付録 リーマンテンソル等
シュバルツシルト・(反)ドジッター解あるいはコトラー解
のリーマンテンソル等を載せておく。リーマンテンソルの各成分を具体的に計算するときの一般論は「シュバルツシルト解のリーマン曲率テンソル」の記事で少し触れた。同様に計算すればよいのでここでは結果だけを書く。
クリストッフェル記号
クリストッフェル記号のうち0でない成分は
である。
リーマンテンソル
リーマンテンソルの 𝑅𝜅𝜆𝜇𝜈 のうち0でない成分を表1に、 𝑅𝜅𝜆𝜇𝜈 のうち0でない成分を表2に示す。
表1. シュバルツシルト・(反)ドジッター解のリーマンテンソル 𝑅𝜅𝜆𝜇𝜈 の0でない成分
|
|
|
|
|
|
|
|
|
表2. シュバルツシルト・(反)ドジッター解のリーマンテンソル 𝑅𝜅𝜆𝜇𝜈 の0でない成分
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
リーマンテンソルの2乗は
である。 𝛬 に依存する項は時空の全域で一定であり、 𝑟𝑠 に依存する項は原点から遠いほど小さくなっている。
リッチテンソル・スカラー曲率
リッチテンソル 𝑅𝜇𝜈 はリーマンテンソルの縮約 𝑅𝜆𝜇𝜆𝜈 であるから、それは表2を縦に列ごとに合計すればよいので、0でない成分は
である。 𝑅𝜇𝜈 のうち0でない成分は
である。したがってスカラー曲率(リッチスカラー) 𝑅 は
である。
別解
リッチテンソルやスカラー曲率だけが欲しいときは、わざわざ苦労してクリストッフェル記号やリーマンテンソルを計算する必要はない。次のようにすれば求められる。第1章で解いた重力場の方程式
に 𝐺𝜇𝜈 の定義を代入すると、
である。この式の両辺に 𝛿𝜈𝜇 をかけて縮約してみよう。
のようになってスカラー曲率が求まる。これを(28)式に代入すると
となってリッチテンソル 𝑅𝜇𝜈 が求まる。添え字をおろせば
である。すでに(3)式を解いて 𝑔𝜇𝜈 は求まっているからそれを 𝛬 倍するだけで𝑅𝜇𝜈 が求まる。このようにしてスカラー曲率やリッチテンソルを計算することができる。
ところで、話を最初に戻すと第1章では(3)式を解いて 𝑔𝜇𝜈 の解を求めたが、(3)式と(28)式と(29)式は等価なので、(3)式を解く代わりに(29)式を解いて 𝑔𝜇𝜈 の解を求めても同じである。その方が方程式を作る作業は楽であるが、解く手間が少しだけ増える。どちらのやり方で解いても構わない。