宇宙項があったらシュバルツシルト解はどう変わるか(3)

付録 リーマンテンソル等

シュバルツシルト・(反)ドジッター解あるいはコトラー解 d𝑠2 = ( 113𝛬𝑟2𝑟𝑠𝑟 ) d𝑤2 + 1 113𝛬𝑟2𝑟𝑠𝑟 d𝑟2 +𝑟2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) (23)式 のリーマンテンソル等を載せておく。リーマンテンソルの各成分を具体的に計算するときの一般論は「シュバルツシルト解(外部解)のリーマン曲率テンソル」の記事で少し触れた。同様に計算すればよいのでここでは結果だけを書く。

クリストッフェル記号

クリストッフェル記号のうち0でない成分は 𝛤100 = 1𝑟 ( 113𝛬𝑟2𝑟𝑠𝑟 ) ( 13𝛬𝑟2𝑟𝑠2𝑟 ) , 𝛤010= 𝛤001= 𝛤111 = 13𝛬𝑟2𝑟𝑠2𝑟 𝑟 ( 113𝛬𝑟2𝑟𝑠𝑟 ) , 𝛤212= 𝛤221= 𝛤313= 𝛤331 =1𝑟, 𝛤122 = 𝑟 ( 113𝛬𝑟2𝑟𝑠𝑟 ) , 𝛤323= 𝛤332 =cot𝜃, 𝛤133 = 𝑟 ( 113𝛬𝑟2𝑟𝑠𝑟 ) sin2𝜃 , 𝛤233 = sin𝜃cos𝜃 である。

リーマンテンソル

リーマンテンソルの 𝑅𝜅𝜆𝜇𝜈 のうち0でない成分を表1に、 𝑅𝜅𝜆𝜇𝜈 のうち0でない成分を表2に示す。

表1. シュバルツシルト・(反)ドジッター解のリーマンテンソル 𝑅𝜅𝜆𝜇𝜈 の0でない成分
=𝑅0101 =𝑅0110 =𝑅1010 =𝑅1001 = 1𝑟2 (13𝛬𝑟2+𝑟𝑠𝑟) =𝑅0202 =𝑅0220 =𝑅2020 =𝑅2002 = ( 113𝛬𝑟2𝑟𝑠𝑟 ) ( 13𝛬𝑟2 𝑟𝑠2𝑟 ) =𝑅0303 =𝑅0330 =𝑅3030 =𝑅3003 = ( 113𝛬𝑟2𝑟𝑠𝑟 ) ( 13𝛬𝑟2 𝑟𝑠2𝑟 ) sin2𝜃
=𝑅1212 =𝑅1221 =𝑅2121 =𝑅2112 = 13𝛬𝑟2 𝑟𝑠2𝑟 113𝛬𝑟2𝑟𝑠𝑟 =𝑅1313 =𝑅1331 =𝑅3131 =𝑅3113 = 13𝛬𝑟2 𝑟𝑠2𝑟 113𝛬𝑟2𝑟𝑠𝑟 sin2𝜃
=𝑅2323 =𝑅2332 =𝑅3232 =𝑅3223 = 𝑟2 (13𝛬𝑟2+𝑟𝑠𝑟) sin2𝜃
表2. シュバルツシルト・(反)ドジッター解のリーマンテンソル 𝑅𝜅𝜆𝜇𝜈 の0でない成分
=𝑅0101 =𝑅0110 = 13𝛬𝑟2+𝑟𝑠𝑟 𝑟2 ( 113𝛬𝑟2𝑟𝑠𝑟 ) =𝑅0202 =𝑅0220 = 13𝛬𝑟2 𝑟𝑠2𝑟 =𝑅0303 =𝑅0330 = ( 13𝛬𝑟2 𝑟𝑠2𝑟 ) sin2𝜃
=𝑅1010 =𝑅1001 = 1𝑟2 ( 113𝛬𝑟2𝑟𝑠𝑟 ) ( 13𝛬𝑟2+𝑟𝑠𝑟 ) =𝑅1212 =𝑅1221 = 13𝛬𝑟2 𝑟𝑠2𝑟 =𝑅1313 =𝑅1331 = ( 13𝛬𝑟2 𝑟𝑠2𝑟 ) sin2𝜃
=𝑅2020 =𝑅2002 = 1𝑟2 ( 113𝛬𝑟2𝑟𝑠𝑟 ) ( 13𝛬𝑟2 𝑟𝑠2𝑟 ) =𝑅2121 =𝑅2112 = 13𝛬𝑟2 𝑟𝑠2𝑟 𝑟2 ( 113𝛬𝑟2𝑟𝑠𝑟 ) =𝑅2323 =𝑅2332 = (13𝛬𝑟2+𝑟𝑠𝑟) sin2𝜃
=𝑅3030 =𝑅3003 = 1𝑟2 ( 113𝛬𝑟2𝑟𝑠𝑟 ) ( 13𝛬𝑟2 𝑟𝑠2𝑟 ) =𝑅3131 =𝑅3113 = 13𝛬𝑟2 𝑟𝑠2𝑟 𝑟2 ( 113𝛬𝑟2𝑟𝑠𝑟 ) =𝑅3232 =𝑅3223 =13𝛬𝑟2+𝑟𝑠𝑟

リーマンテンソルの2乗は 𝑅𝜅𝜆𝜇𝜈𝑅𝜅𝜆𝜇𝜈= 83𝛬2 +12𝑟𝑠2𝑟6 である。 𝛬 に依存する項は時空の全域で一定であり、 𝑟𝑠 に依存する項は原点から遠いほど小さくなっている。

リッチテンソル・スカラー曲率

リッチテンソル 𝑅𝜇𝜈 はリーマンテンソルの縮約 𝑅𝜆𝜇𝜆𝜈 であるから、それは表2を縦に列ごとに合計すればよいので、0でない成分は 𝑅00= 𝛬 ( 113𝛬𝑟2𝑟𝑠𝑟 ) 𝑅11= 𝛬 113𝛬𝑟2𝑟𝑠𝑟 𝑅22=𝛬𝑟2 𝑅33=𝛬𝑟2sin2𝜃 である。 𝑅𝜇𝜈 のうち0でない成分は 𝑅00= 𝑅11= 𝑅22= 𝑅33= 𝛬 である。したがってスカラー曲率(リッチスカラー) 𝑅 は 𝑅=4𝛬 である。

別解

リッチテンソルやスカラー曲率だけが欲しいときは、わざわざ苦労してクリストッフェル記号やリーマンテンソルを計算する必要はない。次のようにすれば求められる。第1章で解いた重力場の方程式 𝐺𝜇𝜈 +𝛬𝛿𝜇𝜈 =0 (3)式 に 𝐺𝜇𝜈 の定義を代入すると、 𝑅𝜇𝜈 12𝛿𝜇𝜈𝑅 +𝛬𝛿𝜇𝜈 =0 (28) である。この式の両辺に 𝛿𝜈𝜇 をかけて縮約してみよう。 𝛿𝜈𝜇 ( 𝑅𝜇𝜈 12𝛿𝜇𝜈𝑅 +𝛬𝛿𝜇𝜈 ) = 0 𝛿𝜈𝜇 𝑅𝜇𝜈 12 𝛿𝜈𝜇 𝛿𝜇𝜈 𝑅 +𝛬 𝛿𝜈𝜇 𝛿𝜇𝜈 = 0 𝑅𝜇𝜇 12𝛿𝜇𝜇𝑅 +𝛬𝛿𝜇𝜇 = 0 𝑅124𝑅+4𝛬 = 0 𝑅2𝑅=4𝛬 𝑅=4𝛬 𝑅=4𝛬 のようになってスカラー曲率が求まる。これを(28)式に代入すると 𝑅𝜇𝜈 12𝛿𝜇𝜈4𝛬 +𝛬𝛿𝜇𝜈 = 0 𝑅𝜇𝜈 2𝛬𝛿𝜇𝜈 +𝛬𝛿𝜇𝜈 = 0 𝑅𝜇𝜈 𝛬𝛿𝜇𝜈 = 0 𝑅𝜇𝜈 = 𝛬𝛿𝜇𝜈 となってリッチテンソル 𝑅𝜇𝜈 が求まる。添え字をおろせば 𝑅𝜇𝜈=𝛬𝑔𝜇𝜈 (29) である。すでに(3)式を解いて 𝑔𝜇𝜈 は求まっているからそれを 𝛬 倍するだけで𝑅𝜇𝜈 が求まる。このようにしてスカラー曲率やリッチテンソルを計算することができる。

ところで、話を最初に戻すと第1章では(3)式を解いて 𝑔𝜇𝜈 の解を求めたが、(3)式(28)式(29)式は等価なので、(3)式を解く代わりに(29)式を解いて 𝑔𝜇𝜈 の解を求めても同じである。その方が方程式を作る作業は楽であるが、解く手間が少しだけ増える。どちらのやり方で解いても構わない。

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