ドジッター時空の座標変換と5次元への埋め込み(3)

2.2.2 空間の曲率が負の場合

表1で宇宙定数 𝛬 が正の場合の解は④〜⑥である。その中で空間の曲率が負である④の解 𝑎=±𝑘𝐿sinh𝑤𝐿 (40) d𝑠2 = d𝑤2 + (±𝑘𝐿sinh𝑤𝐿)2 ( 11𝑘𝑟2d𝑟2 +𝑟2d𝜃2 +𝑟2sin2𝜃d𝜑2 ) (41) をここでは考える。これは前のページの⑤と同じく複号が正なら加速膨張、負なら減速収縮である。ここで動径座標に関して 𝑟𝜌 = 𝑎𝑟 = ±𝐿𝑘𝑟sinh𝑤𝐿 (42) という座標変換をする。このとき逆変換は 𝜌𝑟 = ±𝜌𝑘𝐿sinh𝑤𝐿 (43) であり、その微分は d𝑟 = ∂𝑟∂𝑤d𝑤+∂𝑟∂𝜌d𝜌 = ± 𝜌𝑘𝐿 ( cosh𝑤𝐿sinh2𝑤𝐿 1𝐿 ) d𝑤 ±1𝑘𝐿sinh𝑤𝐿d𝜌 = ± 1𝑘𝐿sinh2𝑤𝐿 ( 𝜌𝐿cosh𝑤𝐿d𝑤 +sinh𝑤𝐿d𝜌 ) (44) のようになる。これらを2乗すれば 𝑟2 = 𝜌2𝑘𝐿2sinh2𝑤𝐿 (45) d𝑟2 = 1𝑘𝐿2sinh4𝑤𝐿 ( 𝜌2𝐿2cosh2𝑤𝐿 d𝑤2 2𝜌𝐿cosh𝑤𝐿sinh𝑤𝐿d𝑤d𝜌 +sinh2𝑤𝐿d𝜌2 ) (46) である。(41)式を変形し(45)・(46)式を代入して座標変換後の線素の式を計算すると、 d𝑠2 = d𝑤2 𝑘𝐿2(sinh2𝑤𝐿) ( 11𝑘𝑟2d𝑟2 +𝑟2d𝜃2 +𝑟2sin2𝜃d𝜑2 ) = d𝑤2 𝑘𝐿2sinh2𝑤𝐿 1𝑘𝑟2 d𝑟2 𝑘𝐿2(sinh2𝑤𝐿) 𝑟2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) = d𝑤2 𝑘𝐿2sinh2𝑤𝐿 1 𝑘 𝜌2 𝑘𝐿2sinh2𝑤𝐿 1𝑘𝐿2sinh4𝑤𝐿 ( 𝜌2𝐿2cosh2𝑤𝐿 d𝑤2 2𝜌𝐿cosh𝑤𝐿sinh𝑤𝐿d𝑤d𝜌 +sinh2𝑤𝐿d𝜌2 ) 𝑘𝐿2(sinh2𝑤𝐿) 𝜌2 𝑘𝐿2sinh2𝑤𝐿 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) = d𝑤2 + 1 sinh2𝑤𝐿+𝜌2𝐿2 ( 𝜌2𝐿2cosh2𝑤𝐿 d𝑤2 2𝜌𝐿cosh𝑤𝐿sinh𝑤𝐿d𝑤d𝜌 +sinh2𝑤𝐿d𝜌2 ) + 𝜌2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) = 1 sinh2𝑤𝐿+𝜌2𝐿2 { ( sinh2𝑤𝐿+𝜌2𝐿2 ) d𝑤2 + 𝜌2𝐿2cosh2𝑤𝐿 d𝑤2 2𝜌𝐿cosh𝑤𝐿sinh𝑤𝐿d𝑤d𝜌 +sinh2𝑤𝐿d𝜌2 } + 𝜌2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) = 1 sinh2𝑤𝐿+𝜌2𝐿2 [ { sinh2𝑤𝐿 + 𝜌2𝐿2 (1+cosh2𝑤𝐿) } d𝑤2 2𝜌𝐿cosh𝑤𝐿sinh𝑤𝐿d𝑤d𝜌 +sinh2𝑤𝐿d𝜌2 ] + 𝜌2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) = 1 sinh2𝑤𝐿+𝜌2𝐿2 { ( sinh2𝑤𝐿 +𝜌2𝐿2sinh2𝑤𝐿 ) d𝑤2 2𝜌𝐿cosh𝑤𝐿sinh𝑤𝐿d𝑤d𝜌 +sinh2𝑤𝐿d𝜌2 } + 𝜌2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) = 1 sinh2𝑤𝐿+𝜌2𝐿2 { (1𝜌2𝐿2) sinh2𝑤𝐿d𝑤2 2𝜌𝐿cosh𝑤𝐿sinh𝑤𝐿d𝑤d𝜌 +sinh2𝑤𝐿d𝜌2 } + 𝜌2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) (47) となる。これは計量の非対角成分である d𝑤d𝜌 の項があってわかりにくいので、計量が対角になるようにさらなる座標変換を考える。動径座標はもういじりたくないので、時間座標を座標変換することで対角計量を目指そう。新しい時間座標を 𝑣 として、今のところ未知のその変換と逆変換を 𝑤 𝑣=𝑣(𝑤,𝜌) 𝑣 𝑤=𝑤(𝑣,𝜌) のように書く。すると、 d𝑤 = ∂𝑤∂𝑣d𝑣+∂𝑤∂𝜌d𝜌 d𝑤2 = (∂𝑤∂𝑣)2d𝑣2 +2∂𝑤∂𝑣∂𝑤∂𝜌d𝑣d𝜌 +(∂𝑤∂𝜌)2d𝜌2 であるから、これらを(47)式に代入すると d𝑠2 = 1 sinh2𝑤𝐿+𝜌2𝐿2 { (1𝜌2𝐿2) sinh2𝑤𝐿d𝑤2 2𝜌𝐿cosh𝑤𝐿sinh𝑤𝐿d𝑤d𝜌 +sinh2𝑤𝐿d𝜌2 } + 𝜌2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) = 1 sinh2𝑤𝐿+𝜌2𝐿2 [ (1𝜌2𝐿2) sinh2𝑤𝐿 { (∂𝑤∂𝑣)2d𝑣2 +2∂𝑤∂𝑣∂𝑤∂𝜌d𝑣d𝜌 +(∂𝑤∂𝜌)2d𝜌2 } 2𝜌𝐿cosh𝑤𝐿sinh𝑤𝐿 (∂𝑤∂𝑣d𝑣+∂𝑤∂𝜌d𝜌)d𝜌 +sinh2𝑤𝐿d𝜌2 ] + 𝜌2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) = 1 sinh2𝑤𝐿+𝜌2𝐿2 [ (1𝜌2𝐿2) sinh2𝑤𝐿 (∂𝑤∂𝑣)2d𝑣2 2(1𝜌2𝐿2) sinh2𝑤𝐿 ∂𝑤∂𝑣∂𝑤∂𝜌d𝑣d𝜌 (1𝜌2𝐿2) sinh2𝑤𝐿 (∂𝑤∂𝜌)2d𝜌2 2𝜌𝐿cosh𝑤𝐿sinh𝑤𝐿 ∂𝑤∂𝑣d𝑣d𝜌 2𝜌𝐿cosh𝑤𝐿sinh𝑤𝐿 ∂𝑤∂𝜌d𝜌2 +sinh2𝑤𝐿d𝜌2 ] + 𝜌2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) = 1 sinh2𝑤𝐿+𝜌2𝐿2 [ (1𝜌2𝐿2) sinh2𝑤𝐿 (∂𝑤∂𝑣)2d𝑣2 2sinh𝑤𝐿∂𝑤∂𝑣 { (1𝜌2𝐿2) sinh𝑤𝐿∂𝑤∂𝜌 +𝜌𝐿cosh𝑤𝐿 } d𝑣d𝜌 + { (1𝜌2𝐿2) sinh2𝑤𝐿 (∂𝑤∂𝜌)2 2𝜌𝐿cosh𝑤𝐿sinh𝑤𝐿 ∂𝑤∂𝜌 +sinh2𝑤𝐿 } d𝜌2 ] + 𝜌2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) (48) となる。ここで d𝑣d𝜌 の係数を0にすればよいのだが、 ∂𝑤∂𝑣=0 では困る(まともな座標変換にならない)から、 (1𝜌2𝐿2) sinh𝑤𝐿∂𝑤∂𝜌 +𝜌𝐿cosh𝑤𝐿 = 0 (1𝜌2𝐿2) sinh𝑤𝐿∂𝑤∂𝜌 = 𝜌𝐿cosh𝑤𝐿 sinh𝑤𝐿𝐿cosh𝑤𝐿 ∂𝑤∂𝜌 = 𝜌 𝐿2(1𝜌2𝐿2) ∂𝜌log(cosh𝑤𝐿) = ∂𝜌 ( 12 log|1𝜌2𝐿2| ) log(cosh𝑤𝐿) = 12 log|1𝜌2𝐿2| +𝑓(𝑣) (𝑓(𝑣)は𝑣の任意関数) cosh𝑤𝐿 = |1𝜌2𝐿2| e𝑓(𝑣) (49) を満たすような座標変換をすればよい。下から3・2行目の左辺のlogの引数に絶対値を付けていない理由は、coshはいつでも正だからである。ここで表記の簡略化のために 𝐴(𝜌)= |1𝜌2𝐿2| 𝐵(𝑣)=e𝑓(𝑣) と置く。後で使うために場合分けをして 𝐴(𝜌) を 𝜌 で微分すると、 𝐴(𝜌)= { 1𝜌2𝐿2 (0𝜌<𝐿) (1𝜌2𝐿2) (𝐿<𝜌) (50) d𝐴(𝜌)d𝜌= { 𝜌𝐿2 1𝜌2𝐿2 (0𝜌<𝐿) 𝜌𝐿2 (1𝜌2𝐿2) (𝐿<𝜌) (51) である。このとき(49)式より cosh𝑤𝐿 = 𝐴(𝜌)𝐵(𝑣) (52) 𝑤 = ±𝐿arcosh{𝐴(𝜌)𝐵(𝑣)} (53) と書ける。coshは偶関数だからその引数を取り出すと複号が現れて面倒であるが、ここでは 𝑤 と 𝑣 の符号が同じになるように変換することと定義しておく。ところで(40)式(スケール因子)に複号がついているが、それが正のときは 𝑤 ≧ 0 、負のときは 𝑤 ≦ 0 の範囲でしか解が意味を持たないのだった。したがって(40)(44)式の複号と(53)式の複号は同順であると考えてよい。

𝐵(𝑣) は任意の正の関数であって具体的な形が未定であるが、それは後で決めることにしてとりあえずこのまま計算を進める。ここからは 𝐴 や 𝐵 の引数を表す (𝜌) や (𝑣) は省略する。(52)式より cosh2𝑤𝐿 = 𝐴2𝐵2 sinh2𝑤𝐿 = cosh2𝑤𝐿1 = 𝐴2𝐵21 (54) sinh𝑤𝐿 = ±𝐴2𝐵21 (55) であり、(53)式より ∂𝑤∂𝑣 = ± 𝐿1(𝐴𝐵)21 ∂𝑣(𝐴𝐵) = ± 𝐿𝐴𝐵˙𝐴2𝐵21 (56) ∂𝑤∂𝜌 = ± 𝐿1(𝐴𝐵)21 ∂𝜌(𝐴𝐵) = ± 𝐿𝐴𝐵𝐴2𝐵21 (57) である。ただしドット ˙ は座標 𝑣 による微分 dd𝑣 を表し、プライム ′ は座標 𝜌 による微分 dd𝜌 を表す。(52)(54)(57)式(48)式に代入して座標変換後の線素の式を計算したいが、(48)式はかなり長くなっているので一気に代入すると大変である。そこで計量の成分ごとに計算しよう。

(48)式の d𝑣² の係数は 𝑔00 = 1 sinh2𝑤𝐿+𝜌2𝐿2 { (1𝜌2𝐿2) sinh2𝑤𝐿 (∂𝑤∂𝑣)2 } = 1 (𝐴2𝐵21) +𝜌2𝐿2 { (1𝜌2𝐿2) (𝐴2𝐵21) ( ± 𝐿𝐴𝐵˙ 𝐴2𝐵21 ) 2 } = 1 𝐴2𝐵2 1 +𝜌2𝐿2 { (1𝜌2𝐿2) (𝐴2𝐵21) 𝐿2𝐴2𝐵˙2 𝐴2𝐵21 } = 1 𝐴2𝐵2 (1𝜌2𝐿2) { (1𝜌2𝐿2) 𝐿2𝐴2𝐵˙2 } = (1𝜌2𝐿2) 𝐿2𝐴2𝐵˙2 𝐴2𝐵2 (1𝜌2𝐿2) = (1𝜌2𝐿2) 𝐿2𝐵˙2 𝐵2 1𝐴2 (1𝜌2𝐿2) である。ここに(50)式を代入すると、 0 ≦ 𝜌 < 𝐿 の領域では 𝑔(+)00 = (1𝜌2𝐿2) 𝐿2𝐵˙2 𝐵2 1𝐴2 (1𝜌2𝐿2) = (1𝜌2𝐿2) 𝐿2𝐵˙2 𝐵2 11𝜌2𝐿2 (1𝜌2𝐿2) = (1𝜌2𝐿2) 𝐿2𝐵˙2𝐵21 となり、 𝐿 < 𝜌 の領域では 𝑔()00 = (1𝜌2𝐿2) 𝐿2𝐵˙2 𝐵2 1𝐴2 (1𝜌2𝐿2) = (1𝜌2𝐿2) 𝐿2𝐵˙2 𝐵2 1(1𝜌2𝐿2) (1𝜌2𝐿2) = (1𝜌2𝐿2) 𝐿2𝐵˙2𝐵2+1 となる。まとめると 𝑔00= { (1𝜌2𝐿2) 𝐿2𝐵˙2 𝐵21 (0𝜌<𝐿) (1𝜌2𝐿2) 𝐿2𝐵˙2 𝐵2+1 (𝐿<𝜌) のようになる。

(48)式の d𝑣d𝜌 の係数は、それが0になるように 𝑣 を決めたのだから当然0である。

(48)式の d𝜌² の係数は 𝑔11 = 1 sinh2𝑤𝐿+𝜌2𝐿2 { (1𝜌2𝐿2) sinh2𝑤𝐿 (∂𝑤∂𝜌)2 2𝜌𝐿cosh𝑤𝐿sinh𝑤𝐿 ∂𝑤∂𝜌 +sinh2𝑤𝐿 } = 1 (𝐴2𝐵21) +𝜌2𝐿2 { (1𝜌2𝐿2) (𝐴2𝐵21) ( ± 𝐿𝐴𝐵 𝐴2𝐵21 ) 2 2𝜌𝐿𝐴𝐵 (±𝐴2𝐵21) ( ± 𝐿𝐴𝐵𝐴2𝐵21 ) +(𝐴2𝐵21) } = 1 𝐴2𝐵2 1 +𝜌2𝐿2 { (1𝜌2𝐿2) (𝐴2𝐵21) 𝐿2𝐴2𝐵2 𝐴2𝐵21 2𝜌𝐿𝐴𝐵𝐿𝐴𝐵 +𝐴2𝐵2 1 } = 1 𝐴2𝐵2 (1𝜌2𝐿2) { (1𝜌2𝐿2) 𝐿2𝐴2𝐵2 2𝜌𝐴𝐴𝐵2 +𝐴2𝐵2 1 } である。ここに(50)・(51)式を代入すると、 0 ≦ 𝜌 < 𝐿 の領域では 𝑔(+)11 = 1 𝐴2𝐵2 (1𝜌2𝐿2) { (1𝜌2𝐿2) 𝐿2𝐴2𝐵2 2𝜌𝐴𝐴𝐵2 +𝐴2𝐵2 1 } = 1 (1𝜌2𝐿2)𝐵2 (1𝜌2𝐿2) { (1𝜌2𝐿2)𝐿2 𝜌2𝐿4 1𝜌2𝐿2 𝐵2 2𝜌 1𝜌2𝐿2 ( 𝜌𝐿2 1𝜌2𝐿2 ) 𝐵2 + (1𝜌2𝐿2)𝐵2 1 } = 1 (1𝜌2𝐿2) (𝐵21) ( 𝜌2𝐿2𝐵2 +2𝜌2𝐿2𝐵2 +𝐵2 𝜌2𝐿2𝐵2 1 ) = 1 (1𝜌2𝐿2) (𝐵21) (𝐵21) = 11𝜌2𝐿2 となり、 𝐿 < 𝜌 の領域では 𝑔()11 = 1 𝐴2𝐵2 (1𝜌2𝐿2) { (1𝜌2𝐿2) 𝐿2𝐴2𝐵2 2𝜌𝐴𝐴𝐵2 +𝐴2𝐵2 1 } = 1 (1𝜌2𝐿2)𝐵2 (1𝜌2𝐿2) { (1𝜌2𝐿2)𝐿2 𝜌2𝐿4 (1𝜌2𝐿2) 𝐵2 2𝜌 (1𝜌2𝐿2) 𝜌𝐿2 (1𝜌2𝐿2) 𝐵2 (1𝜌2𝐿2)𝐵2 1 } = 1 (1𝜌2𝐿2) (𝐵21) ( 𝜌2𝐿2𝐵2 2𝜌2𝐿2𝐵2 𝐵2 +𝜌2𝐿2𝐵2 1 ) = 1 (1𝜌2𝐿2) (𝐵21) (𝐵21) = 11𝜌2𝐿2 となる。したがってどちらの領域でも 𝑔11= 11𝜌2𝐿2 のようになる。

これら以外の計量の成分は座標変換しても変わらない。以上により線素の式は d𝑠2= { (1𝜌2𝐿2) 𝐿2𝐵˙2 𝐵21 d𝑣2 + 11𝜌2𝐿2 d𝜌2 + 𝜌2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) (0𝜌<𝐿) (1𝜌2𝐿2) 𝐿2𝐵˙2 𝐵2+1 d𝑣2 + 11𝜌2𝐿2 d𝜌2 + 𝜌2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) (𝐿<𝜌) (58) となる。あとは 𝐵(𝑣) の形を好きなように決めればよいのだが、ここで仮に 𝑔₀₀ が 𝑣 を含まなければ静的な計量にすることができて良さそうである。そのためには 𝐿2𝐵˙2𝐵21 =1 とか 𝐿2𝐵˙2𝐵2+1 =1 という微分方程式を解けばよい(右辺は正の定数なら何でもよいが、1にしておくのが楽である)。これらは両辺の平方根を 𝑣 で積分するだけで解けるので計算過程を省略していきなり答えを書くと、 𝐵(𝑣)= { cosh𝑣𝐿 (0𝜌<𝐿) ±sinh𝑣𝐿 (𝐿<𝜌) (59) である。下側の式についている複号はこのページで今までに出てきた複号と同順としておく。(59)式(58)式に代入すれば d𝑠2 = (1𝜌2𝐿2)d𝑣2 + 11𝜌2𝐿2 d𝜌2 + 𝜌2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) (60) となる。この計量は⑤の解(平坦な空間のFLRW計量)を座標変換した(36)式と同じであり、 𝜌 < 𝐿 で静的である。曲率が負の空間が加速膨張/減速収縮していると思っていた④の解は、ドジッター時空と同じものだったのだ。

ここでは2段階で座標変換をしたが、最初の座標系と最後の座標系が結局どういう関係になっているのかを求めておこう。

0 ≦ 𝜌 < 𝐿 の領域では、(50)(59)式(53)・(52)式に代入すると、 𝑤 = ±𝐿 arcosh ( 1𝜌2𝐿2cosh𝑣𝐿 ) (61) cosh𝑤𝐿 = 1𝜌2𝐿2cosh𝑣𝐿 (62) cosh𝑤𝐿 1𝜌2𝐿2 = cosh𝑣𝐿 ±𝐿 arcosh cosh𝑤𝐿 1𝜌2𝐿2 = 𝑣 (63) であるから、座標変換は 𝑣 = ±𝐿 arcosh cosh𝑤𝐿 1𝜌2𝐿2 (63)式 = ±𝐿 arcosh cosh𝑤𝐿 1 (±𝐿𝑘𝑟sinh𝑤𝐿)2 𝐿2 (42)式を代入した。 = ±𝐿 arcosh cosh𝑤𝐿 1 𝐿2(𝑘)𝑟2 sinh2𝑤𝐿 𝐿2 = ±𝐿 arcosh cosh𝑤𝐿 1+𝑘𝑟2sinh2𝑤𝐿 𝜌 = ±𝐿𝑘𝑟sinh𝑤𝐿 (42)式 であり、逆変換は 𝑤 = ±𝐿 arcosh ( 1𝜌2𝐿2cosh𝑣𝐿 ) (61)式 𝑟 = ±𝜌𝑘𝐿sinh𝑤𝐿 (43)式 = 𝜌𝑘𝐿(±sinh𝑤𝐿) = 𝜌 𝑘𝐿cosh2𝑤𝐿1 = 𝜌 𝑘𝐿 ( 1𝜌2𝐿2cosh𝑣𝐿 ) 2 1 (62)式を代入した。 = 𝜌 𝑘𝐿 (1𝜌2𝐿2) cosh2𝑣𝐿 1 = 𝜌 𝑘𝐿 sinh2𝑣𝐿 𝜌2𝐿2cosh2𝑣𝐿 = 𝜌 𝑘 𝐿2sinh2𝑣𝐿 𝜌2cosh2𝑣𝐿 である。

𝐿 < 𝜌 の領域では、(50)(59)式(53)・(52)式に代入すると、 𝑤 = ±𝐿 arcosh ( ± 1+𝜌2𝐿2 sinh𝑣𝐿 ) (64) cosh𝑤𝐿 = ± 1+𝜌2𝐿2 sinh𝑣𝐿 (65) ± cosh𝑤𝐿 1+𝜌2𝐿2 = sinh𝑣𝐿 ±𝐿 arsinh cosh𝑤𝐿 1+𝜌2𝐿2 = 𝑣 (66) であるから、座標変換は 𝑣 = ±𝐿 arsinh cosh𝑤𝐿 1+𝜌2𝐿2 (66)式 = ±𝐿 arsinh cosh𝑤𝐿 1+ (±𝐿𝑘𝑟sinh𝑤𝐿)2 𝐿2 (42)式を代入した。 = ±𝐿 arsinh cosh𝑤𝐿 1+ 𝐿2(𝑘)𝑟2 sinh2𝑤𝐿 𝐿2 = ±𝐿 arsinh cosh𝑤𝐿 1𝑘𝑟2sinh2𝑤𝐿 𝜌 = ±𝐿𝑘𝑟sinh𝑤𝐿 (42)式 であり、逆変換は 𝑤 = ±𝐿 arcosh ( ± 1+𝜌2𝐿2 sinh𝑣𝐿 ) (64)式 = ±𝐿 arcosh ( 1+𝜌2𝐿2 sinh±𝑣𝐿 ) 𝑟 = ±𝜌𝑘𝐿sinh𝑤𝐿 (43)式 = 𝜌𝑘𝐿(±sinh𝑤𝐿) = 𝜌 𝑘𝐿cosh2𝑤𝐿1 = 𝜌 𝑘𝐿 ( ± 1+𝜌2𝐿2 sinh𝑣𝐿 ) 2 1 (65)式を代入した。 = 𝜌 𝑘𝐿 (1+𝜌2𝐿2) sinh2𝑣𝐿 1 = 𝜌 𝑘𝐿 𝜌2𝐿2sinh2𝑣𝐿 cosh2𝑣𝐿 = 𝜌 𝑘 𝜌2sinh2𝑣𝐿 𝐿2cosh2𝑣𝐿 である。

場合分けと式変形が長くなって全体が見づらいので結果だけをもう一度書いておくと、 𝑣= { ±𝐿 arcosh cosh𝑤𝐿 1+𝑘𝑟2sinh2𝑤𝐿 (0𝜌<𝐿) ±𝐿 arsinh cosh𝑤𝐿 1𝑘𝑟2sinh2𝑤𝐿 (𝐿<𝜌) (67) 𝜌=±𝐿𝑘𝑟sinh𝑤𝐿 (68) 𝑤= { ±𝐿 arcosh ( 1𝜌2𝐿2cosh𝑣𝐿 ) (0𝜌<𝐿) ±𝐿 arcosh ( 1+𝜌2𝐿2 sinh±𝑣𝐿 ) (𝐿<𝜌) (69) 𝑟= { 𝜌 𝑘 𝐿2sinh2𝑣𝐿 𝜌2cosh2𝑣𝐿 (0𝜌<𝐿) 𝜌 𝑘 𝜌2sinh2𝑣𝐿 𝐿2cosh2𝑣𝐿 (𝐿<𝜌) (70) である。まだ 𝜌 = 𝐿 の領域が残っているが、これはどうしようもない。その領域は元の座標系で考えれば(42)(43)式より ±𝑘𝑟sinh𝑤𝐿=1 ということになるが、この関係を満たす 𝑤 と 𝑟 を(67)式に代入すると新しい座標系では 𝑣 → ±∞ となって無限の未来/過去に飛ばされてしまう。逆に新しい座標系における 𝜌 = 𝐿 を元の座標系に変換するために(69)・(70)式に代入して無理やり計算すると 𝑤 と 𝑟 がともに虚数になってしまう。だから 𝜌 = 𝐿 となる線上(4次元時空内で考えれば3次元超曲面上)の領域に限りこの座標変換は諦めることにする。

以上の関係を図示したものが図56である。茶色で描かれた座標系(𝜌 < 𝐿 で静的; (60)式)は時空のより広い領域を覆うことができるが、青色で描かれた座標系(𝑘 < 0 のFLRW計量; (41)式)は、原点を頂点とする光円錐(複号が正なら未来光円錐、負なら過去光円錐)の内部だけしか言い表せないのである。 𝑤 = 0 はビッグバン/ビッグクランチかと思ったらただの座標特異点なのであった。

𝛬 > 0 の場合における静的な計量とFLRW計量(𝑘 < 0)との座標変換

図5. スケール因子を 𝑎=𝑘𝐿sinh𝑤𝐿 としたFLRW計量(表1の④で複号が正)の座標変換。

茶色の線は 𝜌 < 𝐿 で静的な座標系、青色の線はFLRW計量の座標系を表す。後者は 𝑤 ≧ 0 の範囲で定義される。

左図で青色の線が密集している 𝜌=𝐿tanh𝑣𝐿 および 𝜌=𝐿coth𝑣𝐿 の線から下の領域は、青色の座標系に対応する領域がない。右図で茶色の破線が密集している 𝑟=1𝑘cosech𝑤𝐿 の線上の領域は、茶色の座標系に対応する領域がない。

𝛬 > 0 の場合における静的な計量とFLRW計量(𝑘 < 0)との座標変換

図6. スケール因子を 𝑎=𝑘𝐿sinh𝑤𝐿 としたFLRW計量(表1の④で複号が負)の座標変換。

茶色の線は 𝜌 < 𝐿 で静的な座標系、青色の線はFLRW計量の座標系を表す。後者は 𝑤 ≦ 0 の範囲で定義される。

左図で青色の線が密集している 𝜌=𝐿tanh𝑣𝐿 および 𝜌=𝐿coth𝑣𝐿 の線から上の領域は、青色の座標系に対応する領域がない。右図で茶色の破線が密集している 𝑟=1𝑘cosech𝑤𝐿 の線上の領域は、茶色の座標系に対応する領域がない。

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