このページでやることは脇道にそれた数学的な無駄話である。フリードマン方程式を解くという目的に対してはほとんど役に立たない。急いでいる人はこんなページは飛ばしてさっさと次のページに進むのが良いだろう。
【4】 不思議な積分ができるとき
今積分したい式は
である。 𝛬 ≠ 0 なら左辺の被積分関数は根号の中が4次式であるから一般にはこの積分は初等関数で表せない。【3】では特別な条件が成り立っているときに式変形をして根号の中を2次に下げることができたので初等関数で表すことができた。では根号の中の次数を4次から下げられなければ絶対に初等的に積分できないのかといえば、必ずしもそうではなく、まれに積分できる場合がある。ここではそのような場合を扱う。
不思議な積分
突然だが、次のような複素関数の不定積分がある。
ここで log は e を底とする複素数の対数関数であり、一般に多価関数である。また、√も1価でなく複素数の2価関数であるが、両辺にある同一の√は同じ値を取ることとする。いきなりこんな式を見せられてもすぐには信じられないかもしれないが、これを確認するのは簡単である。(198)式の右辺を微分すれば
となるから確かに成り立っていることがわかる。このように(198)式が成り立つこと自体はそれほど不思議ではない。だが、(198)式の左辺の被積分関数に着目したときに、なぜ分母の根号内の4次式がこれのときだけこんな積分できるのかと聞かれても、私にはよくわからないので、計算するとそうなっているからとしか答えられない。例えば定数項の−8が−7になったらもう初等的に積分できないはずだ(たぶん)。そういう意味では不思議な感じがする。なお補足しておくと、(198)式の 𝑧 を定数倍するような変数変換をしてできる式は当然成り立っている。たとえば(198)式の 𝑧 を
に置き換えると左辺は
になり、右辺に対しても同じ置き換えをすれば不定積分が求まるから、そのようにして作られる4次式の場合なら同様に積分できる。
さて、(198)式の被積分関数は分子が 𝑧 であり分母は根号の中が4次式でその3次の項は0である。いかにも(103)式の積分(の特別な場合)に応用できそうな形をしている。だがよく見ると定数項が負になっているから、そのままでは(103)式に当てはめることはできない。そこで(198)式は複素関数であったことを思い出そう。√自体もその中の式も複素数であるから
(i は虚数単位)と書くことができる。これを(198)式に代入した上でさらに変形すると
となる。ここで arg は偏角であり、一般に多価関数である。また、 ln は実数の対数関数(普通の自然対数で1価関数)であり、複素数の多価関数の log と区別してある。 log と ln をこのような意味で使い分けることが一般的かどうか知らないが、私が持っている複素関数論の教科書(犬井鉄郎・石津武彦 「複素函数論」 東京大学出版会 (1966))ではそうなっているので、この記事もそれにならうことにする。
(199)式は複素関数だが、今は実関数が欲しいので、ここからは変数の取りうる範囲を実数に限定し、さらに両辺の√の中が正になる範囲のみに制限しよう。ここまで変数は複素数であるという気持ちを込めて 𝑧 という文字を使ってきたが、ここからは実数だから 𝑥 を使うことにする(これは単に気分の問題である)。√の中の式は
のように因数分解できるからこれが正になるような 𝑥 の変域は
である。(199)式の 𝑧 をただ 𝑥 に置き換えただけの式を書くと
である。(198)式の下で√は複素数の2価関数だと言ったが、ここからは√は非負の実数の1価関数と考えてもらってよい。そうすると本来なら(201)式の両辺の√の前の符号を負にした場合も考慮すべきだが、今の場合はどちらも最終的に同じ結果になるので正の方だけ書くことにする。ここで 𝑥 は実数であり√の中は正の実数だから(201)式の右辺第1項の ln は
となって定数になる。(201)式の右辺第2項の arg は逆三角関数を使って例えば
のように書ける。 arcsin や arctan を使って書くこともできるが、ここでは arccos を使うと便利だからそのようにした。 𝑥 = 1 を境に場合分けが生じる理由は、 arg の中身の虚部の符号がそこを境に変わるからだ。 arg は多価関数であったが、今考えている 𝑥 の変域では「ぐるっと回って元の 𝑥 に戻ってきたら arg の値が 2𝜋 ずれていた」なんてことは起こらないので多価性は気にしなくても(積分定数に押し付けておけば)よい。これらより、(201)式の不定積分は右辺第1項と第3項を足した定数を 𝐷 とでも置けば
と書ける。1行目の 𝐷 と2行目の 𝐷 は共通であるから、1行目の括弧内第1項の 2𝜋 を定数だからと言って消してはいけない(消したら 𝑥 = 1 において不連続になってしまう)。これで虚数が出てこない実関数の不定積分になった。ここまで長々と話してきたが、要は変数の変域が(200)式のとき(198)式の虚部が(202)式になるというだけの話である。
フリードマン方程式への応用
(202)式を(103)式の積分(の特別な場合)に応用してみよう。それができるのは
という関係が成り立っているときである。このとき(103)式は
となる(都合により両辺を入れ替えてある)。ここで新しい変数を 𝑥 として
と置く。すると
であるからこれらを代入すると、
となって、(202)式の左辺と同じものが現れた。よってこれを積分すれば
となる。 𝑥 を元に戻せば
のようになって解が求まる。 𝑥 = 2 すなわち
のときには(203)式の右辺の被積分関数の分母が0になってしまうので除外して考えてきたが、(102)式までさかのぼってみるとそのときも 0 = 0 となってちゃんと成り立っている。よって
のときも(204)式は解である(2行目の変域にすでに入れてある)。(204)式のうち
の部分は物理的に無意味である。
の部分は時刻
に 𝑎 = 0 から始まって減速膨張し、時刻 𝑡 = 0 に最大値
になって加速収縮に転じ、時刻
に 𝑎 = 0 になって終わる宇宙である。複号の+が膨張期であり、複号の−が収縮期である。
(204)式の両辺を
倍して cos を取れば
となってだいぶ見やすくなる。
より
だから
と書くこともできる。この式が表す曲線は周期的に 𝑎 の符号を変えながら 𝑡 → −∞ から 𝑡 → ∞ まで無限に続く。その中から一続きの 𝑎 ≧ 0 の部分だけを取り出したものが物理的な解である。
同様の例
同様の例として、次のような複素関数の不定積分がある。
この積分は2024年2月現在、Wikipedia 英語版の “Risch algorithm” というページに載っている例と同じである(日本語版の「リッシュのアルゴリズム」のページには載っていない)。リンク先にある式と(205)式を比べると2か所で符号が異なっているので同じ式に見えないかもしれないが同じである。リンク先の式の対数の外のマイナスを中に放り込んで(つまり対数の中を逆数にして)分母を有理化して定数を対数の外に出すと、積分定数分の違いを除いて同じ式であることがわかる。あるいは別の考え方として、√は複素数の2価関数だったから両辺の√の前の符号をマイナスに変えても式の意味は同じであり、そうしてから対数の中の−1を外に出すことでも同じ式であることがわかる。
(198)式のときと同じように、(205)式の根号の中を符号反転した実関数を求めたい。 𝑥 を実変数として、符号反転した根号の中の式は
のように因数分解できるからこれが正になるような 𝑥 の変域は
である。この範囲内で(205)式の虚部は
のようになる。なお 𝑋₀ < 0 < 𝑋₁ < 𝑋₂ < 𝑋₃ である。 𝑥 = 𝑋₀ , 𝑋₁ , 𝑋₃ のとき arccos の中身は1であり、 𝑥 = 𝑋₂ のとき arccos の中身は−1である。
これを(103)式の積分(の特別な場合)に応用してみよう。それができるのは
という関係が成り立っているときである。このとき(103)式は
となる(都合により両辺を入れ替えてある)。ここで新しい変数を 𝑥 として
と置く。すると
であるからこれらを代入すると、
となって、(206)式の左辺と同じものが現れた。よってこれを積分すれば
となる。 𝑥 を元に戻せば
のようになって解が求まる。 𝑈(𝑎) は数値係数にかなり大きな数値が表れて10進表記しても意味がわかりにくいので素因数の積の形で書いておいた。分子と分母が同じくらい大きいので分数全体としては並の大きさの値である。2次の項の分子の「71³」は「71²」の書き間違いではなく、これで正しい。4次の項の分母の「3」は「3⁴」の書き間違いではなく、これで正しい。
より
だから
と書くこともできる。これだと係数に大きな数値が現れずに済むけれども根号が増える。
𝑥 = 𝑋₃ すなわち
のときには(207)式の右辺の被積分関数の分母が0になってしまうので除外して考えてきたが、(102)式までさかのぼってみるとそのときも 0 = 0 となってちゃんと成り立っている。よって
のときも(208)式は解である(3行目の変域にすでに入れてある)。(208)式のうち
の部分は物理的に無意味である。
の部分は時刻
に 𝑎 = 0 から始まって減速膨張し、時刻 𝑡 = 0 に最大値
になって加速収縮に転じ、時刻
に 𝑎 = 0 になって終わる宇宙である。複号の+が膨張期であり、複号の−が収縮期である。
(208)式の両辺を
倍して cos を取れば
となってだいぶ見やすくなる。この式が表す曲線は周期的に 𝑎 の符号を変えながら 𝑡 → −∞ から 𝑡 → ∞ まで無限に続く。同じ形の曲線が2本あり、互いに半周期ずれて配置されている。その中から一続きの 𝑎 ≧ 0 の部分だけを取り出したものが物理的な解である。
少し異なる例
前2例と似ているけれど少し異なる例として、次のような複素関数の不定積分がある。
だんだん式が長くなってきて、べた書きすると大変なことになるので、登場する多項式に 𝑃, 𝑄, 𝑅 という名前を付けておいた。前2例と違ってこの 𝑃(𝑧) は定数項が正になっているから、フリードマン方程式(の特別な場合)に応用する際に(209)式を実関数だと思えばほぼそのまま使える。
𝑥 を実変数として、
のように因数分解できるからこれが正になるような 𝑥 の変域は
である。このとき
も実数だから(209)式は実関数として
のようになるが、今はたまたま
は常に正だから絶対値記号を外して
としてよい。この式をそのまま使ってもよいが、もう少し変形しておこう。
という量を計算すると
のように定数になっていて、移項すると
である。よって
が成り立つ。それぞれ最後の等号は
という関係式(というか arcosh の定義そのもの)を使った変形である。このことから、(210)式の不定積分は定数
を 𝐷 とでも置けば
のようになる。なお 𝑋₀ < 𝑋₁ < 0 < 𝑋₂ である。
であり、 𝑃(𝑋₀) = 𝑃(𝑋₁) = 𝑄(𝑋₂) = 0 である。細かいことを言うと、 𝑥 < 𝑋₀ の領域と 𝑋₁ < 𝑥 の領域は離れているので積分定数 𝐷 の値はその2つの領域で異なっていてもかまわない(ただし 𝑋₂ を境に積分定数 𝐷 の値を変えてはならない)。
これを(103)式の積分(の特別な場合)に応用してみよう。それができるのは
という関係が成り立っているときである。このとき(103)式は
となる(都合により両辺を入れ替えてある)。ここで新しい変数を 𝑥 として
と置く。すると
であるからこれらを代入すると、
となって、(211)式の左辺と同じものが現れた。よってこれを積分すれば
となる。 𝑥 を元に戻せば
のようになって解が求まる。 𝑈(𝑎) は数値係数にかなり大きな数値が表れて10進表記しても意味がわかりにくいので素因数の積の形で書いておいた。分子と分母が同じくらい大きいので分数全体としては並の大きさの値である。2次の項の分子の「317³」は「317²」の書き間違いではなく、これで正しい。
より
だから
と書くこともできる。これだと係数に大きな数値が現れずに済むけれども根号が増える。
(212)式で複号が+の解のうち 𝑎 ≧ 0 の部分は、時刻
に 𝑎 = 0 から始まって減速膨張し、ある時刻 𝑡 = 𝑡𝐿 にある値 𝑎 = 𝑎𝐿 になって加速膨張に転じ、無限の未来に 𝑎 → ∞ になる宇宙である。複号が−の解のうち 𝑎 ≧ 0 の部分はその時間反転である。複号にかかわらず 𝑎 < 0 の部分は物理的に無意味である。減速から加速に転じる点に関して具体的には
である。
(212)式の両辺を
倍して cosh を取れば
となってだいぶ見やすくなる。この式が表す曲線は2本あり、どちらも無限に続く。そのうち1本の曲線は、収縮解を表す部分 (𝑎 ≧ 0) と物理的に無意味な部分 (𝑎 < 0) と膨張解を表す部分 (𝑎 ≧ 0) がこの順につながっている。もう1本の曲線は全域が 𝑎 < 0 であり物理的に無意味である。
パターン化
ここまで3つの例を挙げた。なんとなく傾向が見えてきたのではないだろうか。つまりこうである。
という複素関数の不定積分があるとき、それに対応して 𝛬, 𝑘, 𝐾𝑟, 𝐾𝑚 の4つの定数の間に特別な関係(2個の条件)が成り立っていれば、(213)式を使って(103)式を積分すると
または
という解が求まる、ということだ。今までの3つの例は 𝑛 が5, 8, 10の場合である。(213)式を見てわかるように 𝑛 は少なくとも2以上の整数でなければならない。だが 𝑛 が2, 3, 4, 6のときは(213)式のような不定積分が存在しない。無理やり作ろうとしても 𝑃(𝑧) の0次(と2次)の項か1次の項のどちらかが0になってしまうのでこの節のフリードマン方程式に応用できない(3.1節の全部または3.2節の【3】には応用できるけれども、応用しなくてもそれらはすでに積分できている)。
𝑛 を変えれば他にも(213)式のような不定積分を作れる。例えば 𝑛 = 7 のときは2パターンあり、1個目のパターンはこうだ。
ここで(214)式の本体にある
の√は複素数の2価関数であり、「ただし」以下の定数 と
の√は非負の実数の1価関数だとしておく。このように、 𝑃(𝑧), 𝑄(𝑧), 𝑅(𝑧) の各項の係数がいつでも整数になるとは限らない。 𝑃(𝑧) の定数項は負だからこの先は 𝑛 = 5, 8 のときと同じように考えていけばよい。すると(214)式から
という実関数の不定積分が得られる。なお 𝑋₀ < 0 < 𝑋₁ < 𝑋₂ である。
であり、 𝑃(𝑋₀) = 𝑄(𝑋₁) = 𝑃(𝑋₂) = 0 である。これが(103)式の積分に応用できるのは
という関係が成り立っているときである。このとき(103)式は
となり、
と置いて(215)式を使って積分すると
という解が求まる。この式が表す曲線は周期的に 𝑎 の符号を変えながら 𝑡 → −∞ から 𝑡 → ∞ まで無限に続く。その中から一続きの 𝑎 ≧ 0 の部分だけを取り出したものが物理的な解である。範囲内に 𝑡 = 0 を含む解は、時刻
に 𝑎 = 0 から始まって減速膨張し、時刻 𝑡 = 0 に最大値
になって加速収縮に転じ、時刻
に 𝑎 = 0 になって終わる宇宙である。
𝑛 = 7 のときの2個目のパターンはこうだ。
ここで(216)式の本体にある
の√は複素数の2価関数であり、「ただし」以下の定数 と
の√は非負の実数の1価関数だとしておく。なんだか1個目のパターンの(214)式に酷似しているが、(216)式は(214)式の
を
に置き換えて 𝑧 を i𝑧 に置き換えたものである。 𝑃(𝑧) の定数項は正だからこの先は 𝑛 = 10 のときと同じように考えていけばよい。すると(216)式から
という実関数の不定積分が得られる。なお 𝑋₀ < 𝑋₁ < 0 < 𝑋₂ である。
であり、 𝑃(𝑋₀) = 𝑃(𝑋₁) = 𝑄(𝑋₂) = 0 である。これが(103)式の積分に応用できるのは
という関係が成り立っているときである。このとき(103)式は
となり、
と置いて(217)式を使って積分すると
という解が求まる。数学的には
の範囲では解の右辺(もしくは左辺)の符号が逆になるが、そこでは全域で 𝑎 が負だから物理的に無意味なので無視した。この式が表す曲線は無限に続き、収縮解を表す部分 (𝑎 ≧ 0) と物理的に無意味な部分 (𝑎 < 0) と膨張解を表す部分 (𝑎 ≧ 0) がこの順につながっている。膨張解は、時刻
に 𝑎 = 0 から始まって減速膨張し、ある時刻 𝑡 = 𝑡𝐿 にある値 𝑎 = 𝑎𝐿 になって加速膨張に転じ、無限の未来に 𝑎 → ∞ になる宇宙である。収縮解はその時間反転である。減速から加速に転じる点に関して 𝑡𝐿 と 𝑎𝐿 の厳密な表式はもう面倒なので書かないが、数値的には
である。
最後に 𝑛 = 12 の場合を紹介しておこう。それはこうだ。
ここで(218)式の本体にある
の√は複素数の2価関数であり、「ただし」以下の定数
と と
の√と∛は非負の実数の1価関数だとしておく。数値係数に3乗根が現れるなど、だいぶ複雑になってきた。実は(218)式のすべての
と をそれぞれ
と
(複号同順)に置き換えた式も成り立つのだが、そのような不定積分はたぶん実関数に応用できないと思うのでここでは扱わない。 𝑃(𝑧) の定数項は負だからこの先は 𝑛 = 5, 8 のときと同じように考えていけばよい。すると(218)式から
という実関数の不定積分が得られる。なお 𝑋₀ < 0 < 𝑋₁ < 𝑋₂ < 𝑋₃ である。
であり、 𝑃(𝑋₀) = 𝑄(𝑋₁) = 𝑄(𝑋₂) = 𝑃(𝑋₃) = 0 である。これが(103)式の積分に応用できるのは
という関係が成り立っているときである。このとき(103)式は
となり、
と置いて(219)式を使って積分すると
という解が求まる。この式が表す曲線は周期的に 𝑎 の符号を変えながら 𝑡 → −∞ から 𝑡 → ∞ まで無限に続く。同じ形の曲線が2本あり、互いに半周期ずれて配置されている。その中から一続きの 𝑎 ≧ 0 の部分だけを取り出したものが物理的な解である。 𝑡 の変域の真ん中が 𝑡 = 0 になる解は、時刻
に 𝑎 = 0 から始まって減速膨張し、時刻 𝑡 = 0 に最大値
になって加速収縮に転じ、時刻
に 𝑎 = 0 になって終わる宇宙である。
このような感じで 𝑛 をどんどん大きくしていけばこのパターンの不定積分はいくらでも出てくるだろう(証明はしていないが、3以上の 𝑛 に対して常に 𝑃, 𝑄, 𝑅 の未知係数の数が制約条件の数より1多いので、たぶん無限に存在すると思う)。それは 𝑛 を指定すれば原理的には有限の手続きで求めることができる。だが 𝑛 より先にフリードマン方程式における4つの定数 𝛬, 𝑘, 𝐾𝑟, 𝐾𝑚 の値が与えられたときに、今のパターンに該当するのかどうか、そして該当するならば 𝑛 の値が何なのか、どうやって判定すればよいのだろうか。先ほどちょっと出てきた Risch algorithm というやつを使えばわかるのかもしれないが、私はそれの内容を知らないのでここで説明することはできない。
そして仮に今のパターンに該当することがわかって初等的に積分できたとしても、解が 𝑎 の100次式とか1000次式とかで表されたって現実的に使いにくい。そんな厳密解を見つけて使うよりも最初から数値的に積分する方が楽だろう。そういうわけでこのページは初等的に厳密解を書けるけれどもまったく実用的ではないという例の説明であった。
脇道にそれた無駄話はこのくらいにしておこう。