「双子のパラドックス」を両者の視点から計算する。(3)

B. ボブの視点から見た座標系

この章では表1の右半分すなわちボブに固定した座標系での計算を行う。

ひとつの考え方として、アリスに固定した座標系で特殊相対性理論を使ってすべての計算をした(すでに第A章でやった)あとで最後にその結果をボブに固定した座標系に座標変換する、という方法がある。相対性理論に自己矛盾がなく「双子のパラドックス」がパラドックスではないことを前提としてよいなら、その説明が最も簡単でありそれで十分である。しかし今「双子のパラドックス」では、その前提が成り立たないのではないか、という疑義が呈されているのであるから、「双子のパラドックス」で立ち止まっている人がそんな説明をきいても腑に落ちないであろう。だからここではわざわざボブに固定した座標系で一般相対性理論の手法を使ってすべての計算を進めて、最後にそれが第A章の結果と一致することを示すのである。

まずどのような座標系を使うかを決めることから始める。前章のアリスの視点では、アリスはずっと等速直線運動をしているので1個のミンコフスキー座標を使えばよかった。しかしボブの運動は一様ではないから、ボブの視点の座標系としてはそのような単純な1個の座標系を選ぶことはできない。ボブの視点の座標系の条件は、縦軸がボブの世界線と一致しその目盛りがボブの固有時と一致することである。しかしこれだけでは縦軸以外(𝑥 ≠ 0)の場所がまったく決まらない。そこで追加の条件として、等速直線運動をしているときはミンコフスキー座標を使うことにする。そして局面の切り替わり時に座標が不連続になると嫌なので、加速度運動をしているときに採用する座標系の最初と最後は、前後の局面のミンコフスキー座標と連続になるような座標系を選ぶことにする。

局面別の座標系を次のように命名する。

S(0)・S(2)・S(4)・S(6)系はミンコフスキー座標である。

ここで座標を表す文字を以下のように約束することとする。文字の右下に、座標系の名前と同じ添え字をつける。例えば 𝑥(1) はS(1)系の𝑥座標を、 𝑐𝑡(2) はS(2)系の 𝑐𝑡 座標をそれぞれ指すものとする。また4個の座標をまとめて大文字の 𝑋 の右上に添え字 𝜇 などをつけて表す。例えば 𝑋(3)𝜇 はS(3)系の 𝑐𝑡, 𝑥, 𝑦, 𝑧 座標をまとめて表すものであり、 𝑋(4)3 と書いてあれば 𝑧(4) 座標すなわちS(4)系の 𝑧 座標のことである。

今からやることは、S(1)〜S(5)系でアリスの世界線を導出し、それに沿ってアリスの固有時 𝜏𝐴 の微小量 d𝜏𝐴 を積分してアリスの経過時間を求めることである。

B.1. 出発局面

座標変換

出発局面で採用するS(1)系はどのような座標系であろうか。まずS(1)系の縦軸がS(0)系でどのように表されるべきかを考える。S(1)系の縦軸とはつまり出発局面におけるボブの世界線のことである。S(0)系は前章のアリスの立場のミンコフスキー座標と同じであるから、その座標系におけるボブの世界線はA.1節の表3で導出済みである。出発局面ではボブの固有時 𝜏𝐵 はS(1)系の座標時 𝑡(1) と同じであるから先ほど定義した変数名を使って書き直すと、 { 𝑡(0) = 𝑐𝑎sinh𝑎𝑡(1)𝑐 𝑥(0) = 𝑐2𝑎cosh𝑎𝑡(1)𝑐 𝑐2𝑎 (51) となる。しかし(51)式𝑐𝑡(1) 軸上(𝑥(1)=0)の場所専用の変換式であって、それ以外の場所では使えないのであまり役に立たない。

一般の場所でも使えるように、次のような安直な変換を考えてみる。S(0)系から見てボブの速度は刻々と変わるが、ある瞬間だけを考えれば速度は一意に定まる。例えば 𝑡(1)=𝛵₀(定数) のときのボブの速度を 𝑣₀ とすると、表3より 𝑣₀=𝑐tanh𝑎𝛵₀𝑐 である。そこでその時点のボブから見て同時刻とみなせる事象、つまりS(1)系において 𝑥(1) の値にかかわらず 𝑡(1)=𝛵₀ を満たす事象については、速度 𝑣₀ に対応するローレンツ変換と同じ変換でS(0)系と結ばれていると仮定するのである。今、 𝑣₀𝑐 = 𝑐tanh𝑎𝛵₀𝑐𝑐 = tanh𝑎𝛵₀𝑐 11(𝑣₀𝑐)2 = 11tanh2𝑎𝛵₀𝑐 = 11cosh2𝑎𝛵₀𝑐 = cosh𝑎𝛵₀𝑐 であるから、速度 −𝑣₀ に対応するローレンツ変換を考えると ( 𝑐𝑡(0)𝑥(0) ) = ( 11(𝑣₀𝑐)2 𝑣₀𝑐1(𝑣₀𝑐)2 𝑣₀𝑐1(𝑣₀𝑐)2 11(𝑣₀𝑐)2 ) ( 𝑐𝑡(1)𝑥(1) ) = ( cosh𝑎𝛵₀𝑐 tanh𝑎𝛵₀𝑐cosh𝑎𝛵₀𝑐 tanh𝑎𝛵₀𝑐cosh𝑎𝛵₀𝑐 cosh𝑎𝛵₀𝑐 ) ( 𝑐𝑡(1)𝑥(1) ) = ( cosh𝑎𝛵₀𝑐 sinh𝑎𝛵₀𝑐 sinh𝑎𝛵₀𝑐 cosh𝑎𝛵₀𝑐 ) ( 𝑐𝑡(1)𝑥(1) ) (52) のようになる。しかし(52)式の変換は原点を原点に移す変換である。今欲しいのはS(1)系の点 (𝑡(1),𝑥(1)) = (𝛵₀,0) がS(0)系の点 (𝑡(0),𝑥(0)) = ( 𝑐𝑎sinh𝑎𝛵₀𝑐, 𝑐2𝑎cosh𝑎𝛵₀𝑐 𝑐2𝑎 ) に対応するような変換である(この対応は(51)式𝑡(1)=𝛵₀ を代入して求めた)。そのため(52)式を平行移動して、 ( 𝑐 (𝑡(0)𝑐𝑎sinh𝑎𝛵₀𝑐) 𝑥(0) ( 𝑐2𝑎cosh𝑎𝛵₀𝑐 𝑐2𝑎 ) ) = ( cosh𝑎𝛵₀𝑐 sinh𝑎𝛵₀𝑐 sinh𝑎𝛵₀𝑐 cosh𝑎𝛵₀𝑐 ) ( 𝑐(𝑡(1)𝛵₀) 𝑥(1) ) (53) のようにする。これで 𝑡(1)=𝛵₀ のとき専用の変換式が導かれた。下図はこの座標変換の様子を図示したものである。ピンクはS(0)系の座標、緑はS(1)系の座標であり、茶色の太い破線はボブの世界線を表す。

S(0)系とS(1)系の座標変換の図

(51)式と同じような適用範囲が狭いあまり役に立たない式がまたできたと思うかもしれないがそうではない。(51)式の適用範囲は 𝑥(1) の値が具体的に0であるときに限定されていた。一方、(53)式の適用範囲は 𝑡(1) の値が 𝛵₀ であるときに限定されてはいるが、 𝛵₀ の具体的な値は指定していない。もし時刻が変わって 𝑡(1) の値が 𝛵₀ でなくなり 𝛵₅ とか 𝛵₈ とかになったとしたら、(53)式の 𝛵₀ を 𝛵₅ とか 𝛵₈ とかに書き換えればその式が使えるのである。ということは(53)式の 𝛵₀ を 𝑡(1) に書き換えてしまえばいつでも使える式ができるわけである。そこで(53)式𝛵₀=𝑡(1) を代入しついでに整理すると、 ( 𝑐 ( 𝑡(0) 𝑐𝑎sinh𝑎𝑡(1)𝑐 ) 𝑥(0) ( 𝑐2𝑎cosh𝑎𝑡(1)𝑐 𝑐2𝑎 ) ) = ( cosh𝑎𝑡(1)𝑐 sinh𝑎𝑡(1)𝑐 sinh𝑎𝑡(1)𝑐 cosh𝑎𝑡(1)𝑐 ) ( 𝑐(𝑡(1)𝑡(1)) 𝑥(1) ) ( 𝑐𝑡(0) 𝑐2𝑎sinh𝑎𝑡(1)𝑐 𝑥(0) ( 𝑐2𝑎cosh𝑎𝑡(1)𝑐 𝑐2𝑎 ) ) = ( cosh𝑎𝑡(1)𝑐 sinh𝑎𝑡(1)𝑐 sinh𝑎𝑡(1)𝑐 cosh𝑎𝑡(1)𝑐 ) (0𝑥(1)) ( 𝑐𝑡(0) 𝑐2𝑎sinh𝑎𝑡(1)𝑐 𝑥(0) ( 𝑐2𝑎cosh𝑎𝑡(1)𝑐 𝑐2𝑎 ) ) = ( 𝑥(1)sinh𝑎𝑡(1)𝑐 𝑥(1)cosh𝑎𝑡(1)𝑐 ) ( 𝑐𝑡(0)𝑥(0) ) = ( 𝑥(1)sinh𝑎𝑡(1)𝑐 +𝑐2𝑎sinh𝑎𝑡(1)𝑐 𝑥(1)cosh𝑎𝑡(1)𝑐 + ( 𝑐2𝑎cosh𝑎𝑡(1)𝑐 𝑐2𝑎 ) ) ( 𝑐𝑡(0)𝑥(0) ) = ( (𝑥(1)+𝑐2𝑎) sinh𝑎𝑡(1)𝑐 (𝑥(1)+𝑐2𝑎) cosh𝑎𝑡(1)𝑐 𝑐2𝑎 ) (54) のようになる。これがS(0)系とS(1)系との座標変換である。当然ながら(54)式の変換はもはやローレンツ変換ではなく、何か別の非線形な変換である。

ところで 𝑥(1)=𝑐2𝑎 のときは 𝑡(1) の値にかかわらず (𝑡(0),𝑥(0)) = (0,𝑐2𝑎) となるし、 𝑥(1)<𝑐2𝑎 のときは 𝑡(1) が増加すると 𝑡(0) が減少することになり、ややこしい。そのような面倒な話は扱いたくないので、今後S(1)系では 𝑥(1)>𝑐2𝑎 である領域に限って話を進めることにする。もしS(1)系でアリスの世界線を計算した結果が 𝑥(1)𝑐2𝑎 になってしまったらもう一度考え直しである。

ここで後々のために(54)式の逆変換を求めておく。(54)式の𝑥成分より、 𝑥(0) = (𝑥(1)+𝑐2𝑎) cosh𝑎𝑡(1)𝑐 𝑐2𝑎 𝑥(0)+𝑐2𝑎 = (𝑥(1)+𝑐2𝑎) cosh𝑎𝑡(1)𝑐 (55) 𝑥(0)+𝑐2𝑎 cosh𝑎𝑡(1)𝑐 = 𝑥(1)+𝑐2𝑎 であるから、これを(54)式の𝑐𝑡成分の右辺に代入すると、 𝑐𝑡(0) = 𝑥(0)+𝑐2𝑎 cosh𝑎𝑡(1)𝑐 sinh𝑎𝑡(1)𝑐 𝑐𝑡(0) = (𝑥(0)+𝑐2𝑎) tanh𝑎𝑡(1)𝑐 𝑐𝑡(0) 𝑥(0)+𝑐2𝑎 = tanh𝑎𝑡(1)𝑐 artanh 𝑐𝑡(0) 𝑥(0)+𝑐2𝑎 = 𝑎𝑡(1)𝑐 𝑐2𝑎 artanh 𝑐𝑡(0) 𝑥(0)+𝑐2𝑎 = 𝑐𝑡(1) (56) である。artanhtanh の逆関数である。また、[(55)式]²−[(54)式の𝑐𝑡成分]²より、 (𝑥(0)+𝑐2𝑎)2 (𝑐𝑡(0))2 = { (𝑥(1)+𝑐2𝑎) cosh𝑎𝑡(1)𝑐 } 2 { (𝑥(1)+𝑐2𝑎) sinh𝑎𝑡(1)𝑐 } 2 (𝑥(0)+𝑐2𝑎)2 (𝑐𝑡(0))2 = (𝑥(1)+𝑐2𝑎)2 ( cosh2𝑎𝑡(1)𝑐 sinh2𝑎𝑡(1)𝑐 ) (𝑥(0)+𝑐2𝑎)2 (𝑐𝑡(0))2 = (𝑥(1)+𝑐2𝑎)2 ± (𝑥(0)+𝑐2𝑎)2 (𝑐𝑡(0))2 = 𝑥(1)+𝑐2𝑎 𝑐2𝑎 ± (𝑥(0)+𝑐2𝑎)2 (𝑐𝑡(0))2 = 𝑥(1) であるが、今 𝑥(1)>𝑐2𝑎 だから複号は正を採用し、 𝑥(1) = (𝑥(0)+𝑐2𝑎)2 (𝑐𝑡(0))2 𝑐2𝑎(57) である。なおこの変換ができるためのS(0)系の変域は |𝑐𝑡(0)| < 𝑥(0)+𝑐2𝑎 である。

ここまでで求めたS(1)系のような座標系をリンドラー座標と呼ぶ。この節の最初のほうで「安直な変換を考えてみる。」と言ったが、今のように時空が平坦で加速度が一定で加速度と速度の方向が同じである特殊な状況であれば、このような安直な方法でうまくいくのである。しかしいつでもこの考え方が通用するわけではない。

計量テンソル

S(1)系の計量テンソル 𝑔𝜇𝜈 を求める。ミンコフスキー座標S(0)系との変換式が求まっているから、計量テンソルの計算は単に公式に当てはめるだけなので簡単である。具体的には 𝑔𝜇𝜈 = ∂𝑋(0)𝛼 ∂𝑋(1)𝜇 ∂𝑋(0)𝛽 ∂𝑋(1)𝜈 𝜂𝛼𝛽 を計算する。この式の右辺は見かけは1個の項だが、実際は ∑ が省略されており、上下にペアで現れる添え字は和をとるという規約が適用される。∑ を省略せずに書けば 𝑔𝜇𝜈 = 𝛼=03 𝛽=03 ∂𝑋(0)𝛼 ∂𝑋(1)𝜇 ∂𝑋(0)𝛽 ∂𝑋(1)𝜈 𝜂𝛼𝛽 でありこれは16個の項から成っている。

まず 𝜂𝛼𝛽 はミンコフスキー計量でありその値は (𝜂𝛼𝛽) = ( 𝜂00 𝜂01 𝜂02 𝜂03 𝜂10 𝜂11 𝜂12 𝜂13 𝜂20 𝜂21 𝜂22 𝜂23 𝜂30 𝜂31 𝜂32 𝜂33 ) = ( 1000 0100 0010 0001 ) (58) である。符号を逆に定義する流儀もあるので、気を付けてほしい。

次に座標変換の偏微分 ∂𝑋(0)𝛼 ∂𝑋(1)𝜇 を求める。S(0)系とS(1)系との座標変換の式は(54)式で導出したが、4成分とも省略せずに書けば { 𝑐𝑡(0) = (𝑥(1)+𝑐2𝑎) sinh𝑎𝑡(1)𝑐 𝑥(0) = (𝑥(1)+𝑐2𝑎) cosh𝑎𝑡(1)𝑐 𝑐2𝑎 𝑦(0)=𝑦(1) 𝑧(0)=𝑧(1) (59) であるから、その偏微分は ∂𝑋(0)0 ∂𝑋(1)0 = (𝑐𝑡(0)) (𝑐𝑡(1)) = 1𝑐 ∂𝑡(1) { (𝑥(1)+𝑐2𝑎) sinh𝑎𝑡(1)𝑐 } = 1𝑐 (𝑥(1)+𝑐2𝑎) 𝑎𝑐cosh𝑎𝑡(1)𝑐 = (𝑎𝑐2𝑥(1)+1) cosh𝑎𝑡(1)𝑐 ∂𝑋(0)0 ∂𝑋(1)1 = (𝑐𝑡(0))∂𝑥(1) = ∂𝑥(1) { (𝑥(1)+𝑐2𝑎) sinh𝑎𝑡(1)𝑐 } = sinh𝑎𝑡(1)𝑐 ∂𝑋(0)1 ∂𝑋(1)0 = ∂𝑥(0)(𝑐𝑡(1)) = 1𝑐 ∂𝑡(1) { (𝑥(1)+𝑐2𝑎) cosh𝑎𝑡(1)𝑐 𝑐2𝑎 } = 1𝑐 (𝑥(1)+𝑐2𝑎) 𝑎𝑐sinh𝑎𝑡(1)𝑐 = (𝑎𝑐2𝑥(1)+1) sinh𝑎𝑡(1)𝑐 ∂𝑋(0)1 ∂𝑋(1)1 = ∂𝑥(0)∂𝑥(1) = ∂𝑥(1) { (𝑥(1)+𝑐2𝑎) cosh𝑎𝑡(1)𝑐 𝑐2𝑎 } = cosh𝑎𝑡(1)𝑐 ∂𝑋(0)2 ∂𝑋(1)2 = ∂𝑦(0)∂𝑦(1) = ∂𝑦(1)𝑦(1) =1 ∂𝑋(0)3 ∂𝑋(1)3 = ∂𝑧(0)∂𝑧(1) = ∂𝑧(1)𝑧(1) =1 であり、その他の成分は0である。まとめると、 ( ∂𝑋(0)0 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)0 ∂𝑋(1)1 ∂𝑋(0)0 ∂𝑋(1)2 ∂𝑋(0)0 ∂𝑋(1)3 ∂𝑋(0)1 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)1 ∂𝑋(1)1 ∂𝑋(0)1 ∂𝑋(1)2 ∂𝑋(0)1 ∂𝑋(1)3 ∂𝑋(0)2 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)2 ∂𝑋(1)1 ∂𝑋(0)2 ∂𝑋(1)2 ∂𝑋(0)2 ∂𝑋(1)3 ∂𝑋(0)3 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)3 ∂𝑋(1)1 ∂𝑋(0)3 ∂𝑋(1)2 ∂𝑋(0)3 ∂𝑋(1)3 ) = ( (𝑎𝑐2𝑥(1)+1) cosh𝑎𝑡(1)𝑐 sinh𝑎𝑡(1)𝑐 0 0 (𝑎𝑐2𝑥(1)+1) sinh𝑎𝑡(1)𝑐 cosh𝑎𝑡(1)𝑐 0 0 0010 0001 ) (60) のようになる。

これらを使って計量テンソルが求められる。例えば第00成分は、 𝑔00 = ∂𝑋(0)𝛼 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)𝛽 ∂𝑋(1)0 𝜂𝛼𝛽 = + ∂𝑋(0)0 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)0 ∂𝑋(1)0 𝜂00 + ∂𝑋(0)0 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)1 ∂𝑋(1)0 𝜂01 + ∂𝑋(0)0 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)2 ∂𝑋(1)0 𝜂02 + ∂𝑋(0)0 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)3 ∂𝑋(1)0 𝜂03 + ∂𝑋(0)1 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)0 ∂𝑋(1)0 𝜂10 + ∂𝑋(0)1 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)1 ∂𝑋(1)0 𝜂11 + ∂𝑋(0)1 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)2 ∂𝑋(1)0 𝜂12 + ∂𝑋(0)1 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)3 ∂𝑋(1)0 𝜂13 + ∂𝑋(0)2 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)0 ∂𝑋(1)0 𝜂20 + ∂𝑋(0)2 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)1 ∂𝑋(1)0 𝜂21 + ∂𝑋(0)2 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)2 ∂𝑋(1)0 𝜂22 + ∂𝑋(0)2 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)2 ∂𝑋(1)0 𝜂23 + ∂𝑋(0)3 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)0 ∂𝑋(1)0 𝜂30 + ∂𝑋(0)3 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)1 ∂𝑋(1)0 𝜂31 + ∂𝑋(0)3 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)2 ∂𝑋(1)0 𝜂32 + ∂𝑋(0)3 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)3 ∂𝑋(1)0 𝜂33 = + ∂𝑋(0)0 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)0 ∂𝑋(1)0 𝜂00 + ∂𝑋(0)0 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)1 ∂𝑋(1)0 0 + ∂𝑋(0)0 ∂𝑋(1)0 0 0 + ∂𝑋(0)0 ∂𝑋(1)0 0 0 + ∂𝑋(0)1 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)0 ∂𝑋(1)0 0 + ∂𝑋(0)1 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)1 ∂𝑋(1)0 𝜂11 + ∂𝑋(0)1 ∂𝑋(1)0 00 + ∂𝑋(0)1 ∂𝑋(1)0 00 + 0 ∂𝑋(0)0 ∂𝑋(1)0 0 + 0 ∂𝑋(0)1 ∂𝑋(1)0 0 + 00 𝜂22 + 000 + 0 ∂𝑋(0)0 ∂𝑋(1)0 0 + 0 ∂𝑋(0)1 ∂𝑋(1)0 0 +000 + 00 𝜂33 = ( ∂𝑋(0)0 ∂𝑋(1)0 ) 2 𝜂00 + ( ∂𝑋(0)1 ∂𝑋(1)0 ) 2 𝜂11 = { (𝑎𝑐2𝑥(1)+1) cosh𝑎𝑡(1)𝑐 } 2 (1) + { (𝑎𝑐2𝑥(1)+1) sinh𝑎𝑡(1)𝑐 } 2 1 = (𝑎𝑐2𝑥(1)+1)2 ( cosh2𝑎𝑡(1)𝑐 +sinh2𝑎𝑡(1)𝑐 ) = (𝑎𝑐2𝑥(1)+1)2 のようになる。3個目の等号では(58)(60)式のうち0であるものだけを代入した。5個目の等号では(58)(60)式の残りを代入した。

他の成分も同様に計算される。途中の計算式で0になる項は面倒なのでもう書かない。

𝑔11 = ∂𝑋(0)𝛼 ∂𝑋(1)1 ∂𝑋(0)𝛽 ∂𝑋(1)1 𝜂𝛼𝛽 = ( ∂𝑋(0)0 ∂𝑋(1)1 ) 2 𝜂00 + ( ∂𝑋(0)1 ∂𝑋(1)1 ) 2 𝜂11 = (sinh𝑎𝑡(1)𝑐)2 (1) + (cosh𝑎𝑡(1)𝑐)2 1 = sinh2𝑎𝑡(1)𝑐 +cosh2𝑎𝑡(1)𝑐 = 1 𝑔22 = ∂𝑋(0)𝛼 ∂𝑋(1)2 ∂𝑋(0)𝛽 ∂𝑋(1)2 𝜂𝛼𝛽 = ( ∂𝑋(0)2 ∂𝑋(1)2 ) 2 𝜂22 =121 =1 𝑔33 = ∂𝑋(0)𝛼 ∂𝑋(1)3 ∂𝑋(0)𝛽 ∂𝑋(1)3 𝜂𝛼𝛽 = ( ∂𝑋(0)3 ∂𝑋(1)3 ) 2 𝜂33 =121 =1

また、計量テンソルは対称テンソルであるから、 𝑔10 = 𝑔01 = ∂𝑋(0)𝛼 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)𝛽 ∂𝑋(1)1 𝜂𝛼𝛽 = ∂𝑋(0)0 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)0 ∂𝑋(1)1 𝜂00 + ∂𝑋(0)1 ∂𝑋(1)0 ∂𝑋(0)1 ∂𝑋(1)1 𝜂11 = { (𝑎𝑐2𝑥(1)+1) cosh𝑎𝑡(1)𝑐 } (sinh𝑎𝑡(1)𝑐) (1) + { (𝑎𝑐2𝑥(1)+1) sinh𝑎𝑡(1)𝑐 } (cosh𝑎𝑡(1)𝑐) 1 = (𝑎𝑐2𝑥(1)+1) cosh𝑎𝑡(1)𝑐 sinh𝑎𝑡(1)𝑐 + (𝑎𝑐2𝑥(1)+1) sinh𝑎𝑡(1)𝑐 cosh𝑎𝑡(1)𝑐 =0 であり、これら以外の成分は途中の計算式のすべての項が0であるから結果も0である。まとめると、 (𝑔𝜇𝜈) = ( 𝑔00 𝑔01 𝑔02 𝑔03 𝑔10 𝑔11 𝑔12 𝑔13 𝑔20 𝑔21 𝑔22 𝑔23 𝑔30 𝑔31 𝑔32 𝑔33 ) = ( (𝑎𝑐2𝑥(1)+1)2 0 0 0 0100 0010 0001 ) (61) である。また、反変成分は共変成分の逆行列であるが(61)式は対角行列であるから対角成分を逆数にすればよくて、 (𝑔𝜇𝜈) = ( 𝑔00 𝑔01 𝑔02 𝑔03 𝑔10 𝑔11 𝑔12 𝑔13 𝑔20 𝑔21 𝑔22 𝑔23 𝑔30 𝑔31 𝑔32 𝑔33 ) = ( 1 (𝑎𝑐2𝑥(1)+1)2 0 0 0 0100 0010 0001 ) (62) である。

クリストッフェル記号

S(1)系のクリストッフェル記号 𝛤𝜆𝜇𝜈 を求める。単に公式に当てはめるだけであり、具体的には 𝛤𝜆𝜇𝜈 = 12 𝑔𝜆𝜌 ( ∂𝑔𝜌𝜇 ∂𝑋(1)𝜈 + ∂𝑔𝜌𝜈 ∂𝑋(1)𝜇 ∂𝑔𝜇𝜈 ∂𝑋(1)𝜌 ) を計算する。この式の右辺は見かけは1個(かっこを展開すれば3個)の項だが、実際は ∑ が省略されており、上下にペアで現れる添え字は和をとるという規約が適用される。∑ を省略せずに書けば 𝛤𝜆𝜇𝜈 = 12 𝜌=03 𝑔𝜆𝜌 ( ∂𝑔𝜌𝜇 ∂𝑋(1)𝜈 + ∂𝑔𝜌𝜈 ∂𝑋(1)𝜇 ∂𝑔𝜇𝜈 ∂𝑋(1)𝜌 ) でありこれは4個(かっこを展開すれば12個)の項から成っている。

(61)式より、計量テンソルの偏微分のうち0でないものは ∂𝑔00 ∂𝑋(1)1 = ∂𝑥(1) { (𝑎𝑐2𝑥(1)+1)2 } = 2𝑎𝑐2 (𝑎𝑐2𝑥(1)+1) だけである。これ以外の成分はすべて0である。

したがって、クリストッフェル記号のうち0でないものは 𝛤001 = 𝛤010 = 12 𝑔00 ( ∂𝑔00 ∂𝑋(1)1 ) = 12 { 1 (𝑎𝑐2𝑥(1)+1)2 } { 2𝑎𝑐2 (𝑎𝑐2𝑥(1)+1) } = 𝑎𝑐2 1𝑎𝑐2𝑥(1)+1 = 1𝑥(1)+𝑐2𝑎 (63) 𝛤100 = 12 𝑔11 ( ∂𝑔00 ∂𝑋(1)1 ) = 121 { 2𝑎𝑐2 (𝑎𝑐2𝑥(1)+1) } = 𝑎𝑐2 (𝑎𝑐2𝑥(1)+1) = 𝑎2𝑐4 (𝑥(1)+𝑐2𝑎) (64) である。これら以外の成分はすべて0である。

⛭ 数式の表示設定 (S)