球対称で定常な天体が作る重力場(2)

1.3 方程式を解く

1.2節の最後でできあがった(11)〜(13)式を解く。方程式をもう一度書いておくと、 第(0, 0)成分: 𝐵𝐵2𝑟 +1𝐵𝑟2 1𝑟2 =8𝜋𝐺𝜌𝑐2 (11) 第(1, 1)成分: 𝐴𝐴𝐵𝑟 +1𝐵𝑟2 1𝑟2 =8𝜋𝐺𝑝𝑐4 (12) 第(2, 2), (3, 3)成分: 𝐴2𝐴𝐵 𝐴𝐵4𝐴𝐵2 +𝐴2𝐴𝐵𝑟 𝐴24𝐴2𝐵 𝐵2𝐵2𝑟 =8𝜋𝐺𝑝𝑐4 (13) である。文字がいろいろあってややこしいが、 𝜋 と 𝐺 と 𝑐 は定数、 𝑟 は座標、 𝐴 と 𝐵 と 𝜌 と 𝑝 は未知関数(𝑟 の関数)である。未知関数が4つあるのに方程式が3つしかないので、これだけでは関数の形が完全には定まらない。実際はこの3つの他に、天体を構成する完全流体の性質(密度と圧力の関係)を表す何らかの状態方程式 𝑝=𝑝(𝜌)(14) が存在し、それによってすべての未知関数が定まる。もっと細かいことを言えば現実には天体の温度も大きくかかわってくるしいろいろ複雑であるが、いずれにしても(11)〜(13)式の他に物質に応じて密度と圧力の関係に制約が存在するということである。では上から順番に見ていこう。

第(0, 0)成分

(11)式には 𝐴 や 𝑝 が含まれておらず 𝐵 と 𝜌 だけの式なので単純である。 𝐵𝐵2𝑟 +1𝐵𝑟2 1𝑟2 = 8𝜋𝐺𝜌𝑐2 (11)式 𝐵𝑟𝐵21𝐵+1 = 8𝜋𝐺𝜌𝑟2𝑐2 𝐵𝑟𝐵21𝐵 = 1+8𝜋𝐺𝜌𝑟2𝑐2 dd𝑟(𝑟𝐵) = 1+8𝜋𝐺𝜌𝑟2𝑐2 𝑟𝐵 = 𝑟 +8𝜋𝐺𝜌𝑟2𝑐2d𝑟 = 𝑟 + 2𝐺𝑐24𝜋𝜌𝑟2d𝑟 (15) となる。(15)式の右辺の第2項は不定積分であるから積分定数の役割も含まれている。どうせ 𝜌 の具体的な形は最後まで決まらないので、(15)式の右辺の変形は本質的にはこれが限界である。ただしこのままでは今後の計算の見た目が繁雑になるので形式的な書き換えをしておく。そのために新たな関数 𝑚=𝑚(𝑟)= 0𝑟 4𝜋𝜌(𝑟)𝑟2 d𝑟 (16) を定義する。ここでは関数の引数を明確にするために括弧内に明記しておいた。 𝑟′ は積分変数を 𝑟 と区別するためにプライム ′ をつけたものであって微分ではない。あとで必要になる量をここで事前に計算しておくと、定義から明らかに 𝑚(0)=0(17) 𝑚(𝑟) =d𝑚(𝑟)d𝑟 =4𝜋𝜌(𝑟)𝑟2 (18) であり、また lim𝑟+0𝑚(𝑟)𝑟 = lim𝑟+0 1𝑟 0𝑟 4𝜋𝜌(𝑟)𝑟2 d𝑟 = lim𝑟+0 1𝑟 0𝑟 4𝜋 { 𝜌(0) +𝜌(0)𝑟 + 12! 𝜌(0)𝑟2 + 13! 𝜌(0)𝑟3 + } 𝑟2d𝑟 = lim𝑟+0 4𝜋𝑟 0𝑟 { 𝜌(0)𝑟2 +𝜌(0)𝑟3 + 12𝜌(0)𝑟4 + 16𝜌(0)𝑟5 + } d𝑟 = lim𝑟+0 4𝜋𝑟 [ 13𝜌(0)𝑟3 + 14 𝜌(0)𝑟4 + 110 𝜌(0)𝑟5 + 136 𝜌(0)𝑟6 + ] 0 𝑟 = lim𝑟+0 4𝜋𝑟 { 13𝜌(0)𝑟3 +14𝜌(0)𝑟4 +110𝜌(0)𝑟5 +136𝜌(0)𝑟6 + } = lim𝑟+0 4𝜋 { 13𝜌(0)𝑟2 +14𝜌(0)𝑟3 +110𝜌(0)𝑟4 +136𝜌(0)𝑟5 + } =0(19) である。さて、 𝑚 を使うと(15)式 𝑟𝐵 = 𝑟+2𝐺𝑚𝑐2+𝑟𝑎 𝑟𝑎は積分定数) 1𝐵 = 1 2𝐺𝑚𝑐2𝑟 𝑟𝑎𝑟 𝐵 = 1 1 2𝐺𝑚𝑐2𝑟 𝑟𝑎𝑟 (20) = 𝑟 𝑟2𝐺𝑚𝑐2𝑟𝑎 (21) となる。ここまで左辺の式変形はシュバルツシルト解のときとまったく同じであり、右辺だけが異なる。

ここで積分定数 𝑟𝑎 は実は0である。それは次のようにしてわかる。まず 𝑟 → 0 のときに 𝐵 がどうなるかを考えると、仮に 𝑟𝑎 = 0 ならば(20)(19)式より lim𝑟+0𝐵=1 であり、 𝑟𝑎 ≠ 0 ならば(21)(17)式より lim𝑟+0𝐵=0 である。ここで 𝑤 = 一定 , 𝑟 = 𝜀 , 𝜃=𝜋2 の円を考えると、(5)式よりこの円の1周の長さは 2𝜋𝜀 になる。時空のどの世界点の近傍にも局所慣性系が存在するから、 𝜀 が十分小さいときは、この円は 𝑟 = 0 の近傍の局所慣性系(平坦な時空)で考えてよいので半径は円周の 12𝜋 倍すなわち 𝜀 になる。それは lim𝑟+0𝑔11= lim𝑟+0𝐵=1 になっているということだから、 𝑟𝑎 = 0 であることがわかる。したがってそれを(20)式に代入すると、 𝐵= 112𝐺𝑚𝑐2𝑟 (22) のように書くことができる。見た目は簡潔になったが、 𝑚 が 𝑟 の関数((16)式)であることを忘れてはならない。

第(1, 1)成分

(12)式より、 𝐴𝐴𝐵𝑟 +1𝐵𝑟2 1𝑟2 = 8𝜋𝐺𝑝𝑐4 (12)式 𝐴𝐴+1𝑟𝐵𝑟 = 8𝜋𝐺𝑝𝐵𝑟𝑐4 𝐴𝐴 = 𝐵 ( 8𝜋𝐺𝑝𝑟𝑐4+1𝑟 ) 1𝑟 = 8𝜋𝐺𝑝𝑟𝑐4+1𝑟 12𝐺𝑚𝑐2𝑟 1𝑟 (22)式を代入した。 = 8𝜋𝐺𝑝𝑟𝑐4+ 1𝑟 1𝑟 (12𝐺𝑚𝑐2𝑟) 12𝐺𝑚𝑐2𝑟 = 8𝜋𝐺𝑝𝑟𝑐4 +2𝐺𝑚𝑐2𝑟2 12𝐺𝑚𝑐2𝑟 = 2𝐺𝑐2𝑟2 (4𝜋𝑝𝑟3𝑐2+𝑚) 12𝐺𝑚𝑐2𝑟 = 2𝐺𝑐2 4𝜋𝑝𝑟3𝑐2+𝑚 𝑟2 (12𝐺𝑚𝑐2𝑟) (23) となる。シュバルツシルト解(内部解)のときはここまできた段階で、第(1, 1)成分の式変形は後回しにして第(2, 2), (3, 3)成分の式に進んで 𝑝 を決めてから戻ってきたのだった。しかし今回はどうせ 𝑚 と 𝑝 の具体的な形は最後まで決まらないので、(23)式を後回しにする理由はない。このまま式変形を続ける。(23)式を積分すると、 𝐴𝐴d𝑟 = 2𝐺𝑐2 4𝜋𝑝𝑟3𝑐2+𝑚 𝑟2 (12𝐺𝑚𝑐2𝑟) d𝑟 ln|𝐴| = 2𝐺𝑐2 4𝜋𝑝𝑟3𝑐2+𝑚 𝑟2 (12𝐺𝑚𝑐2𝑟) d𝑟 𝐴 = exp { 2𝐺𝑐2 4𝜋𝑝𝑟3𝑐2+𝑚 𝑟2 (12𝐺𝑚𝑐2𝑟) d𝑟 } (24) のようになる。 𝐴 が正であると勝手に決めつけているが、これはもし 𝐴 が負だったらその場所で 𝑔₁₁ < 0 < 𝑔₀₀ だということになっていろいろおかしくなるからである。(24)式の右辺の波括弧内は不定積分であるから積分定数の役割も含まれているので、 𝐴 には正の定数倍の任意性があることになる。 𝑚 が 𝑟 の関数((16)式)であることを忘れてはならない。

第(2, 2), (3, 3)成分

(23)式(22)式を使って(13)式から 𝐴 と 𝐵 を消去し、 𝜌 (と 𝑚)と 𝑝 だけの式にすることを考える。そのために必要となる 𝐴 や 𝐵 に関する微分などを先に求めておこう。 𝐴 については(23)式を変形して微分すると、 𝐴𝐴 = 2𝐺𝑐2 4𝜋𝑝𝑟3𝑐2+𝑚 𝑟2 (12𝐺𝑚𝑐2𝑟) (23)式 = 2𝐺𝑐2 4𝜋𝑝𝑟3+𝑐2𝑚 𝑐2𝑟22𝐺𝑚𝑟 (25) dd𝑟𝐴𝐴 = dd𝑟 ( 2𝐺𝑐2 4𝜋𝑝𝑟3+𝑐2𝑚 𝑐2𝑟22𝐺𝑚𝑟 ) 𝐴𝐴 𝐴𝐴2𝐴 = 2𝐺𝑐2 { 4𝜋 (𝑝𝑟3+3𝑝𝑟2) +𝑐2𝑚 𝑐2𝑟22𝐺𝑚𝑟 2𝑐2𝑟2𝐺(𝑚𝑟+𝑚) (𝑐2𝑟22𝐺𝑚𝑟) 2 (4𝜋𝑝𝑟3+𝑐2𝑚) } 𝐴𝐴 𝐴2𝐴2 = 2𝐺𝑐2 { 4𝜋𝑝𝑟3 +12𝜋𝑝𝑟2 +4𝜋𝑐2𝜌𝑟2 𝑟(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) 2𝑐2𝑟 2𝐺(4𝜋𝜌𝑟3+𝑚) 𝑟2 (𝑐2𝑟2𝐺𝑚)2 (4𝜋𝑝𝑟3+𝑐2𝑚) } (18)式を代入した。 = 2𝐺𝑐2 { 4𝜋𝑝𝑟2 +12𝜋𝑝𝑟 +4𝜋𝑐2𝜌𝑟 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 2𝑐2𝑟 8𝜋𝐺𝜌𝑟3 2𝐺𝑚 (𝑐2𝑟2𝐺𝑚)2 4𝜋𝑝𝑟3+𝑐2𝑚𝑟2 } = 2𝐺 𝑐2(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) { 4𝜋𝑝𝑟2+ 12𝜋𝑝𝑟+ 4𝜋𝑐2𝜌𝑟 2𝑐2𝑟 8𝜋𝐺𝜌𝑟3 2𝐺𝑚 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 ( 4𝜋𝑝𝑟+𝑐2𝑚𝑟2 ) } = 2𝐺𝑐2𝑟2𝐺𝑚 { 4𝜋𝑝𝑟2𝑐2+ 12𝜋𝑝𝑟𝑐2+ 4𝜋𝜌𝑟 ( 2+ 8𝜋𝐺𝜌𝑟3+2𝐺𝑚 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 ) ( 4𝜋𝑝𝑟𝑐2+𝑚𝑟2 ) } = 2𝐺𝑐2𝑟2𝐺𝑚 { 4𝜋𝑝𝑟2𝑐2+ 4𝜋𝑝𝑟𝑐2 ( 32 8𝜋𝐺𝜌𝑟3+2𝐺𝑚 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 ) +4𝜋𝜌𝑟+ 𝑚𝑟2 ( 2 8𝜋𝐺𝜌𝑟3+2𝐺𝑚 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 ) } = 2𝐺𝑐2𝑟2𝐺𝑚 { 4𝜋𝑝𝑟2𝑐2+ 4𝜋𝑝𝑟𝑐2 ( 1+ 8𝜋𝐺𝜌𝑟32𝐺𝑚 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 ) +4𝜋𝜌𝑟+ 𝑚𝑟2 ( 2+ 8𝜋𝐺𝜌𝑟32𝐺𝑚 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 ) } (26) のようになる。 𝐵 については(22)式より 1𝐵 = 12𝐺𝑚𝑐2𝑟 (27) = 𝑐2𝑟2𝐺𝑚𝑐2𝑟 (28) であり、(27)式を微分すると、 dd𝑟1𝐵 = dd𝑟 (12𝐺𝑚𝑐2𝑟) 𝐵𝐵2 = 2𝐺𝑐2 (𝑚𝑟𝑚𝑟2) = 2𝐺𝑐2 ( 4𝜋𝜌𝑟2𝑟𝑚𝑟2 ) (18)式を代入した。 = 2𝐺𝑐2 (4𝜋𝜌𝑟+𝑚𝑟2) (29) のようになる。

さて、(13)式 (13)式の左辺 = 𝐴2𝐴𝐵 𝐴𝐵4𝐴𝐵2 +𝐴2𝐴𝐵𝑟 𝐴24𝐴2𝐵 𝐵2𝐵2𝑟 = 𝐴2𝐴𝐵 𝐴24𝐴2𝐵 𝐴𝐵4𝐴𝐵2 +𝐴2𝐴𝐵𝑟 𝐵2𝐵2𝑟 ←項の順番を変えただけ。 = 𝐴2𝐴𝐵 𝐴22𝐴2𝐵 +𝐴24𝐴2𝐵 𝐴𝐵4𝐴𝐵2 +𝐴2𝐴𝐵𝑟 𝐵2𝐵2𝑟 = 121𝐵 ( 𝐴𝐴 𝐴2𝐴2 ) + 141𝐵 (𝐴𝐴)2 + 14(𝐵𝐵2) 𝐴𝐴 + 12𝑟 ( 1𝐵𝐴𝐴 𝐵𝐵2 ) (30) のように変形できる。(30)式(25)(26)(28)(29)式を代入すればよいのであるが、一気にやると式がとても長くなって大変であるから、4つの項ごとに別々に計算しよう。その際、 𝑝 の次数に応じて項を整理しておくとよい。 (30)式の右辺の第1項 = 121𝐵 ( 𝐴𝐴 𝐴2𝐴2 ) = 12 𝑐2𝑟2𝐺𝑚𝑐2𝑟 [ 2𝐺𝑐2𝑟2𝐺𝑚 { 4𝜋𝑝𝑟2𝑐2+ 4𝜋𝑝𝑟𝑐2 ( 1+ 8𝜋𝐺𝜌𝑟32𝐺𝑚 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 ) +4𝜋𝜌𝑟+ 𝑚𝑟2 ( 2+ 8𝜋𝐺𝜌𝑟32𝐺𝑚 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 ) } ] (28)(26)式を代入した。 = 𝐺𝑐2 { 4𝜋𝑝𝑟𝑐2+ 4𝜋𝑝𝑐2 ( 1+ 8𝜋𝐺𝜌𝑟32𝐺𝑚 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 ) +4𝜋𝜌+ 𝑚𝑟3 ( 2+ 8𝜋𝐺𝜌𝑟32𝐺𝑚 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 ) } (30)式の右辺の第2項 = 141𝐵 (𝐴𝐴)2 = 14 𝑐2𝑟2𝐺𝑚𝑐2𝑟 { 2𝐺𝑐2 4𝜋𝑝𝑟3+𝑐2𝑚 𝑐2𝑟22𝐺𝑚𝑟 } 2 (28)(25)式を代入した。 = 14 𝑐2𝑟2𝐺𝑚𝑐2𝑟 { 2𝐺𝑟(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) (4𝜋𝑝𝑟3𝑐2+𝑚) } 2 = 𝐺2 𝑐2𝑟3(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) ( 16𝜋2𝑝2𝑟6𝑐4 +8𝜋𝑚𝑝𝑟3𝑐2 +𝑚2 ) = 𝐺𝑐2 { 16𝜋2𝐺𝑝2𝑟3 𝑐4(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) + 8𝜋𝐺𝑚𝑝 𝑐2(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) + 𝐺𝑚2 𝑟3(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) } (30)式の右辺の第3項 = 14(𝐵𝐵2) 𝐴𝐴 = 14 { 2𝐺𝑐2 (4𝜋𝜌𝑟+𝑚𝑟2) } ( 2𝐺𝑐2 4𝜋𝑝𝑟3+𝑐2𝑚 𝑐2𝑟22𝐺𝑚𝑟 ) (29)(25)式を代入した。 = 𝐺2𝑐2 4𝜋𝜌𝑟3+𝑚𝑟2 2𝐺𝑐2 4𝜋𝑝𝑟3+𝑐2𝑚 𝑟(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) = 𝐺𝑐2 (4𝜋𝐺𝜌𝑟3+𝐺𝑚) (4𝜋𝑝𝑟3+𝑐2𝑚) 𝑐2𝑟3(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) = 𝐺𝑐2 4𝜋𝑝𝑟3 (4𝜋𝐺𝜌𝑟3+𝐺𝑚) +𝑐2𝑚 (4𝜋𝐺𝜌𝑟3+𝐺𝑚) 𝑐2𝑟3(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) = 𝐺𝑐2 { 4𝜋𝑝(4𝜋𝐺𝜌𝑟3+𝐺𝑚) 𝑐2(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) + 𝑚(4𝜋𝐺𝜌𝑟3+𝐺𝑚) 𝑟3(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) } (30)式の右辺の第4項 = 12𝑟 ( 1𝐵𝐴𝐴 𝐵𝐵2 ) = 12𝑟 { 𝑐2𝑟2𝐺𝑚𝑐2𝑟 ( 2𝐺𝑐2 4𝜋𝑝𝑟3+𝑐2𝑚 𝑐2𝑟22𝐺𝑚𝑟 ) + 2𝐺𝑐2 (4𝜋𝜌𝑟+𝑚𝑟2) } (28)(25)(29)式を代入した。 = 12𝑟 { 2𝐺𝑐2 𝑐2𝑟2𝐺𝑚𝑐2𝑟 4𝜋𝑝𝑟3+𝑐2𝑚 𝑟(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) + 2𝐺𝑐2 (4𝜋𝜌𝑟+𝑚𝑟2) } = 12𝑟2𝐺𝑐2 { 4𝜋𝑝𝑟3+𝑐2𝑚 𝑐2𝑟2 +(4𝜋𝜌𝑟+𝑚𝑟2) } = 1𝑟𝐺𝑐2 ( 4𝜋𝑝𝑟𝑐2 +𝑚𝑟2 4𝜋𝜌𝑟 +𝑚𝑟2 ) = 𝐺𝑐2 ( 4𝜋𝑝𝑐2 +2𝑚𝑟3 4𝜋𝜌 ) これらを(30)式に代入すると、 (13)式の左辺 = 𝐺𝑐2 { 4𝜋𝑝𝑟𝑐2+ 4𝜋𝑝𝑐2 ( 1+ 8𝜋𝐺𝜌𝑟32𝐺𝑚 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 ) +4𝜋𝜌+ 𝑚𝑟3 ( 2+ 8𝜋𝐺𝜌𝑟32𝐺𝑚 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 ) } +𝐺𝑐2 { 16𝜋2𝐺𝑝2𝑟3 𝑐4(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) + 8𝜋𝐺𝑚𝑝 𝑐2(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) + 𝐺𝑚2 𝑟3(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) } +𝐺𝑐2 { 4𝜋𝑝(4𝜋𝐺𝜌𝑟3+𝐺𝑚) 𝑐2(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) + 𝑚(4𝜋𝐺𝜌𝑟3+𝐺𝑚) 𝑟3(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) } +𝐺𝑐2 ( 4𝜋𝑝𝑐2 +2𝑚𝑟3 4𝜋𝜌 ) = 𝐺𝑐2 [ 4𝜋𝑝𝑟𝑐2+ 16𝜋2𝐺𝑝2𝑟3 𝑐4(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) + { 4𝜋𝑝𝑐2 ( 1+ 8𝜋𝐺𝜌𝑟32𝐺𝑚 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 ) + 8𝜋𝐺𝑚𝑝 𝑐2(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) + 4𝜋𝑝(4𝜋𝐺𝜌𝑟3+𝐺𝑚) 𝑐2(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) +4𝜋𝑝𝑐2 } + { 4𝜋𝜌+ 𝑚𝑟3 ( 2+ 8𝜋𝐺𝜌𝑟32𝐺𝑚 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 ) + 𝐺𝑚2 𝑟3(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) + 𝑚(4𝜋𝐺𝜌𝑟3+𝐺𝑚) 𝑟3(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) +2𝑚𝑟3 4𝜋𝜌 } ] = 𝐺𝑐2 { 4𝜋𝑝𝑟𝑐2+ 16𝜋2𝐺𝑝2𝑟3 𝑐4(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) +4𝜋𝑝𝑐2 ( 1+ 8𝜋𝐺𝜌𝑟32𝐺𝑚 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 +2𝐺𝑚𝑐2𝑟2𝐺𝑚 + 4𝜋𝐺𝜌𝑟3+𝐺𝑚 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 +1 ) +𝑚𝑟3 ( 2+ 8𝜋𝐺𝜌𝑟32𝐺𝑚 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 +𝐺𝑚𝑐2𝑟2𝐺𝑚 + 4𝜋𝐺𝜌𝑟3+𝐺𝑚 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 +2 ) } = 𝐺𝑐2 { 4𝜋𝑝𝑟𝑐2+ 16𝜋2𝐺𝑝2𝑟3 𝑐4(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) +4𝜋𝑝𝑐2 ( 2+ 4𝜋𝐺𝜌𝑟3+𝐺𝑚 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 ) +𝑚𝑟3 4𝜋𝐺𝜌𝑟3 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 } = 𝐺𝑐2 { 4𝜋𝑝𝑟𝑐2+ 16𝜋2𝐺𝑝2𝑟3 𝑐4(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) +4𝜋𝑝𝑐2 ( 2+ 4𝜋𝐺𝜌𝑟3+𝐺𝑚 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 ) + 4𝜋𝐺𝑚𝜌𝑐2𝑟2𝐺𝑚 } = 4𝜋𝐺𝑐4 { 𝑝𝑟+ 4𝜋𝐺𝑝2𝑟3 𝑐2(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) +𝑝 ( 2+ 4𝜋𝐺𝜌𝑟3+𝐺𝑚 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 ) + 𝑐2𝐺𝑚𝜌 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 } である。これを(13)式に代入すれば、 4𝜋𝐺𝑐4 { 𝑝𝑟+ 4𝜋𝐺𝑝2𝑟3 𝑐2(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) +𝑝 ( 2+ 4𝜋𝐺𝜌𝑟3+𝐺𝑚 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 ) + 𝑐2𝐺𝑚𝜌 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 } = 8𝜋𝐺𝑝𝑐4 𝑝𝑟+ 4𝜋𝐺𝑝2𝑟3 𝑐2(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) +𝑝 ( 2+ 4𝜋𝐺𝜌𝑟3+𝐺𝑚 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 ) + 𝑐2𝐺𝑚𝜌 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 = 2𝑝 𝑝𝑟+ 4𝜋𝐺𝑝2𝑟3 𝑐2(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) +𝑝 4𝜋𝐺𝜌𝑟3+𝐺𝑚 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 + 𝑐2𝐺𝑚𝜌 𝑐2𝑟2𝐺𝑚 = 0 𝑝𝑟+ 4𝜋𝐺𝑝2𝑟3 + 𝑐2𝑝(4𝜋𝐺𝜌𝑟3+𝐺𝑚) +𝑐4𝐺𝑚𝜌 𝑐2(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) = 0 𝑝𝑟+ 𝐺 { 4𝜋𝑝2𝑟3 +𝑐2𝑝(4𝜋𝜌𝑟3+𝑚) +𝑐4𝑚𝜌 } 𝑐2(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) = 0 𝑝𝑟+ 𝐺 (4𝜋𝑝𝑟3+𝑐2𝑚) (𝑝+𝑐2𝜌) 𝑐2(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) = 0 𝑝 = 𝐺 (4𝜋𝑝𝑟3+𝑐2𝑚) (𝑝+𝑐2𝜌) 𝑐2𝑟(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) (31) のような関係式が得られる。(31)式を「トールマン・オッペンハイマー・ボルコフ方程式」(Tolman–Oppenheimer–Volkoff equation; TOV方程式)と呼ぶ。「トールマン」は「トルマン」と書かれることもあるが、「トルーマン」とは普通書かない。もしそのように書いてあったらおそらく間違いである。オッペンハイマーと並んでいるからといってトルーマン(Truman)と勘違いしてはいけない。

(31)式を導く方法は他にもあって、それは1.5節で説明する。

一般解

(24)(22)(31)(16)式をまとめると、解は (𝑔𝜇𝜈)= ( exp { 2𝐺𝑐2 4𝜋𝑝𝑟3𝑐2+𝑚 𝑟2 (12𝐺𝑚𝑐2𝑟) d𝑟 } 0 0 0 0 112𝐺𝑚𝑐2𝑟 0 0 00𝑟20 000𝑟2sin2𝜃 ) (32) 𝑝= 𝐺 (4𝜋𝑝𝑟3+𝑐2𝑚) (𝑝+𝑐2𝜌) 𝑐2𝑟(𝑐2𝑟2𝐺𝑚) (33) 𝑚= 0𝑟 4𝜋𝜌𝑟2d𝑟 (34) である。状態方程式(14)式と解(33)・(34)式を連立させれば密度 𝜌 (とその積分 𝑚 )と圧力 𝑝 が定まり、それらを解(32)式に代入すれば計量が定まるというわけである。

𝑔₀₀ の波括弧内は不定積分であるから積分定数の役割も含まれているので、 𝑔₀₀ には正の定数倍の任意性があることになる。 𝑚 は(32)・(33)式を簡潔に書くために勝手に導入した関数であって元の方程式には存在しないが、そのようなものが解に含まれていることが気に入らなければ(34)式(32)・(33)式に代入して 𝑚 を消去すればよい。

シュバルツシルト解と整合的な解が欲しければ、天体の外部で計量がシュバルツシルト解(外部解)と一致するように任意定数を選べばよい。その計算は第2章で行う。

⛭ 数式の表示設定 (S)