TOV方程式(31)式を変形すると、
天体の内部では 𝜌 > 0 であるから(35)式をさらに変形すると、
ひとまず1.3節で重力場の方程式から解を導出できたが、TOV方程式(31)式は別の方法で導くこともできるのでそれを紹介する。それはエネルギー運動量保存則の式を使う方法である。
重力場の方程式(1)式にはエネルギー運動量保存則
ただし今は混合テンソルを使っているので(40)式を次のように変形しておく。
1.3節で重力場の方程式の第(0, 0)成分と第(1, 1)成分を使って(23)式が得られたのだった。それを(45)式に代入すると、
1.3節では、重力場の方程式の第(2, 2), (3, 3)成分である(13)式から、(23)・(22)式を使って 𝐴 と 𝐵 を消去して、延々と計算した結果(31)式が出てきたのだった。エネルギー運動量保存則を使えばそれと同じ結果がより簡単な計算で出てくるのだ。
だったら重力場の方程式(11)〜(13)式を解いて球対称で定常な時空の計量を求めるには、(13)式を使わないで代わりにエネルギー運動量保存則を使えば楽に解を求められると思うかもしれないが、そう気軽に言えるものでもない。というのは、エネルギー運動量保存則は重力場の方程式を満たすための必要条件であるが、十分条件ではないからだ。だからこの方法で解の候補が見つかったとしても、それが(13)式をも満たしているかどうかは別途確認する必要がある。直接代入して確認するか別の理屈で証明するかはともかく、最初から無条件で(13)式を無視していいものではないのだ。
それならこの節のやり方は今の問題に対してどう役立つのだろうか。たぶん、すでにやり方を知っているけれど答えだけ忘れてしまった場合に、簡単な計算で答えを思い出せるということだろう。