+1𝑥 +𝑎2𝑎2+1𝑦2 = 𝑎21𝑎2+1 𝑥2 2𝑎2+1𝑥 +1(𝑎2+1)2 +𝑎2𝑎2+1𝑦2 = 𝑎21𝑎2+1 +1(𝑎2+1)2 (𝑥1𝑎2+1)2 +𝑎2𝑎2+1𝑦2 = (𝑎21)(𝑎2+1) (𝑎2+1)2 +1(𝑎2+1)2 (𝑥1𝑎2+1)2 +𝑎2𝑎2+1𝑦2 = 𝑎41 (𝑎2+1)2 +1(𝑎2+1)2 (𝑥1𝑎2+1)2 +𝑎2𝑎2+1𝑦2 = 𝑎4(𝑎2+1)2 (𝑥1𝑎2+1)2 +𝑎2𝑎2+1𝑦2 = (𝑎2𝑎2+1)2 (𝑥1𝑎2+1)2 (𝑎2𝑎2+1)2 + 𝑦2 (𝑎2𝑎2+1) = 1 のようになる。見てわかるようにこれは楕円の方程式である。図2の赤・黄・青の曲線は楕円だったのだ。この図は2次元で描いているので楕円だが、現実の3次元空間では回転楕円体となる。

3. 運動量ベクトルとドップラー効果との関係

図2からわかるように、光源との相対速度が光速に近いときは速度がわずかに変わるだけでドップラー効果が大きく変わる。一方、特殊相対性理論によれば速度が光速に近いときは速度がわずかに変わるためにも運動量が大きく変わらなければならないのだった。それなら光源の運動量とドップラー効果との対応はどうなっているのだろうか。

と言っても、光源の質量(静止時に測った質量。以下同じ。)はドップラー効果と関係ないので、ここで影響するのは正しくは運動量を質量で割った4元速度の空間成分である。質量で割るのは最後にやることにして、とりあえず運動量のまま計算を進める。

特殊相対性理論によれば、光源の質量を 𝑚 とすると、光源の運動量 𝑝 は 𝑝 = 𝑚𝑉1(𝑉𝑐)2 である。これを 𝑉𝑐 について解くと 𝑝 = 𝑚𝑉1(𝑉𝑐)2 𝑝1(𝑉𝑐)2 = 𝑚𝑉 𝑝2(1𝑉2𝑐2) = 𝑚2𝑉2 (𝑚2𝑝2𝑐2) 𝑉2 = 𝑝2 𝑚2𝑐2+𝑝2𝑐2 𝑉2 = 𝑝2 𝑉2𝑐2 = 𝑝2𝑚2𝑐2+𝑝2 𝑉𝑐 = 𝑝𝑚2𝑐2+𝑝2 である。 𝑝 と 𝑉 の符号が同じだから最後の行では正の平方根を採用した。これを(5)式に代入すると、 𝑎 = 1 𝑝𝑚2𝑐2+𝑝2cos𝜃 1 (𝑝𝑚2𝑐2+𝑝2) 2 = 1 𝑝𝑚2𝑐2+𝑝2cos𝜃 1 𝑝2𝑚2𝑐2+𝑝2 = 1 𝑝𝑚2𝑐2+𝑝2cos𝜃 𝑚2𝑐2+𝑝2𝑝2 𝑚2𝑐2+𝑝2 = 1 𝑝𝑚2𝑐2+𝑝2cos𝜃 𝑚2𝑐2 𝑚2𝑐2+𝑝2 = 𝑚2𝑐2+𝑝2𝑝cos𝜃 𝑚2𝑐2 = 1+(𝑝𝑚𝑐)2 𝑝𝑚𝑐cos𝜃 (9) のようになる。この 𝑎 の値を図示したものが図3である。

光源の4元速度とドップラー効果の赤方偏移/青方偏移の対応の図
図3. 光源の4元速度とドップラー効果

動径座標は 𝑟=𝑝𝑚𝑐 、角度座標は 𝜃 である。 𝑟 座標の値を 𝑐 倍したもの(𝑐 倍しない流儀もある)が4元速度の空間成分、 𝑚𝑐 倍したものが運動量である。図2と同様に、赤・黄・青の曲線は 𝑎 が一定となる曲線であり、 𝑎 の値が 2倍になるごとに線を引いてある。 𝑟 軸が描いてある右向きが観測者に近づく方向である。図の右半分は光源が近づく場合、左半分は光源が遠ざかる場合である。

3次元的な速度には上限があるから図2は円内にすべての可能な状態が収まっていたが、運動量や4元速度の成分には原理的に上限がないから図3はすべての状態を表示することができない。可能な状態は図の外に無限に広がっている。 𝑝 が 𝑚𝑐 に比べてとても大きくなったときは、(9)式は次のように近似できる。

𝑎 = 1+(𝑝𝑚𝑐)2 𝑝𝑚𝑐cos𝜃 = 𝑝𝑚𝑐 (𝑚𝑐𝑝)2+1 𝑝𝑚𝑐cos𝜃 = 𝑝𝑚𝑐 {1+(𝑚𝑐𝑝)2} 12 𝑝𝑚𝑐cos𝜃 𝑝𝑚𝑐 { 1+12(𝑚𝑐𝑝)2 } 𝑝𝑚𝑐cos𝜃 = 𝑝𝑚𝑐(1cos𝜃) +𝑚𝑐2𝑝

つまり方向 𝜃 が一定の場合、 𝑎 は 𝑝𝑚𝑐 にほぼ比例するようになる。ただし 𝜃 = 0 のときは第1項が0になるので第2項が効いて 𝑎 は 𝑝𝑚𝑐 にほぼ反比例するようになる。この近似が役に立つような現象が現実に存在するかどうかは知らない。

図3の曲線は愚直に(9)式𝑝𝑚𝑐(=𝑟) について解いて 𝜃 の関数として表したものを 𝑎 の値を変えながらグラフ描画ソフトで極座標で表示したものである。数値的には図のとおりだが、この曲線は何なのか、その計算はこうだ。

𝑎 = 1+(𝑝𝑚𝑐)2 𝑝𝑚𝑐cos𝜃 𝑎 = 1+𝑟2𝑟cos𝜃 𝑟cos𝜃+𝑎 = 1+𝑟2 (10) 𝑟2cos2𝜃 +2𝑎𝑟cos𝜃 +𝑎2 = 1+𝑟2 かつ𝑟cos𝜃+𝑎0 𝑟2(cos2𝜃1) +2𝑎𝑟cos𝜃 +𝑎21 = 0 かつ𝑟cos𝜃𝑎、以下同じなので省略 𝑟2(sin2𝜃) +2𝑎𝑟cos𝜃 +𝑎21 = 0 𝑟2sin2𝜃 2𝑎𝑟cos𝜃 (𝑎21) = 0

これは sin 𝜃 が0のときは1次方程式、0でないときは2次方程式である。そこで −𝜋 ≦ 𝜃 ≦ 𝜋 とすれば、 𝜃=0 のとき 2𝑎𝑟(𝑎21) = 0 2𝑎𝑟 = 𝑎21 𝑟 = 𝑎212𝑎 𝜃=±𝜋 のとき 2𝑎𝑟(𝑎21) = 0 2𝑎𝑟 = 𝑎21 𝑟 = 𝑎212𝑎 0<|𝜃|<𝜋 のとき 𝑟 = 𝑎cos𝜃 ± (𝑎cos𝜃)2 +sin2𝜃(𝑎21) sin2𝜃 = 𝑎cos𝜃 ± 𝑎2cos2𝜃 +𝑎2sin2𝜃 sin2𝜃 sin2𝜃 = 𝑎cos𝜃±𝑎2sin2𝜃 sin2𝜃 である。𝑎 や 𝜃 の値に応じて、 𝑟 の妥当な解の個数が0個〜2個に変化する。 𝑎 を固定して 𝜃 を動かしたらどうなるかを手動でこの式から考えるのは面倒である。次に 𝜃 について解いてみると、(10)式より 𝑟cos𝜃+𝑎 = 1+𝑟2 𝑟cos𝜃 = 1+𝑟2𝑎 cos𝜃 = 1+𝑟2𝑎𝑟 𝜃 = arccos1+𝑟2𝑎𝑟 となって、これもややこしい。ところでこれらをデカルト座標 (𝑥,𝑦) で表すことを考えてみる。(𝑥,𝑦) と (𝑟,𝜃) との関係は(7)(8)式であるから、(10)式より、 𝑟cos𝜃+𝑎 = 1+𝑟2 (10)式 𝑥+𝑎 = 1+𝑥2+𝑦2 (7)(8)式を代入した。 𝑥2+2𝑎𝑥+𝑎2 = 1+𝑥2+𝑦2 かつ𝑥+𝑎0 2𝑎𝑥 = 𝑦2𝑎2+1 かつ𝑥𝑎、以下同じなので省略 𝑥 = 𝑦22𝑎 𝑎212𝑎 のようになる。見てわかるようにこれは放物線の方程式である。図3の赤・黄・青の曲線は放物線だったのだ。

4. 用語について

4.1 縦と横

1節で「縦ドップラー効果」・「横ドップラー効果」と書いたが、前者は後者に比べて用語の使用例が少ないと思う。

非相対論的なドップラー効果では相対速度の縦方向成分のみがドップラー効果に寄与し、相対速度の横方向成分は関係ないのであった。ところが相対論的なドップラー効果では1.2節で述べたように、相対速度が縦方向でなく横方向であっても生じる効果があるので、これを「横でも生じる」という意味で「横ドップラー効果」と呼ぶ。これに対して1.1節で述べた「縦ドップラー効果」は相対論以前からあった概念だからわざわざ命名する動機が少ないのだろう。

しかし現象を素直に解釈すれば、「縦ドップラー効果」は相対速度の縦方向成分のみが関与するので妥当な命名であるが、「横ドップラー効果」は相対速度の方向に関係なく縦でも横でも生じるのだから現象を適切に言い表していないと思える。あるいは、相対速度の縦方向成分が0で完全に真横のときだけ「横ドップラー効果」と呼ぶといった説明もあるようだが、完全に真横のときだけ特別な用語で呼んでもあまり意味がないのではないかと思う。

4.2 赤と青

光が発信されたときに比べて波長が伸びて観測されると、黄色や緑などの可視光が赤側にずれるので、これを赤方偏移と呼ぶ。それに対して、波長が縮んで観測されると、黄色や緑などの可視光が青側にずれるので、これを青方偏移と呼ぶ。(これらは可視光でなくてもそう呼ぶ。)

可視光の波長が短いほうの端は青 (blue) ではなく紫 (violet) であるし、赤外線 (infrared) に対して紫外線 (ultraviolet) と言うが、赤方偏移 (redshift) に対してはなぜか紫方偏移 (violetshift) とはあまり言わず青方偏移 (blueshift) と言うことになっている。

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