光や物質で満たされた宇宙に対するフリードマン方程式を解く(7)

このページでやることは脇道にそれた数学的な無駄話である。フリードマン方程式を解くという目的に対してはほとんど役に立たない。急いでいる人はこんなページは飛ばしてさっさと次のページに進むのが良いだろう。

【4】 不思議な積分ができるとき

今積分したい式は 𝑎d𝑎 𝐾𝑟 +𝐾𝑚𝑎 𝑘𝑎2 +𝛬3𝑎4 =±𝑐d𝑡 ( 𝐾𝑟>0,𝐾𝑚>0 ) (103)式 である。 𝛬 ≠ 0 なら左辺の被積分関数は根号の中が4次式であるから一般にはこの積分は初等関数で表せない。【3】では特別な条件が成り立っているときに式変形をして根号の中を2次に下げることができたので初等関数で表すことができた。では根号の中の次数を4次から下げられなければ絶対に初等的に積分できないのかといえば、必ずしもそうではなく、まれに積分できる場合がある。ここではそのような場合を扱う。

不思議な積分

突然だが、次のような複素関数の不定積分がある。 𝑧d𝑧 𝑧4+4𝑧212𝑧8 = 15 log { 𝑧5+5𝑧310𝑧214 + (𝑧3+3𝑧4) 𝑧4+4𝑧212𝑧8 } +𝐶 𝐶は積分定数)(198) ここで log は e を底とする複素数の対数関数であり、一般に多価関数である。また、√も1価でなく複素数の2価関数であるが、両辺にある同一の√は同じ値を取ることとする。いきなりこんな式を見せられてもすぐには信じられないかもしれないが、これを確認するのは簡単である。(198)式の右辺を微分すれば dd𝑧 [ 15 log { 𝑧5+5𝑧310𝑧214 + (𝑧3+3𝑧4) 𝑧4+4𝑧212𝑧8 } +𝐶 ] = 15 dd𝑧 { 𝑧5+5𝑧310𝑧214 + (𝑧3+3𝑧4) 𝑧4+4𝑧212𝑧8 } 𝑧5+5𝑧310𝑧214 + (𝑧3+3𝑧4) 𝑧4+4𝑧212𝑧8 = 15 5𝑧4+15𝑧220𝑧 + (3𝑧2+3) 𝑧4+4𝑧212𝑧8 + (𝑧3+3𝑧4) 4𝑧3+8𝑧12 2𝑧4+4𝑧212𝑧8 𝑧5+5𝑧310𝑧214 + (𝑧3+3𝑧4) 𝑧4+4𝑧212𝑧8 = 15 5𝑧4+15𝑧220𝑧 + (3𝑧2+3) (𝑧4+4𝑧212𝑧8) + (𝑧3+3𝑧4) (2𝑧3+4𝑧6) 𝑧4+4𝑧212𝑧8 𝑧5+5𝑧310𝑧214 + (𝑧3+3𝑧4) 𝑧4+4𝑧212𝑧8 = 15 5𝑧4+15𝑧220𝑧 + 5𝑧6 +25𝑧4 50𝑧3 70𝑧 𝑧4+4𝑧212𝑧8 𝑧5+5𝑧310𝑧214 + (𝑧3+3𝑧4) 𝑧4+4𝑧212𝑧8 = 15 5𝑧 ( 𝑧3+3𝑧4 + 𝑧5+5𝑧310𝑧214 𝑧4+4𝑧212𝑧8 ) 𝑧5+5𝑧310𝑧214 + (𝑧3+3𝑧4) 𝑧4+4𝑧212𝑧8 = 15 5𝑧 (𝑧3+3𝑧4) 𝑧4+4𝑧212𝑧8 +𝑧5 +5𝑧3 10𝑧2 14 𝑧4+4𝑧212𝑧8 𝑧5+5𝑧310𝑧214 + (𝑧3+3𝑧4) 𝑧4+4𝑧212𝑧8 = 𝑧𝑧4+4𝑧212𝑧8 となるから確かに成り立っていることがわかる。このように(198)式が成り立つこと自体はそれほど不思議ではない。だが、(198)式の左辺の被積分関数に着目したときに、なぜ分母の根号内の4次式がこれのときだけこんな積分できるのかと聞かれても、私にはよくわからないので、計算するとそうなっているからとしか答えられない。例えば定数項の−8が−7になったらもう初等的に積分できないはずだ(たぶん)。そういう意味では不思議な感じがする。なお補足しておくと、(198)式の 𝑧 を定数倍するような変数変換をしてできる式は当然成り立っている。たとえば(198)式の 𝑧 を 110𝑧 に置き換えると左辺は 𝑧d𝑧 𝑧4+400𝑧2+12000𝑧80000 になり、右辺に対しても同じ置き換えをすれば不定積分が求まるから、そのようにして作られる4次式の場合なら同様に積分できる。

さて、(198)式の被積分関数は分子が 𝑧 であり分母は根号の中が4次式でその3次の項は0である。いかにも(103)式の積分(の特別な場合)に応用できそうな形をしている。だがよく見ると定数項が負になっているから、そのままでは(103)式に当てはめることはできない。そこで(198)式は複素関数であったことを思い出そう。√自体もその中の式も複素数であるから 𝑧4+4𝑧212𝑧8 = i 𝑧44𝑧2+12𝑧+8 (i は虚数単位)と書くことができる。これを(198)式に代入した上でさらに変形すると 𝑧d𝑧 i 𝑧44𝑧2+12𝑧+8 = 15 log { 𝑧5+5𝑧310𝑧214 + i(𝑧3+3𝑧4) 𝑧44𝑧2+12𝑧+8 } +𝐶 𝑧d𝑧 𝑧44𝑧2+12𝑧+8 = i5 log { 𝑧5+5𝑧310𝑧214 + i(𝑧3+3𝑧4) 𝑧44𝑧2+12𝑧+8 } +i𝐶 = i5 [ ln | 𝑧5+5𝑧310𝑧214 + i(𝑧3+3𝑧4) 𝑧44𝑧2+12𝑧+8 | + iarg { 𝑧5+5𝑧310𝑧214 + i(𝑧3+3𝑧4) 𝑧44𝑧2+12𝑧+8 } ] +i𝐶 = i5 ln | 𝑧5+5𝑧310𝑧214 + i(𝑧3+3𝑧4) 𝑧44𝑧2+12𝑧+8 | 15 arg { 𝑧5+5𝑧310𝑧214 + i(𝑧3+3𝑧4) 𝑧44𝑧2+12𝑧+8 } +i𝐶 (199) となる。ここで arg は偏角であり、一般に多価関数である。また、 ln は実数の対数関数(普通の自然対数で1価関数)であり、複素数の多価関数の log と区別してある。 log と ln をこのような意味で使い分けることが一般的かどうか知らないが、私が持っている複素関数論の教科書(犬井鉄郎・石津武彦 「複素函数論」 東京大学出版会 (1966))ではそうなっているので、この記事もそれにならうことにする。

(199)式は複素関数だが、今は実関数が欲しいので、ここからは変数の取りうる範囲を実数に限定し、さらに両辺の√の中が正になる範囲のみに制限しよう。ここまで変数は複素数であるという気持ちを込めて 𝑧 という文字を使ってきたが、ここからは実数だから 𝑥 を使うことにする(これは単に気分の問題である)。√の中の式は 𝑥44𝑥2+12𝑥+8 = (𝑥2) (𝑥3+2𝑥2+8𝑥+4) のように因数分解できるからこれが正になるような 𝑥 の変域は 453 sinh(16arcosh4140) 23 <𝑥<2 (200) である。(199)式の 𝑧 をただ 𝑥 に置き換えただけの式を書くと 𝑥d𝑥 𝑥44𝑥2+12𝑥+8 = i5 ln | 𝑥5+5𝑥310𝑥214 + i(𝑥3+3𝑥4) 𝑥44𝑥2+12𝑥+8 | 15 arg { 𝑥5+5𝑥310𝑥214 + i(𝑥3+3𝑥4) 𝑥44𝑥2+12𝑥+8 } +i𝐶 (201) である。(198)式の下で√は複素数の2価関数だと言ったが、ここからは√は非負の実数の1価関数と考えてもらってよい。そうすると本来なら(201)式の両辺の√の前の符号を負にした場合も考慮すべきだが、今の場合はどちらも最終的に同じ結果になるので正の方だけ書くことにする。ここで 𝑥 は実数であり√の中は正の実数だから(201)式の右辺第1項の ln は ln | 𝑥5+5𝑥310𝑥214 + i(𝑥3+3𝑥4) 𝑥44𝑥2+12𝑥+8 | = ln ( 𝑥5+5𝑥310𝑥214 ) 2 + (𝑥3+3𝑥4)2 ( 𝑥44𝑥2+12𝑥+8 ) = ln 𝑥10 +10𝑥8 20𝑥7 +25𝑥6 128𝑥5 +100𝑥4 140𝑥3 +280𝑥2 +196 𝑥10 10𝑥8 +20𝑥7 25𝑥6 +128𝑥5 100𝑥4 +140𝑥3 280𝑥2 +128 =ln324 =ln18 となって定数になる。(201)式の右辺第2項の arg は逆三角関数を使って例えば arg { 𝑥5+5𝑥310𝑥214 + i(𝑥3+3𝑥4) 𝑥44𝑥2+12𝑥+8 } = { 2𝜋 arccos 𝑥5+5𝑥310𝑥214 18 ( 453 sinh (16arcosh4140) 23 <𝑥1 ) arccos 𝑥5+5𝑥310𝑥214 18 ( 1𝑥<2 ) のように書ける。 arcsin や arctan を使って書くこともできるが、ここでは arccos を使うと便利だからそのようにした。 𝑥 = 1 を境に場合分けが生じる理由は、 arg の中身の虚部の符号がそこを境に変わるからだ。 arg は多価関数であったが、今考えている 𝑥 の変域では「ぐるっと回って元の 𝑥 に戻ってきたら arg の値が 2𝜋 ずれていた」なんてことは起こらないので多価性は気にしなくても(積分定数に押し付けておけば)よい。これらより、(201)式の不定積分は右辺第1項と第3項を足した定数を 𝐷 とでも置けば 𝑥d𝑥 𝑥44𝑥2+12𝑥+8 = { 15 ( 2𝜋 arccos 𝑥5+5𝑥310𝑥214 18 ) +𝐷 ( 453 sinh (16arcosh4140) 23 <𝑥1 ) 15 arccos 𝑥5+5𝑥310𝑥214 18 +𝐷 (1𝑥<2) 𝐷は積分定数)(202) と書ける。1行目の 𝐷 と2行目の 𝐷 は共通であるから、1行目の括弧内第1項の 2𝜋 を定数だからと言って消してはいけない(消したら 𝑥 = 1 において不連続になってしまう)。これで虚数が出てこない実関数の不定積分になった。ここまで長々と話してきたが、要は変数の変域が(200)式のとき(198)式の虚部が(202)式になるというだけの話である。

フリードマン方程式への応用

(202)式(103)式の積分(の特別な場合)に応用してみよう。それができるのは 𝛬= 2𝐾𝑚427𝐾𝑟3 𝑘= 2𝐾𝑚29𝐾𝑟 という関係が成り立っているときである。このとき(103)式 ±𝑐d𝑡= 𝑎d𝑎 𝐾𝑟 +𝐾𝑚𝑎 2𝐾𝑚29𝐾𝑟 𝑎2 2𝐾𝑚481𝐾𝑟3 𝑎4 (203) となる(都合により両辺を入れ替えてある)。ここで新しい変数を 𝑥 として 𝑎=3𝐾𝑟2𝐾𝑚𝑥 と置く。すると d𝑎=3𝐾𝑟2𝐾𝑚d𝑥 であるからこれらを代入すると、 ±𝑐d𝑡 = 3𝐾𝑟2𝐾𝑚𝑥 3𝐾𝑟2𝐾𝑚d𝑥 𝐾𝑟 +3𝐾𝑟2𝑥 𝐾𝑟2𝑥2 𝐾𝑟8𝑥4 = 9𝐾𝑟24𝐾𝑚2 𝑥d𝑥 𝐾𝑟8 8+12𝑥4𝑥2𝑥4 = 81𝐾𝑟32𝐾𝑚4 𝑥d𝑥 8+12𝑥4𝑥2𝑥4 = 3𝛬 𝑥d𝑥 𝑥44𝑥2+12𝑥+8 となって、(202)式の左辺と同じものが現れた。よってこれを積分すれば ±𝑐𝑡 = { 153𝛬 ( 2𝜋 arccos 𝑥5+5𝑥310𝑥214 18 ) ( 453 sinh (16arcosh4140) 23 <𝑥1 ) 153𝛬 arccos 𝑥5+5𝑥310𝑥214 18 (1𝑥<2) (積分定数を0とした。) となる。 𝑥 を元に戻せば ±𝑐𝑡 = { 153𝛬 [ 2𝜋 arccos { 19 ( 16𝐾𝑚5243𝐾𝑟5 𝑎5 + 20𝐾𝑚327𝐾𝑟3 𝑎3 20𝐾𝑚29𝐾𝑟2 𝑎2 7 ) } ] ( { 25sinh(16arcosh4140) 1 } 𝐾𝑟𝐾𝑚 <𝑎 3𝐾𝑟2𝐾𝑚 ) 153𝛬 arccos { 19 ( 16𝐾𝑚5243𝐾𝑟5 𝑎5 + 20𝐾𝑚327𝐾𝑟3 𝑎3 20𝐾𝑚29𝐾𝑟2 𝑎2 7 ) } ( 3𝐾𝑟2𝐾𝑚 𝑎 3𝐾𝑟𝐾𝑚 ) (204) のようになって解が求まる。 𝑥 = 2 すなわち 𝑎=3𝐾𝑟𝐾𝑚 のときには(203)式の右辺の被積分関数の分母が0になってしまうので除外して考えてきたが、(102)式までさかのぼってみるとそのときも 0 = 0 となってちゃんと成り立っている。よって 𝑎=3𝐾𝑟𝐾𝑚 のときも(204)式は解である(2行目の変域にすでに入れてある)。(204)式のうち { 25sinh(16arcosh4140) 1 } 𝐾𝑟𝐾𝑚 <𝑎<0 の部分は物理的に無意味である。 0𝑎3𝐾𝑟𝐾𝑚 の部分は時刻 𝑡= 15𝑐3𝛬 (𝜋+arccos79) に 𝑎 = 0 から始まって減速膨張し、時刻 𝑡 = 0 に最大値 𝑎=3𝐾𝑟𝐾𝑚 になって加速収縮に転じ、時刻 𝑡= 15𝑐3𝛬 (𝜋+arccos79) に 𝑎 = 0 になって終わる宇宙である。複号の+が膨張期であり、複号の−が収縮期である。

(204)式の両辺を 5𝛬3 倍して cos を取れば cos(5𝛬3𝑐𝑡)= 19 ( 16𝐾𝑚5243𝐾𝑟5 𝑎5 + 20𝐾𝑚327𝐾𝑟3 𝑎3 20𝐾𝑚29𝐾𝑟2 𝑎2 7 ) となってだいぶ見やすくなる。 𝛬𝑘= 𝐾𝑚23𝐾𝑟2 より 𝑥 =2𝐾𝑚3𝐾𝑟𝑎 =2𝛬3𝑘𝑎 だから cos(5𝛬3𝑐𝑡)= 19 ( 16𝛬29𝑘2 𝛬3𝑘 𝑎5 20𝛬3𝑘 𝛬3𝑘 𝑎3 +20𝛬3𝑘𝑎2 7 ) と書くこともできる。この式が表す曲線は周期的に 𝑎 の符号を変えながら 𝑡 → −∞ から 𝑡 → ∞ まで無限に続く。その中から一続きの 𝑎 ≧ 0 の部分だけを取り出したものが物理的な解である。

同様の例

同様の例として、次のような複素関数の不定積分がある。 𝑧d𝑧 𝑧4+10𝑧296𝑧71 = 18 log { 𝑧8 +20𝑧6 128𝑧5 +54𝑧4 1408𝑧3 +3124𝑧2 +10001 + ( 𝑧6 +15𝑧4 80𝑧3 +27𝑧2 528𝑧 +781 ) 𝑧4+10𝑧296𝑧71 } +𝐶 𝐶は積分定数)(205) この積分は2024年2月現在、Wikipedia 英語版の “Risch algorithm” というページに載っている例と同じである(日本語版の「リッシュのアルゴリズム」のページには載っていない)。リンク先にある式と(205)式を比べると2か所で符号が異なっているので同じ式に見えないかもしれないが同じである。リンク先の式の対数の外のマイナスを中に放り込んで(つまり対数の中を逆数にして)分母を有理化して定数を対数の外に出すと、積分定数分の違いを除いて同じ式であることがわかる。あるいは別の考え方として、√は複素数の2価関数だったから両辺の√の前の符号をマイナスに変えても式の意味は同じであり、そうしてから対数の中の−1を外に出すことでも同じ式であることがわかる。

(198)式のときと同じように、(205)式の根号の中を符号反転した実関数を求めたい。 𝑥 を実変数として、符号反転した根号の中の式は 𝑥410𝑥2+96𝑥+71 = ( 𝑥223𝑥+1183 ) ( 𝑥2+23𝑥+11+83 ) のように因数分解できるからこれが正になるような 𝑥 の変域は 322+23 <𝑥< 3+22+23 である。この範囲内で(205)式の虚部は 𝑥d𝑥 𝑥410𝑥2+96𝑥+71 = { 18 ( 2𝜋+ arccos 𝑥8 +20𝑥6 128𝑥5 +54𝑥4 1408𝑥3 +3124𝑥2 +10001 69123 ) +𝐷 (𝑋0<𝑥𝑋1) 18 ( 2𝜋 arccos 𝑥8 +20𝑥6 128𝑥5 +54𝑥4 1408𝑥3 +3124𝑥2 +10001 69123 ) +𝐷 (𝑋1𝑥𝑋2) 18 arccos 𝑥8 +20𝑥6 128𝑥5 +54𝑥4 1408𝑥3 +3124𝑥2 +10001 69123 +𝐷 (𝑋2𝑥<𝑋3) (206) ただし 𝐷は積分定数 𝑋0 =322+23 𝑋1 = 22(1+13) sinh ( 13arsinh492732 ) 13 = 2 ( 2+133+5+3 3 2 133 +5+3 3 ) 13 𝑋2 = 22(113) sinh ( 13arsinh49+2732 ) +13 = 2 ( 2133+53 3 2 +133 +53 3 ) +13 𝑋3 =3+22+23 のようになる。なお 𝑋 < 0 < 𝑋 < 𝑋 < 𝑋 である。 𝑥 = 𝑋 , 𝑋 , 𝑋 のとき arccos の中身は1であり、 𝑥 = 𝑋 のとき arccos の中身は−1である。

これを(103)式の積分(の特別な場合)に応用してみよう。それができるのは 𝛬 = 357911𝐾𝑚4 28311552𝐾𝑟3 ( = 713𝐾𝑚4 22033𝐾𝑟3 ) 𝑘 = 355𝐾𝑚24608𝐾𝑟 ( = 571𝐾𝑚2 2932𝐾𝑟 ) という関係が成り立っているときである。このとき(103)式 ±𝑐d𝑡= 𝑎d𝑎 𝐾𝑟 +𝐾𝑚𝑎 355𝐾𝑚24608𝐾𝑟 𝑎2 357911𝐾𝑚4 84934656𝐾𝑟3 𝑎4 (207) となる(都合により両辺を入れ替えてある)。ここで新しい変数を 𝑥 として 𝑎=96𝐾𝑟71𝐾𝑚𝑥 と置く。すると d𝑎=96𝐾𝑟71𝐾𝑚d𝑥 であるからこれらを代入すると、 ±𝑐d𝑡 = 96𝐾𝑟71𝐾𝑚𝑥 96𝐾𝑟71𝐾𝑚d𝑥 𝐾𝑟 +96𝐾𝑟71𝑥 10𝐾𝑟71𝑥2 𝐾𝑟71𝑥4 = 9216𝐾𝑟25041𝐾𝑚2 𝑥d𝑥 𝐾𝑟71 71+96𝑥10𝑥2𝑥4 = 84934656𝐾𝑟3 357911𝐾𝑚4 𝑥d𝑥 71+96𝑥10𝑥2𝑥4 = 3𝛬 𝑥d𝑥 𝑥410𝑥2+96𝑥+71 となって、(206)式の左辺と同じものが現れた。よってこれを積分すれば ±𝑐𝑡 = { 183𝛬 ( 2𝜋+ arccos 𝑥8 +20𝑥6 128𝑥5 +54𝑥4 1408𝑥3 +3124𝑥2 +10001 69123 ) (𝑋0<𝑥𝑋1) 183𝛬 ( 2𝜋 arccos 𝑥8 +20𝑥6 128𝑥5 +54𝑥4 1408𝑥3 +3124𝑥2 +10001 69123 ) (𝑋1𝑥𝑋2) 183𝛬 arccos 𝑥8 +20𝑥6 128𝑥5 +54𝑥4 1408𝑥3 +3124𝑥2 +10001 69123 (𝑋2𝑥<𝑋3) (積分定数を0とした。) となる。 𝑥 を元に戻せば ±𝑐𝑡 = { 183𝛬 {2𝜋+arccos𝑈(𝑎)} ( 96𝑋0𝐾𝑟71𝐾𝑚 <𝑎 96𝑋1𝐾𝑟71𝐾𝑚 ) 183𝛬 {2𝜋arccos𝑈(𝑎)} ( 96𝑋1𝐾𝑟71𝐾𝑚 𝑎 96𝑋2𝐾𝑟71𝐾𝑚 ) 183𝛬 arccos𝑈(𝑎) ( 96𝑋2𝐾𝑟71𝐾𝑚 𝑎 96𝑋3𝐾𝑟71𝐾𝑚 ) (208) ただし 𝑈(𝑎)= 128333 ( 718𝐾𝑚8 24038𝐾𝑟8 𝑎8 + 5716𝐾𝑚6 22836𝐾𝑟6 𝑎6 715𝐾𝑚5 21835𝐾𝑟5 𝑎5 + 714𝐾𝑚4 2193𝐾𝑟4 𝑎4 11713𝐾𝑚3 2833𝐾𝑟3 𝑎3 + 11713𝐾𝑚2 2832𝐾𝑟2 𝑎2 +73137 ) のようになって解が求まる。 𝑈(𝑎) は数値係数にかなり大きな数値が表れて10進表記しても意味がわかりにくいので素因数の積の形で書いておいた。分子と分母が同じくらい大きいので分数全体としては並の大きさの値である。2次の項の分子の「71³」は「71²」の書き間違いではなく、これで正しい。4次の項の分母の「3」は「3」の書き間違いではなく、これで正しい。 𝛬𝑘= 712𝐾𝑚2 21135𝐾𝑟2 より 𝑥 =71𝐾𝑚96𝐾𝑟𝑎 =10𝛬3𝑘𝑎 だから 𝑈(𝑎)= 1273 ( 625𝛬41296𝑘4𝑎8 625𝛬3216𝑘3𝑎6 50𝛬29𝑘2 10𝛬3𝑘 𝑎5 + 75𝛬232𝑘2𝑎4 + 55𝛬3𝑘 10𝛬3𝑘 𝑎3 3905𝛬96𝑘𝑎2 +10001256 ) と書くこともできる。これだと係数に大きな数値が現れずに済むけれども根号が増える。

𝑥 = 𝑋 すなわち 𝑎= 96𝑋3𝐾𝑟71𝐾𝑚 のときには(207)式の右辺の被積分関数の分母が0になってしまうので除外して考えてきたが、(102)式までさかのぼってみるとそのときも 0 = 0 となってちゃんと成り立っている。よって 𝑎= 96𝑋3𝐾𝑟71𝐾𝑚 のときも(208)式は解である(3行目の変域にすでに入れてある)。(208)式のうち 96𝑋0𝐾𝑟71𝐾𝑚 <𝑎<0 の部分は物理的に無意味である。 0𝑎 96𝑋3𝐾𝑟71𝐾𝑚 の部分は時刻 𝑡= 18𝑐3𝛬 (2𝜋+arccos1000169123) に 𝑎 = 0 から始まって減速膨張し、時刻 𝑡 = 0 に最大値 𝑎= 96𝑋3𝐾𝑟71𝐾𝑚 = 96(3+22+23) 𝐾𝑟 71𝐾𝑚 になって加速収縮に転じ、時刻 𝑡= 18𝑐3𝛬 (2𝜋+arccos1000169123) に 𝑎 = 0 になって終わる宇宙である。複号の+が膨張期であり、複号の−が収縮期である。

(208)式の両辺を 8𝛬3 倍して cos を取れば cos(8𝛬3𝑐𝑡) =𝑈(𝑎) となってだいぶ見やすくなる。この式が表す曲線は周期的に 𝑎 の符号を変えながら 𝑡 → −∞ から 𝑡 → ∞ まで無限に続く。同じ形の曲線が2本あり、互いに半周期ずれて配置されている。その中から一続きの 𝑎 ≧ 0 の部分だけを取り出したものが物理的な解である。

少し異なる例

前2例と似ているけれど少し異なる例として、次のような複素関数の不定積分がある。 𝑧d𝑧𝑃(𝑧) = 110 log { 𝑅(𝑧) +𝑄(𝑧)𝑃(𝑧) } +𝐶 𝐶は積分定数)(209) ただし 𝑃(𝑧)= 𝑧450𝑧2+960𝑧+1585 𝑄(𝑧)= 𝑧8 100𝑧6 +1120𝑧5 +4470𝑧4 64000𝑧3 +183100𝑧2 +1351200𝑧 4461775 𝑅(𝑧)= 𝑧10 125𝑧8 +1600𝑧7 +7450𝑧6 128000𝑧5 +457750𝑧4 +4504000𝑧3 22308875𝑧2 +274924375 だんだん式が長くなってきて、べた書きすると大変なことになるので、登場する多項式に 𝑃, 𝑄, 𝑅 という名前を付けておいた。前2例と違ってこの 𝑃(𝑧) は定数項が正になっているから、フリードマン方程式(の特別な場合)に応用する際に(209)式を実関数だと思えばほぼそのまま使える。

𝑥 を実変数として、 𝑃(𝑥) = 𝑥450𝑥2+960𝑥+1585 = ( 𝑥2410𝑥+55+1210 ) ( 𝑥2+410𝑥+551210 ) のように因数分解できるからこれが正になるような 𝑥 の変域は 𝑥<21015+1210 , 210+15+1210<𝑥 である。このとき 𝑅(𝑥)+𝑄(𝑥)𝑃(𝑥) も実数だから(209)式は実関数として 𝑥d𝑥𝑃(𝑥) = 110 ln | 𝑅(𝑥) +𝑄(𝑥)𝑃(𝑥) | +𝐶 𝐶は積分定数) のようになるが、今はたまたま 𝑅(𝑥)+𝑄(𝑥)𝑃(𝑥) は常に正だから絶対値記号を外して 𝑥d𝑥𝑃(𝑥) = 110 ln { 𝑅(𝑥) +𝑄(𝑥)𝑃(𝑥) } +𝐶 𝐶は積分定数)(210) としてよい。この式をそのまま使ってもよいが、もう少し変形しておこう。 {𝑅(𝑥)}2 {𝑄(𝑥)}2𝑃(𝑥) という量を計算すると {𝑅(𝑥)}2 {𝑄(𝑥)}2𝑃(𝑥) = ( 𝑥10 125𝑥8 +1600𝑥7 +7450𝑥6 128000𝑥5 +457750𝑥4 +4504000𝑥3 22308875𝑥2 +274924375 ) 2 ( 𝑥8 100𝑥6 +1120𝑥5 +4470𝑥4 64000𝑥3 +183100𝑥2 +1351200𝑥 4461775 ) 2 (𝑥450𝑥2+960𝑥+1585) = 2313855 のように定数になっていて、移項すると {𝑄(𝑥)}2𝑃(𝑥) = {𝑅(𝑥)}2 2313855 |𝑄(𝑥)|𝑃(𝑥) = {𝑅(𝑥)}2 2313855 である。よって 𝑄(𝑥)0ならば ln { 𝑅(𝑥) +𝑄(𝑥)𝑃(𝑥) } = ln { 𝑅(𝑥) +|𝑄(𝑥)|𝑃(𝑥) } = ln [ 𝑅(𝑥)+ {𝑅(𝑥)}2 2313855 ] = ln [ 215345210 { 𝑅(𝑥) 215345210 + ( 𝑅(𝑥) 215345210 ) 2 1 } ] = ln ( 215345210 ) + ln [ 𝑅(𝑥) 215345210 + { 𝑅(𝑥) 215345210 } 2 1 ] = ln ( 215345210 ) + arcosh 𝑅(𝑥) 215345210 𝑄(𝑥)0ならば ln { 𝑅(𝑥) +𝑄(𝑥)𝑃(𝑥) } = ln { 𝑅(𝑥) |𝑄(𝑥)|𝑃(𝑥) } = ln [ 𝑅(𝑥) {𝑅(𝑥)}2 2313855 ] = ln [ 215345210 { 𝑅(𝑥) 215345210 ( 𝑅(𝑥) 215345210 ) 2 1 } ] = ln ( 215345210 ) + ln [ 𝑅(𝑥) 215345210 { 𝑅(𝑥) 215345210 } 2 1 ] = ln ( 215345210 ) arcosh 𝑅(𝑥) 215345210 が成り立つ。それぞれ最後の等号は arcosh𝑋 = ln(𝑋+𝑋21) = ln(𝑋𝑋21) という関係式(というか arcosh の定義そのもの)を使った変形である。このことから、(210)式の不定積分は定数 110 ln ( 215345210 ) +𝐶 を 𝐷 とでも置けば 𝑥d𝑥𝑃(𝑥) = { 110 arcosh 𝑅(𝑥) 215345210 +𝐷 ( 𝑥<𝑋0 , 𝑋2𝑥 ) 110 arcosh 𝑅(𝑥) 215345210 +𝐷 (𝑋1<𝑥𝑋2) (211) ただし𝐷は積分定数 𝑋0= 21015+1210 𝑋1= 210+15+1210 𝑋2= 52 15210(1+𝑌) + 15 10(2𝑌)+ 250+2510 30410(1+𝑌) 𝑌= 26+410 sinh ( 16arcosh1676843+5743001059582 ) 𝑌= 63110+5262+2810 3 6+3110+5262+2810 3 のようになる。なお 𝑋 < 𝑋 < 0 < 𝑋 である。 𝑅(𝑋0)= 𝑅(𝑋1)= 𝑅(𝑋2)= 215345210 であり、 𝑃(𝑋) = 𝑃(𝑋) = 𝑄(𝑋) = 0 である。細かいことを言うと、 𝑥 < 𝑋 の領域と 𝑋 < 𝑥 の領域は離れているので積分定数 𝐷 の値はその2つの領域で異なっていてもかまわない(ただし 𝑋 を境に積分定数 𝐷 の値を変えてはならない)。

これを(103)式の積分(の特別な場合)に応用してみよう。それができるのは 𝛬 = 31855013𝐾𝑚4 2264924160𝐾𝑟3 ( = 3173𝐾𝑚4 224335𝐾𝑟3 ) 𝑘 = 1585𝐾𝑚218432𝐾𝑟 ( = 5317𝐾𝑚2 21132𝐾𝑟 ) という関係が成り立っているときである。このとき(103)式 ±𝑐d𝑡= 𝑎d𝑎 𝐾𝑟 +𝐾𝑚𝑎 1585𝐾𝑚218432𝐾𝑟 𝑎2 + 31855013𝐾𝑚4 6794772480𝐾𝑟3 𝑎4 となる(都合により両辺を入れ替えてある)。ここで新しい変数を 𝑥 として 𝑎=192𝐾𝑟317𝐾𝑚𝑥 と置く。すると d𝑎=192𝐾𝑟317𝐾𝑚d𝑥 であるからこれらを代入すると、 ±𝑐d𝑡 = 192𝐾𝑟317𝐾𝑚𝑥 192𝐾𝑟317𝐾𝑚d𝑥 𝐾𝑟 +192𝐾𝑟317𝑥 10𝐾𝑟317𝑥2 +𝐾𝑟1585𝑥4 = 36864𝐾𝑟2 100489𝐾𝑚2 𝑥d𝑥 𝐾𝑟1585 1585+960𝑥50𝑥2+𝑥4 = 6794772480𝐾𝑟3 31855013𝐾𝑚4 𝑥d𝑥 1585+960𝑥50𝑥2+𝑥4 = 3𝛬 𝑥d𝑥 𝑥450𝑥2+960𝑥+1585 となって、(211)式の左辺と同じものが現れた。よってこれを積分すれば ±𝑐𝑡 = { 1103𝛬 arcosh 𝑅(𝑥) 215345210 ( 𝑥<𝑋0 , 𝑋2𝑥 ) 1103𝛬 arcosh 𝑅(𝑥) 215345210 (𝑋1<𝑥𝑋2) (積分定数を0とした。) となる。 𝑥 を元に戻せば ±𝑐𝑡 = { 1103𝛬 arcosh𝑈(𝑎) ( 𝑎< 192𝑋0𝐾𝑟317𝐾𝑚 , 192𝑋2𝐾𝑟317𝐾𝑚 𝑎 ) 1103𝛬 arcosh𝑈(𝑎) ( 192𝑋1𝐾𝑟317𝐾𝑚 <𝑎 192𝑋2𝐾𝑟317𝐾𝑚 ) (212) ただし 𝑈(𝑎)= 12153410 ( 31710𝐾𝑚10 26031052 𝐾𝑟10 𝑎10 53178𝐾𝑚8 24838𝐾𝑟8 𝑎8 + 3177𝐾𝑚7 23637𝐾𝑟7 𝑎7 + 1493176𝐾𝑚6 23536𝐾𝑟6 𝑎6 53175𝐾𝑚5 22035𝐾𝑟5 𝑎5 + 531741831𝐾𝑚4 22334𝐾𝑟4 𝑎4 + 53173563𝐾𝑚3 21233𝐾𝑟3 𝑎3 53173563𝐾𝑚2 21232𝐾𝑟2 𝑎2 +521139989 ) のようになって解が求まる。 𝑈(𝑎) は数値係数にかなり大きな数値が表れて10進表記しても意味がわかりにくいので素因数の積の形で書いておいた。分子と分母が同じくらい大きいので分数全体としては並の大きさの値である。2次の項の分子の「317³」は「317²」の書き間違いではなく、これで正しい。 𝛬𝑘= 3172𝐾𝑚2 213352𝐾𝑟2 より 𝑥 =317𝐾𝑚192𝐾𝑟𝑎 =52𝛬3𝑘𝑎 だから 𝑈(𝑎)= 55648 ( 15625𝛬5311042𝑘5 𝑎10 78125𝛬4207362𝑘4 𝑎8 + 3125𝛬3216𝑘3 𝛬3𝑘𝑎7 + 93125𝛬369122𝑘3 𝑎6 625𝛬29𝑘2 𝛬3𝑘𝑎5 + 228875𝛬246082𝑘2 𝑎4 + 14075𝛬96𝑘 𝛬3𝑘𝑎3 892355𝛬61442𝑘𝑎2 +43987940962 ) と書くこともできる。これだと係数に大きな数値が現れずに済むけれども根号が増える。

(212)式で複号が+の解のうち 𝑎 ≧ 0 の部分は、時刻 𝑡= 110𝑐3𝛬 arcosh(2199395265420852) に 𝑎 = 0 から始まって減速膨張し、ある時刻 𝑡 = 𝑡𝐿 にある値 𝑎 = 𝑎𝐿 になって加速膨張に転じ、無限の未来に 𝑎 → ∞ になる宇宙である。複号が−の解のうち 𝑎 ≧ 0 の部分はその時間反転である。複号にかかわらず 𝑎 < 0 の部分は物理的に無意味である。減速から加速に転じる点に関して具体的には 𝑡𝐿 = 110𝑐3𝛬 arcosh [ 19652 { 379314580𝐽3 +19117648𝐽 +1106405576 818578𝐽 + ( 379314580𝐽3 8185712960𝐽2 +19117648𝐽 +37939 ) 3240𝐽31 } ] 𝑎𝐿 = 64𝐽317 (1+3240𝐽31) 𝐾𝑟𝐾𝑚 = 𝐽5 (1+3240𝐽31) 𝑘6𝛬 ただし 𝐽 = 427954 sinh(16arcosh12143453331855013) = 453 12 ( 5184+22993431953 5184+22993431953 ) である。

(212)式の両辺を 10𝛬3 倍して cosh を取れば cosh(10𝛬3𝑐𝑡) =𝑈(𝑎) となってだいぶ見やすくなる。この式が表す曲線は2本あり、どちらも無限に続く。そのうち1本の曲線は、収縮解を表す部分 (𝑎 ≧ 0) と物理的に無意味な部分 (𝑎 < 0) と膨張解を表す部分 (𝑎 ≧ 0) がこの順につながっている。もう1本の曲線は全域が 𝑎 < 0 であり物理的に無意味である。

パターン化

ここまで3つの例を挙げた。なんとなく傾向が見えてきたのではないだろうか。つまりこうである。 𝑧d𝑧𝑃(𝑧) = 1𝑛 log { 𝑅(𝑧) +𝑄(𝑧)𝑃(𝑧) } +𝐶 𝐶は積分定数)(213) ただし𝑃(𝑧)は𝑧の4次式で、0次と1次の項の係数は非零であり、3次の項は0である。 𝑄(𝑧)は𝑧の(𝑛−2)次式である。 𝑅(𝑧)は𝑧の𝑛次式である。 という複素関数の不定積分があるとき、それに対応して 𝛬, 𝑘, 𝐾𝑟, 𝐾𝑚 の4つの定数の間に特別な関係(2個の条件)が成り立っていれば、(213)式を使って(103)式を積分すると cosh(𝑛𝛬3𝑐𝑡) =𝑎の𝑛次式 (積分定数を0とした。) または cos(𝑛𝛬3𝑐𝑡) =𝑎の𝑛次式 (積分定数を0とした。) という解が求まる、ということだ。今までの3つの例は 𝑛 が5, 8, 10の場合である。(213)式を見てわかるように 𝑛 は少なくとも2以上の整数でなければならない。だが 𝑛 が2, 3, 4, 6のときは(213)式のような不定積分が存在しない。無理やり作ろうとしても 𝑃(𝑧) の0次(と2次)の項か1次の項のどちらかが0になってしまうのでこの節のフリードマン方程式に応用できない(3.1節の全部または3.2節の【3】には応用できるけれども、応用しなくてもそれらはすでに積分できている)。

𝑛 を変えれば他にも(213)式のような不定積分を作れる。例えば 𝑛 = 7 のときは2パターンあり、1個目のパターンはこうだ。 𝑧d𝑧𝑃(𝑧) = 17 log { 𝑅(𝑧) +𝑄(𝑧)𝑃(𝑧) } +𝐶 𝐶は積分定数)(214) ただし 𝑃(𝑧)= 𝑧4 +40𝑧2 24𝑆𝑧 +16(1921) 𝑄(𝑧)= 𝑧5 +50𝑧3 16𝑆𝑧2 +6(101921)𝑧 272𝑆 𝑅(𝑧)= 𝑧7 +70𝑧5 28𝑆𝑧4 +14(101921)𝑧3 952𝑆𝑧2 8(59311721)𝑆 𝑆=53+2721 ここで(214)式の本体にある 𝑃(𝑧) の√は複素数の2価関数であり、「ただし」以下の定数 𝑆21 の√は非負の実数の1価関数だとしておく。このように、 𝑃(𝑧), 𝑄(𝑧), 𝑅(𝑧) の各項の係数がいつでも整数になるとは限らない。 𝑃(𝑧) の定数項は負だからこの先は 𝑛 = 5,  8 のときと同じように考えていけばよい。すると(214)式から 𝑥d𝑥𝑃(𝑥) = { 17 { 2𝜋 arccos 𝑅(𝑥) 72(9+1921)𝑆 } +𝐷 (𝑋0<𝑥𝑋1) 17 arccos 𝑅(𝑥) 72(9+1921)𝑆 +𝐷 (𝑋1𝑥<𝑋2) 𝐷は積分定数)(215) ただし 𝑋0=28+221 𝑋1 = 8+2213 + 277+7213 sinh ( 16arcosh919+2432128 ) 𝑋1 = 8+2213 + 733 ( 723+693213 +5353+16023219 3 723+693213 5353+16023219 3 ) 𝑋2 = 28+2213 + 414+4213 sinh ( 16arcosh800317012116 ) 𝑋2 = 28+2213 + 1126 ( 231+71213 +7949+3092127 3 231+71213 7949+3092127 3 ) という実関数の不定積分が得られる。なお 𝑋 < 0 < 𝑋 < 𝑋 である。 𝑅(𝑋0)= 𝑅(𝑋1)= 𝑅(𝑋2)= 72(9+1921)𝑆 であり、 𝑃(𝑋) = 𝑄(𝑋) = 𝑃(𝑋) = 0 である。これが(103)式の積分に応用できるのは 𝛬= (1+921)3 𝐾𝑚4 27𝑆2𝐾𝑟3 𝑘= 10(1+921)𝐾𝑚2 9𝑆𝐾𝑟 という関係が成り立っているときである。このとき(103)式 𝑎d𝑎 𝐾𝑟 +𝐾𝑚𝑎 10(1+921)𝐾𝑚2 9𝑆𝐾𝑟 𝑎2 (1+921)3 𝐾𝑚4 81𝑆2𝐾𝑟3 𝑎4 =±𝑐d𝑡 となり、 𝑎= 3𝑆𝐾𝑟 2(1+921)𝐾𝑚 𝑥 と置いて(215)式を使って積分すると cos(7𝛬3𝑐𝑡) = 9+192116875 { 2(101+921)𝑀3 𝐾𝑚7 375𝐾𝑟7 𝑎7 + 7(101+921)𝑀2 𝐾𝑚5 75𝐾𝑟5 𝑎5 14𝑀2𝐾𝑚4 𝐾𝑟4 𝑎4 + 119𝑀𝐾𝑚3 3𝐾𝑟3 𝑎3 119𝑀𝐾𝑚2𝐾𝑟2 𝑎2 593117214 } = 9+1921675 { 16𝛬3135𝑘3 2𝑁𝛬3𝑘 𝑎7 + 28𝛬245𝑘2 2𝑁𝛬3𝑘 𝑎5 56𝛬29𝑘2 𝑎4 + 7(101921)𝛬750𝑘 2𝑁𝛬3𝑘 𝑎3 +238𝛬15𝑘𝑎2 59311721100 } ただし積分定数を0とした。 𝑀=2(16+921)45 𝑁=53+2721=12500𝑆 という解が求まる。この式が表す曲線は周期的に 𝑎 の符号を変えながら 𝑡 → −∞ から 𝑡 → ∞ まで無限に続く。その中から一続きの 𝑎 ≧ 0 の部分だけを取り出したものが物理的な解である。範囲内に 𝑡 = 0 を含む解は、時刻 𝑡= 17𝑐3𝛬 (𝜋+arccos2601+616213375) に 𝑎 = 0 から始まって減速膨張し、時刻 𝑡 = 0 に最大値 𝑎= 3𝑆𝑋2𝐾𝑟 2(1+921)𝐾𝑚 になって加速収縮に転じ、時刻 𝑡= 17𝑐3𝛬 (𝜋+arccos2601+616213375) に 𝑎 = 0 になって終わる宇宙である。

𝑛 = 7 のときの2個目のパターンはこうだ。 𝑧d𝑧𝑃(𝑧) = 17 log { 𝑅(𝑧) +𝑄(𝑧)𝑃(𝑧) } +𝐶 𝐶は積分定数)(216) ただし 𝑃(𝑧)= 𝑧4 40𝑧2 +24𝑆𝑧 +16(1+921) 𝑄(𝑧)= 𝑧5 50𝑧3 +16𝑆𝑧2 +6(101+921)𝑧 272𝑆 𝑅(𝑧)= 𝑧7 70𝑧5 +28𝑆𝑧4 +14(101+921)𝑧3 952𝑆𝑧2 +8(593+11721)𝑆 𝑆=53+2721 ここで(216)式の本体にある 𝑃(𝑧) の√は複素数の2価関数であり、「ただし」以下の定数 𝑆21 の√は非負の実数の1価関数だとしておく。なんだか1個目のパターンの(214)式に酷似しているが、(216)式(214)式2121 に置き換えて 𝑧 を i𝑧 に置き換えたものである。 𝑃(𝑧) の定数項は正だからこの先は 𝑛 = 10 のときと同じように考えていけばよい。すると(216)式から 𝑥d𝑥𝑃(𝑥) = { 17 arcosh 𝑅(𝑥) 72(9+1921)𝑆 +𝐸 (𝑥<𝑋0) 17 arcosh 𝑅(𝑥) 72(9+1921)𝑆 +𝐷 (𝑋1<𝑥𝑋2) 17 arcosh 𝑅(𝑥) 72(9+1921)𝑆 +𝐷 (𝑋2𝑥) 𝐷,𝐸は積分定数) (217) ただし 𝑋0=28+221 𝑋1 = 28+2213 414+4213 sinh ( 16arcosh8003+17012116 ) 𝑋1 = 28+2213 + 1126 ( 231+71213 7949+3092127 3 231+71213 +7949+3092127 3 ) 𝑋2 = 21+3212 2+212 という実関数の不定積分が得られる。なお 𝑋 < 𝑋 < 0 < 𝑋 である。 𝑅(𝑋0)= 𝑅(𝑋1)= 𝑅(𝑋2)= 72(9+1921)𝑆 であり、 𝑃(𝑋) = 𝑃(𝑋) = 𝑄(𝑋) = 0 である。これが(103)式の積分に応用できるのは 𝛬= (1+921)3 𝐾𝑚4 27𝑆2𝐾𝑟3 𝑘= 10(1+921)𝐾𝑚2 9𝑆𝐾𝑟 という関係が成り立っているときである。このとき(103)式 𝑎d𝑎 𝐾𝑟 +𝐾𝑚𝑎 10(1+921)𝐾𝑚2 9𝑆𝐾𝑟 𝑎2 + (1+921)3 𝐾𝑚4 81𝑆2𝐾𝑟3 𝑎4 =±𝑐d𝑡 となり、 𝑎= 3𝑆𝐾𝑟 2(1+921)𝐾𝑚 𝑥 と置いて(217)式を使って積分すると cosh(7𝛬3𝑐𝑡) = 9+192116875 { 2(101921)𝑀3 𝐾𝑚7 375𝐾𝑟7 𝑎7 7(101921)𝑀2 𝐾𝑚5 75𝐾𝑟5 𝑎5 + 14𝑀2𝐾𝑚4 𝐾𝑟4 𝑎4 + 119𝑀𝐾𝑚3 3𝐾𝑟3 𝑎3 119𝑀𝐾𝑚2𝐾𝑟2 𝑎2 +593+117214 } = 9+1921675 { 16𝛬3135𝑘3 2𝑁𝛬3𝑘 𝑎7 28𝛬245𝑘2 2𝑁𝛬3𝑘 𝑎5 + 56𝛬29𝑘2 𝑎4 + 7(101+921)𝛬750𝑘 2𝑁𝛬3𝑘 𝑎3 238𝛬15𝑘𝑎2 +593+11721100 } ただし積分定数を0とした。 𝑀=2(16+921)45 𝑁=53+2721=12500𝑆 という解が求まる。数学的には 𝑎 3𝑆𝑋0𝐾𝑟 2(1+921)𝐾𝑚 の範囲では解の右辺(もしくは左辺)の符号が逆になるが、そこでは全域で 𝑎 が負だから物理的に無意味なので無視した。この式が表す曲線は無限に続き、収縮解を表す部分 (𝑎 ≧ 0) と物理的に無意味な部分 (𝑎 < 0) と膨張解を表す部分 (𝑎 ≧ 0) がこの順につながっている。膨張解は、時刻 𝑡= 17𝑐3𝛬 arcosh2601+616213375 に 𝑎 = 0 から始まって減速膨張し、ある時刻 𝑡 = 𝑡𝐿 にある値 𝑎 = 𝑎𝐿 になって加速膨張に転じ、無限の未来に 𝑎 → ∞ になる宇宙である。収縮解はその時間反転である。減速から加速に転じる点に関して 𝑡𝐿 と 𝑎𝐿 の厳密な表式はもう面倒なので書かないが、数値的には 𝑡𝐿 17𝑐3𝛬arcosh5.9465 𝑎𝐿 3.0312𝐾𝑟𝐾𝑚 1.7586𝑘𝛬 である。

最後に 𝑛 = 12 の場合を紹介しておこう。それはこうだ。 𝑧d𝑧𝑃(𝑧) = 112 log { 𝑅(𝑧) +𝑄(𝑧)𝑃(𝑧) } +𝐶 𝐶は積分定数)(218) ただし 𝑃(𝑧)= 𝑧4 +30𝑧2 48𝑆𝑧 +3(1111223) 𝑄(𝑧)= 𝑧10 +75𝑧8 72𝑆𝑧7 +42(49823)𝑧6 3528𝑆𝑧5 + 90 (151+152234843) 𝑧4 360(1513223)𝑆 𝑧3 + 27 (5793+1905623320043) 𝑧2 216 (1033448239643) 𝑆𝑧 + 27 (32867+120624234912043) 𝑅(𝑧)= 𝑧12 +90𝑧10 96𝑆𝑧9 +63(49823)𝑧8 6048𝑆𝑧7 + 180 (151+152234843) 𝑧6 864(1513223)𝑆 𝑧5 + 81 (5793+1905623320043) 𝑧4 864 (1033448239643) 𝑆𝑧3 + 162 (32867+120624234912043) 𝑧2 + 81 (69199+6407122358316843) 𝑆=8+2023343 ここで(218)式の本体にある 𝑃(𝑧) の√は複素数の2価関数であり、「ただし」以下の定数 𝑆2343 の√と∛は非負の実数の1価関数だとしておく。数値係数に3乗根が現れるなど、だいぶ複雑になってきた。実は(218)式のすべての 2343 をそれぞれ 231±i32431i32 (複号同順)に置き換えた式も成り立つのだが、そのような不定積分はたぶん実関数に応用できないと思うのでここでは扱わない。 𝑃(𝑧) の定数項は負だからこの先は 𝑛 = 5,  8 のときと同じように考えていけばよい。すると(218)式から 𝑥d𝑥𝑃(𝑥) = { 112 { 2𝜋+ arccos 𝑅(𝑥) 82944 (71+69234243) 𝑆 } +𝐷 (𝑋0<𝑥𝑋1) 112 { 2𝜋 arccos 𝑅(𝑥) 82944 (71+69234243) 𝑆 } +𝐷 (𝑋1𝑥𝑋2) 112 arccos 𝑅(𝑥) 82944 (71+69234243) 𝑆 +𝐷 (𝑋2𝑥<𝑋3) (219) ただし 𝐷は積分定数 𝑋0= 1+223 2 4+2343 +1223+2143 𝑋1 𝑄(𝑥)=0の2つある実数解のうち小さい方 𝑋2 𝑄(𝑥)=0の2つある実数解のうち大きい方 𝑋3= 1+223 + 2 4+2343 +1223+2143 という実関数の不定積分が得られる。なお 𝑋 < 0 < 𝑋 < 𝑋 < 𝑋 である。 𝑅(𝑋0)= 𝑅(𝑋1)= 𝑅(𝑋2)= 𝑅(𝑋3)= 82944(71+69234243) 𝑆 であり、 𝑃(𝑋) = 𝑄(𝑋) = 𝑄(𝑋) = 𝑃(𝑋) = 0 である。これが(103)式の積分に応用できるのは 𝛬= (11+11223)3 𝐾𝑚4 65536𝑆2𝐾𝑟3 𝑘= 5(11+11223)𝐾𝑚2 128𝑆𝐾𝑟 という関係が成り立っているときである。このとき(103)式 𝑎d𝑎 𝐾𝑟 +𝐾𝑚𝑎 5(11+11223)𝐾𝑚2 128𝑆𝐾𝑟 𝑎2 (11+11223)3 𝐾𝑚4 196608𝑆2𝐾𝑟3 𝑎4 =±𝑐d𝑡 となり、 𝑎= 16𝑆𝐾𝑟 (11+11223)𝐾𝑚 𝑥 と置いて(219)式を使って積分すると cos(43𝛬𝑐𝑡) = (10837137123+774343) 𝑁 31250000 { 𝑀6𝐾𝑚12 1620𝐾𝑟12 𝑎12 + 𝑀5𝐾𝑚10 18𝐾𝑟10 𝑎10 + 3(1111223) 𝑀4𝐾𝑚9 810𝐾𝑟9 𝑎9 + 7(49823) 𝑀4𝐾𝑚8 180𝐾𝑟8 𝑎8 + 7(1111223) 𝑀3𝐾𝑚7 30𝐾𝑟7 𝑎7 + (151+152234843) 𝑀3𝐾𝑚6 9𝐾𝑟6 𝑎6 + (16611726423+358443) 𝑀2𝐾𝑚5 30𝐾𝑟5 𝑎5 + (5793+1905623320043) 𝑀2𝐾𝑚4 20𝐾𝑟4 𝑎4 + (3286712062423+4912043) 𝑀𝐾𝑚3 30𝐾𝑟3 𝑎3 + (32867+120624234912043) 𝑀𝐾𝑚2 10𝐾𝑟2 𝑎2 + 69199+6407122358316843 20 } = 10837137123+774343625 { 𝑁𝛬681𝑘6 𝑎12 𝑁𝛬59𝑘5 𝑎10 𝛬427𝑘4 𝛬10𝑘 𝑎9 + 7(49823)𝑁𝛬4 900𝑘4 𝑎8 + 7𝛬330𝑘3 𝛬10𝑘 𝑎7 (151+152234843) 𝑁𝛬3 450𝑘3 𝑎6 + (151+3223)𝛬2 300𝑘2 𝛬10𝑘 𝑎5 + (5793+1905623320043) 𝑁𝛬2 10000𝑘2 𝑎4 + (1033448239643)𝛬 3000𝑘 𝛬10𝑘 𝑎3 + (3286712062423+4912043) 𝑁𝛬 50000𝑘 𝑎2 + (69199+6407122358316843) 𝑁 1000000 } ただし積分定数を0とした。 𝑀= 2108+720123+1532432560 𝑁 = 92+8923+1884364000 =25256𝑆 という解が求まる。この式が表す曲線は周期的に 𝑎 の符号を変えながら 𝑡 → −∞ から 𝑡 → ∞ まで無限に続く。同じ形の曲線が2本あり、互いに半周期ずれて配置されている。その中から一続きの 𝑎 ≧ 0 の部分だけを取り出したものが物理的な解である。 𝑡 の変域の真ん中が 𝑡 = 0 になる解は、時刻 𝑡= 14𝑐3𝛬 { 3𝜋 arccos (689357+12753123+49497743) 𝑁 40000 } に 𝑎 = 0 から始まって減速膨張し、時刻 𝑡 = 0 に最大値 𝑎= 16𝑆𝑋3𝐾𝑟 (11+11223)𝐾𝑚 になって加速収縮に転じ、時刻 𝑡= 14𝑐3𝛬 { 3𝜋 arccos (689357+12753123+49497743) 𝑁 40000 } に 𝑎 = 0 になって終わる宇宙である。

このような感じで 𝑛 をどんどん大きくしていけばこのパターンの不定積分はいくらでも出てくるだろう(証明はしていないが、3以上の 𝑛 に対して常に 𝑃, 𝑄, 𝑅 の未知係数の数が制約条件の数より1多いので、たぶん無限に存在すると思う)。それは 𝑛 を指定すれば原理的には有限の手続きで求めることができる。だが 𝑛 より先にフリードマン方程式における4つの定数 𝛬, 𝑘, 𝐾𝑟, 𝐾𝑚 の値が与えられたときに、今のパターンに該当するのかどうか、そして該当するならば 𝑛 の値が何なのか、どうやって判定すればよいのだろうか。先ほどちょっと出てきた Risch algorithm というやつを使えばわかるのかもしれないが、私はそれの内容を知らないのでここで説明することはできない。

そして仮に今のパターンに該当することがわかって初等的に積分できたとしても、解が 𝑎 の100次式とか1000次式とかで表されたって現実的に使いにくい。そんな厳密解を見つけて使うよりも最初から数値的に積分する方が楽だろう。そういうわけでこのページは初等的に厳密解を書けるけれどもまったく実用的ではないという例の説明であった。

脇道にそれた無駄話はこのくらいにしておこう。

⛭ 数式の表示設定 (S)