ドジッター時空の座標変換と5次元への埋め込み(5)

2.3 宇宙定数が負の場合

表1で宇宙定数 𝛬 が負の場合の解は①のみである。 𝛬 = 0 や 𝛬 > 0 の場合と同様の考え方で座標変換をして、一定範囲内の空間の曲率が時間とともにどのように変化するか見てみよう。①の解 𝑎=𝑘𝐿cos𝑤𝐿 (101) d𝑠2 = d𝑤2 + (𝑘𝐿cos𝑤𝐿)2 ( 11𝑘𝑟2d𝑟2 +𝑟2d𝜃2 +𝑟2sin2𝜃d𝜑2 ) (102) は空間の曲率が負であり減速膨張から加速収縮に転じる有限の寿命をもつ時空である。ここで動径座標に関して 𝑟𝜌 = 𝑎𝑟 = 𝐿𝑘𝑟cos𝑤𝐿 (103) という座標変換をする。このとき逆変換は 𝜌𝑟 = 𝜌𝑘𝐿cos𝑤𝐿 (104) であり、その微分は d𝑟 = ∂𝑟∂𝑤d𝑤+∂𝑟∂𝜌d𝜌 = 𝜌𝑘𝐿 ( sin𝑤𝐿cos2𝑤𝐿 1𝐿 ) d𝑤 +1𝑘𝐿cos𝑤𝐿d𝜌 = 1𝑘𝐿cos2𝑤𝐿 ( 𝜌𝐿sin𝑤𝐿d𝑤+cos𝑤𝐿d𝜌 ) のようになる。これらを2乗すれば 𝑟2 = 𝜌2𝑘𝐿2cos2𝑤𝐿 (105) d𝑟2 = 1𝑘𝐿2cos4𝑤𝐿 ( 𝜌2𝐿2sin2𝑤𝐿 d𝑤2 + 2𝜌𝐿sin𝑤𝐿cos𝑤𝐿d𝑤d𝜌 +cos2𝑤𝐿d𝜌2 ) (106) である。(102)式を変形し(105)・(106)式を代入して座標変換後の線素の式を計算すると、 d𝑠2 = d𝑤2 𝑘𝐿2(cos2𝑤𝐿) ( 11𝑘𝑟2d𝑟2 +𝑟2d𝜃2 +𝑟2sin2𝜃d𝜑2 ) = d𝑤2 𝑘𝐿2cos2𝑤𝐿 1𝑘𝑟2 d𝑟2 𝑘𝐿2(cos2𝑤𝐿) 𝑟2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) = d𝑤2 𝑘𝐿2cos2𝑤𝐿 1 𝑘 𝜌2 𝑘𝐿2cos2𝑤𝐿 1𝑘𝐿2cos4𝑤𝐿 ( 𝜌2𝐿2sin2𝑤𝐿 d𝑤2 + 2𝜌𝐿sin𝑤𝐿cos𝑤𝐿d𝑤d𝜌 +cos2𝑤𝐿d𝜌2 ) 𝑘𝐿2(cos2𝑤𝐿) 𝜌2 𝑘𝐿2cos2𝑤𝐿 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) = d𝑤2 + 1 cos2𝑤𝐿+𝜌2𝐿2 ( 𝜌2𝐿2sin2𝑤𝐿 d𝑤2 + 2𝜌𝐿sin𝑤𝐿cos𝑤𝐿d𝑤d𝜌 +cos2𝑤𝐿d𝜌2 ) + 𝜌2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) = 1 cos2𝑤𝐿+𝜌2𝐿2 { ( cos2𝑤𝐿 +𝜌2𝐿2 ) d𝑤2 + 𝜌2𝐿2sin2𝑤𝐿 d𝑤2 + 2𝜌𝐿sin𝑤𝐿cos𝑤𝐿d𝑤d𝜌 +cos2𝑤𝐿d𝜌2 } + 𝜌2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) = 1 cos2𝑤𝐿+𝜌2𝐿2 [ { cos2𝑤𝐿 𝜌2𝐿2 (1sin2𝑤𝐿) } d𝑤2 + 2𝜌𝐿sin𝑤𝐿cos𝑤𝐿d𝑤d𝜌 +cos2𝑤𝐿d𝜌2 ] + 𝜌2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) = 1 cos2𝑤𝐿+𝜌2𝐿2 { ( cos2𝑤𝐿 𝜌2𝐿2cos2𝑤𝐿 ) d𝑤2 + 2𝜌𝐿sin𝑤𝐿cos𝑤𝐿d𝑤d𝜌 +cos2𝑤𝐿d𝜌2 } + 𝜌2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) = 1 cos2𝑤𝐿+𝜌2𝐿2 { (1+𝜌2𝐿2) cos2𝑤𝐿d𝑤2 + 2𝜌𝐿sin𝑤𝐿cos𝑤𝐿d𝑤d𝜌 +cos2𝑤𝐿d𝜌2 } + 𝜌2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) (107) となる。これは計量の非対角成分である d𝑤d𝜌 の項があってわかりにくいので、計量が対角になるようにさらなる座標変換を考える。動径座標はもういじりたくないので、時間座標を座標変換することで対角計量を目指そう。新しい時間座標を 𝑣 として、今のところ未知のその変換と逆変換を 𝑤 𝑣=𝑣(𝑤,𝜌) 𝑣 𝑤=𝑤(𝑣,𝜌) のように書く。すると、 d𝑤 = ∂𝑤∂𝑣d𝑣+∂𝑤∂𝜌d𝜌 d𝑤2 = (∂𝑤∂𝑣)2d𝑣2 +2∂𝑤∂𝑣∂𝑤∂𝜌d𝑣d𝜌 +(∂𝑤∂𝜌)2d𝜌2 であるから、これらを(107)式に代入すると d𝑠2 = 1 cos2𝑤𝐿+𝜌2𝐿2 { (1+𝜌2𝐿2) cos2𝑤𝐿d𝑤2 + 2𝜌𝐿sin𝑤𝐿cos𝑤𝐿d𝑤d𝜌 +cos2𝑤𝐿d𝜌2 } + 𝜌2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) = 1 cos2𝑤𝐿+𝜌2𝐿2 [ (1+𝜌2𝐿2) cos2𝑤𝐿 { (∂𝑤∂𝑣)2d𝑣2 +2∂𝑤∂𝑣∂𝑤∂𝜌d𝑣d𝜌 +(∂𝑤∂𝜌)2d𝜌2 } + 2𝜌𝐿sin𝑤𝐿cos𝑤𝐿 (∂𝑤∂𝑣d𝑣+∂𝑤∂𝜌d𝜌)d𝜌 +cos2𝑤𝐿d𝜌2 ] + 𝜌2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) = 1 cos2𝑤𝐿+𝜌2𝐿2 [ (1+𝜌2𝐿2) cos2𝑤𝐿 (∂𝑤∂𝑣)2d𝑣2 2(1+𝜌2𝐿2) cos2𝑤𝐿 ∂𝑤∂𝑣∂𝑤∂𝜌d𝑣d𝜌 (1+𝜌2𝐿2) cos2𝑤𝐿 (∂𝑤∂𝜌)2d𝜌2 + 2𝜌𝐿sin𝑤𝐿cos𝑤𝐿 ∂𝑤∂𝑣d𝑣d𝜌 + 2𝜌𝐿sin𝑤𝐿cos𝑤𝐿 ∂𝑤∂𝜌d𝜌2 +cos2𝑤𝐿d𝜌2 ] + 𝜌2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) = 1 cos2𝑤𝐿+𝜌2𝐿2 [ (1+𝜌2𝐿2) cos2𝑤𝐿 (∂𝑤∂𝑣)2d𝑣2 + 2cos𝑤𝐿∂𝑤∂𝑣 { (1+𝜌2𝐿2) cos𝑤𝐿∂𝑤∂𝜌 +𝜌𝐿sin𝑤𝐿 } d𝑣d𝜌 + { (1+𝜌2𝐿2) cos2𝑤𝐿 (∂𝑤∂𝜌)2 + 2𝜌𝐿sin𝑤𝐿cos𝑤𝐿 ∂𝑤∂𝜌 +cos2𝑤𝐿 } d𝜌2 ] + 𝜌2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) (108) となる。ここで d𝑣d𝜌 の係数を0にすればよいのだが、 ∂𝑤∂𝑣=0 では困る(まともな座標変換にならない)から、 (1+𝜌2𝐿2) cos𝑤𝐿∂𝑤∂𝜌 +𝜌𝐿sin𝑤𝐿 = 0 (1+𝜌2𝐿2) cos𝑤𝐿∂𝑤∂𝜌 = 𝜌𝐿sin𝑤𝐿 cos𝑤𝐿𝐿sin𝑤𝐿 ∂𝑤∂𝜌 = 𝜌 𝐿2(1+𝜌2𝐿2) ∂𝜌log|sin𝑤𝐿| = ∂𝜌 { 12 log(1+𝜌2𝐿2) } log|sin𝑤𝐿| = 12 log(1+𝜌2𝐿2) +𝑓(𝑣) (𝑓(𝑣)は𝑣の任意関数) sin𝑤𝐿 = ± 1+𝜌2𝐿2 e𝑓(𝑣) (109) を満たすような座標変換をすればよい。ここで表記の簡略化のために 𝐴(𝜌)= 1+𝜌2𝐿2 (110) 𝐵(𝑣)=±e𝑓(𝑣) と置く。後で使うために 𝐴(𝜌) を 𝜌 で微分すると、 d𝐴(𝜌)d𝜌= 𝜌𝐿2 1+𝜌2𝐿2 (111) である。このとき(109)式より sin𝑤𝐿 = 𝐴(𝜌)𝐵(𝑣) (112) 𝑤 = 𝐿arcsin{𝐴(𝜌)𝐵(𝑣)} (113) と書ける。

𝐵(𝑣) は任意の関数であって具体的な形が未定であるが、それは後で決めることにしてとりあえずこのまま計算を進める。ここからは 𝐴 や 𝐵 の引数を表す (𝜌) や (𝑣) は省略する。(112)式より sin2𝑤𝐿 = 𝐴2𝐵2 cos2𝑤𝐿 = 1sin2𝑤𝐿 = 1𝐴2𝐵2 (114) cos𝑤𝐿 = 1𝐴2𝐵2 (115) である。(115)式の右辺に複号を付けず非負だと決めつけている理由は、もしこれが負だったら(101)式のスケール因子が負になってしまい前提に反するからである。また、(113)式より ∂𝑤∂𝑣 = 𝐿11(𝐴𝐵)2 ∂𝑣(𝐴𝐵) = 𝐿𝐴𝐵˙1𝐴2𝐵2 (116) ∂𝑤∂𝜌 = 𝐿11(𝐴𝐵)2 ∂𝜌(𝐴𝐵) = 𝐿𝐴𝐵1𝐴2𝐵2 (117) である。ただしドット ˙ は座標 𝑣 による微分 dd𝑣 を表し、プライム ′ は座標 𝜌 による微分 dd𝜌 を表す。(112)(114)(117)式(108)式に代入して座標変換後の線素の式を計算したいが、(108)式はかなり長くなっているので一気に代入すると大変である。そこで計量の成分ごとに計算しよう。

(108)式の d𝑣² の係数は 𝑔00 = 1 cos2𝑤𝐿+𝜌2𝐿2 { (1+𝜌2𝐿2) cos2𝑤𝐿 (∂𝑤∂𝑣)2 } = 1 (1𝐴2𝐵2) +𝜌2𝐿2 { (1+𝜌2𝐿2) (1𝐴2𝐵2) ( 𝐿𝐴𝐵˙ 1𝐴2𝐵2 ) 2 } = 1 1 𝐴2𝐵2 +𝜌2𝐿2 { (1+𝜌2𝐿2) (1𝐴2𝐵2) 𝐿2𝐴2𝐵˙2 1𝐴2𝐵2 } = 1 (1+𝜌2𝐿2) 𝐴2𝐵2 { (1+𝜌2𝐿2) 𝐿2𝐴2𝐵˙2 } = (1+𝜌2𝐿2) 𝐿2𝐴2𝐵˙2 (1+𝜌2𝐿2) 𝐴2𝐵2 = (1+𝜌2𝐿2) 𝐿2𝐵˙2 1𝐴2 (1+𝜌2𝐿2) 𝐵2 である。ここに(110)式を代入すると 𝑔00 = (1+𝜌2𝐿2) 𝐿2𝐵˙2 1𝐴2 (1+𝜌2𝐿2) 𝐵2 = (1+𝜌2𝐿2) 𝐿2𝐵˙2 11+𝜌2𝐿2 (1+𝜌2𝐿2) 𝐵2 = (1+𝜌2𝐿2) 𝐿2𝐵˙21𝐵2 となる。

(108)式の d𝑣d𝜌 の係数は、それが0になるように 𝑣 を決めたのだから当然0である。

(108)式の d𝜌² の係数は 𝑔11 = 1 cos2𝑤𝐿+𝜌2𝐿2 { (1+𝜌2𝐿2) cos2𝑤𝐿 (∂𝑤∂𝜌)2 + 2𝜌𝐿sin𝑤𝐿cos𝑤𝐿 ∂𝑤∂𝜌 +cos2𝑤𝐿 } = 1 (1𝐴2𝐵2) +𝜌2𝐿2 { (1+𝜌2𝐿2) (1𝐴2𝐵2) ( 𝐿𝐴𝐵 1𝐴2𝐵2 ) 2 + 2𝜌𝐿𝐴𝐵 1𝐴2𝐵2 𝐿𝐴𝐵1𝐴2𝐵2 +(1𝐴2𝐵2) } = 1 1 𝐴2𝐵2 +𝜌2𝐿2 { (1+𝜌2𝐿2) (1𝐴2𝐵2) 𝐿2𝐴2𝐵2 1𝐴2𝐵2 +2𝜌𝐿𝐴𝐵𝐿𝐴𝐵 +1 𝐴2𝐵2 } = 1 (1+𝜌2𝐿2) 𝐴2𝐵2 { (1+𝜌2𝐿2) 𝐿2𝐴2𝐵2 +2𝜌𝐴𝐴𝐵2 +1 𝐴2𝐵2 } である。ここに(110)(111)式を代入すると 𝑔11 = 1 (1+𝜌2𝐿2) 𝐴2𝐵2 { (1+𝜌2𝐿2) 𝐿2𝐴2𝐵2 +2𝜌𝐴𝐴𝐵2 +1 𝐴2𝐵2 } = 1 (1+𝜌2𝐿2) (1+𝜌2𝐿2)𝐵2 { (1+𝜌2𝐿2)𝐿2 𝜌2𝐿4 1+𝜌2𝐿2 𝐵2 + 2𝜌 1+𝜌2𝐿2 𝜌𝐿2 1+𝜌2𝐿2 𝐵2 +1 (1+𝜌2𝐿2)𝐵2 } = 1 (1+𝜌2𝐿2) (1𝐵2) ( 𝜌2𝐿2𝐵2 +2𝜌2𝐿2𝐵2 +1 𝐵2 𝜌2𝐿2𝐵2 ) = 1 (1+𝜌2𝐿2) (1𝐵2) (1𝐵2) = 11+𝜌2𝐿2 となる。

これら以外の計量の成分は座標変換しても変わらない。以上により線素の式は d𝑠2= (1+𝜌2𝐿2) 𝐿2𝐵˙2 1𝐵2 d𝑣2 + 11+𝜌2𝐿2 d𝜌2 + 𝜌2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) (118) となる。あとは 𝐵(𝑣) の形を好きなように決めればよいのだが、ここで仮に 𝑔₀₀ が 𝑣 を含まなければ静的な計量にすることができて良さそうである。そのためには 𝐿2𝐵˙21𝐵2 =1 という微分方程式を解けばよい(右辺は正の定数なら何でもよいが、1にしておくのが楽である)。これは両辺の平方根を 𝑣 で積分するだけで解けるので計算過程を省略していきなり答えを書くと、 𝐵(𝑣)=sin𝑣𝐿(119) である。(119)式(118)式に代入すれば d𝑠2 = (1+𝜌2𝐿2)d𝑣2 + 11+𝜌2𝐿2 d𝜌2 + 𝜌2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) (120) となる。 𝐿=3𝛬 を代入すれば、 d𝑠2 = (113𝛬𝜌2)d𝑣2 + 1113𝛬𝜌2 d𝜌2 + 𝜌2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) (121) となる。これは「宇宙項があったらシュバルツシルト解はどう変わるか」の記事で出てきた反ドジッター解と同じものである。これのことを「反ドジッター時空」(Anti‐de Sitter spacetime)とも呼ぶ。この計量は静的である。曲率が負の空間が減速膨張から加速収縮に転じると思っていた①の解は、反ドジッター時空と同じものだったのだ。

ここでは2段階で座標変換をしたが、最初の座標系と最後の座標系が結局どういう関係になっているのかを求めておこう。(110)(119)式(113)・(112)式に代入すると、 𝑤 = 𝐿 arcsin ( 1+𝜌2𝐿2sin𝑣𝐿 ) (122) sin𝑤𝐿 = 1+𝜌2𝐿2sin𝑣𝐿 (123) sin𝑤𝐿 1+𝜌2𝐿2 = sin𝑣𝐿 𝐿 arcsin sin𝑤𝐿 1+𝜌2𝐿2 = 𝑣 (124) であるから、座標変換は 𝑣 = 𝐿 arcsin sin𝑤𝐿 1+𝜌2𝐿2 (124)式 = 𝐿 arcsin sin𝑤𝐿 1+ (𝐿𝑘𝑟cos𝑤𝐿)2 𝐿2 (103)式を代入した。 = 𝐿 arcsin sin𝑤𝐿 1+ 𝐿2 (𝑘)𝑟2cos2𝑤𝐿 𝐿2 = 𝐿 arcsin sin𝑤𝐿 1𝑘𝑟2cos2𝑤𝐿 𝜌 = 𝐿𝑘𝑟cos𝑤𝐿 (103)式 であり、逆変換は 𝑤 = 𝐿 arcsin ( 1+𝜌2𝐿2sin𝑣𝐿 ) (122)式 𝑟 = 𝜌𝑘𝐿cos𝑤𝐿 (104)式 = 𝜌 𝑘𝐿1sin2𝑤𝐿 = 𝜌 𝑘𝐿 1 ( 1+𝜌2𝐿2sin𝑣𝐿 ) 2 (123)式を代入した。 = 𝜌 𝑘𝐿 1 (1+𝜌2𝐿2) sin2𝑣𝐿 = 𝜌 𝑘𝐿 cos2𝑣𝐿 𝜌2𝐿2sin2𝑣𝐿 = 𝜌 𝑘 𝐿2cos2𝑣𝐿 𝜌2sin2𝑣𝐿 である。式変形が長くなって全体が見づらいので結果だけをもう一度書いておくと、 𝑣= 𝐿 arcsin sin𝑤𝐿 1𝑘𝑟2cos2𝑤𝐿 (125) 𝜌=𝐿𝑘𝑟cos𝑤𝐿 (126) 𝑤= 𝐿 arcsin ( 1+𝜌2𝐿2sin𝑣𝐿 ) (127) 𝑟= 𝜌 𝑘 𝐿2cos2𝑣𝐿 𝜌2sin2𝑣𝐿 (128) である。この関係を図示したものが図8である。茶色で描かれた座標系(静的な計量; (120)式)は時空の全体を覆うことができるが、青色で描かれた座標系(𝑘 < 0 のFLRW計量; (102)式)は、 (𝑣,𝜌)=(𝜋2𝐿,0) を頂点とする未来光円錐の内部かつ (𝑣,𝜌)=(𝜋2𝐿,0) を頂点とする過去光円錐の内部だけしか言い表せないのである。 𝑤=𝜋2𝐿 はビッグバンとビッグクランチかと思ったらただの座標特異点なのであった。

𝛬 < 0 の場合における静的な計量とFLRW計量(𝑘 < 0)との座標変換

図8. スケール因子を 𝑎=𝑘𝐿cos𝑤𝐿 としたFLRW計量(表1の①)の座標変換。

茶色の線は静的な座標系、青色の線はFLRW計量の座標系を表す。後者は 𝜋2𝐿𝑤𝜋2𝐿 の範囲で定義される。

左図で青色の線が密集している 𝜌=𝐿cot𝑣𝐿 の線から上の領域および 𝜌=𝐿cot𝑣𝐿 の線から下の領域は、青色の座標系に対応する領域がない。

2.4 すべての解に共通な計量

宇宙定数 𝛬 が正の場合の解であるドジッター時空は(37)式より、負の場合の解である反ドジッター時空は(121)式より、いずれも d𝑠2 = (113𝛬𝜌2)d𝑣2 + 1113𝛬𝜌2 d𝜌2 + 𝜌2 (d𝜃2+sin2𝜃d𝜑2) (129) という形で表現でき、 𝛬 の符号が異なるだけだった。さらに 𝛬 = 0 の場合の解であるミンコフスキー時空も(129)式に 𝛬 = 0 を代入したものと同じである。結局、フリードマン方程式の真空解は(129)式だけですべてを言い表わせているのだ。

だがよく考えればこれは当たり前の話である。以前に「宇宙項があったらシュバルツシルト解はどう変わるか」の記事で、定常の条件を付けずに球対称で真空の時空の解を求めたら出てきたのが(129)式であった。その「球対称」という条件をさらに厳しくして「一様・等方」にしたものが真空のフリードマン方程式なのだから、解が減ることはあっても増えるはずがないのである。

解は増えなかったが、何も得られなかったわけではない。(129)式は定常であるが一見して一様な空間には見えない座標系であった。それが座標系の張り方をうまく変えるだけで一様・等方な空間が膨張または収縮する時空に見えるようになるし、その際に 𝛬 > 0 ならば空間の曲率 𝑘 の符号も自由に設定できることがわかったのである。

⛭ 数式の表示設定 (S)